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オフィスの適正温度は?法改正で18度以上に!設定と対策について解説
2026.04.08


「冷房の設定温度を下げてほしい」「足元が冷えて仕事にならない」といった声に頭を悩ませていませんか。多くのオフィスで繰り返される温度設定の問題は、単なる好みの違いではなく、業務効率や健康に直結する重要な課題です。 この記事では、法律で定められたオフィスの適正温度の基準と、実際に生産性が高まる室温の目安について解説します。読み終える頃には、あなたのオフィスに最適な温度設定と、明日から実践できる具体的な環境改善策が明確になるでしょう。
目次
オフィスの室温、法律上の決まりはある?
オフィス環境を管理する上で、まず押さえておきたいのが法律による基準です。実は、労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」というルールにより、事業者が守るべき室温の範囲が明確に定められています。個人の感覚ではなく、まずはこの法的基準を満たしているかを確認することが、環境改善の第一歩となります。
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事務所衛生基準規則の温度要件
事務所の室温に関する基準は、2022年の法改正によって変更されました。以前は「17度以上28度以下」とされていましたが、現在の基準では「18度以上28度以下」となるように努めることが求められています。この変更は、WHO(世界保健機関)が冬場の室温について、健康への影響を考慮して18度以上を勧告したことなどが背景にあります。
事業者は、空調設備がある部屋において、この範囲内に室温を保つ努力義務を負っています。特に冬場の朝一番や、夏場の西日が当たる時間帯などは基準を外れやすいため、温度計による定期的なチェックが欠かせません。この基準はあくまで「室温」であり、エアコンの設定温度ではない点に注意が必要です。
湿度は40%から70%が基準
温度と同じくらい重要なのが湿度の管理です。事務所衛生基準規則では、室の気温だけでなく、相対湿度についても「40%以上70%以下」になるよう努めることとしています。湿度が40%を下回るとウイルスが飛散しやすくなり、乾燥による不快感やドライアイの原因にもなります。逆に70%を超えるとカビやダニが発生しやすくなり、衛生環境が悪化します。
特に冬場の暖房使用時は湿度が20%台まで下がることも珍しくありません。加湿器の導入や濡れタオルの設置など、温度管理とセットで湿度対策を行うことが、法律を遵守し従業員の健康を守るためには不可欠です。
違反した場合の罰則はあるか
「18度以上28度以下」という基準は、条文上では「努めなければならない」という努力義務として規定されています。そのため、室温が一時的にこの範囲を超えたからといって、直ちに罰金などの刑事罰が科されるわけではありません。しかし、労働安全衛生法は労働者の健康と安全を守るための法律であり、著しく不適切な環境を放置して従業員が体調を崩した場合には、安全配慮義務違反として損害賠償請求のリスクが生じる可能性があります。
労働基準監督署の立ち入り調査などで環境測定の結果是正勧告を受けるケースもあります。罰則の有無にかかわらず、企業のリスク管理として、適正な温湿度管理を行うことは必須条件といえます。
生産性が最大化する「本当の適正温度」は?
法律の基準である「18度~28度」は非常に幅が広く、この範囲内であれば必ずしも快適とは限りません。例えば夏場に室温28度では、暑くて集中力が続かない人も多いでしょう。ここでは、実際の業務において従業員のパフォーマンスが最大化される「生産性のための適正温度」について解説します。
夏場は室温25度から26度
環境省が推奨していた「クールビズの室温28度」は、あくまで省エネの観点からの目安であり、知的生産性の観点からは必ずしも最適ではありません。実際、多くの研究や実証実験において、室温が22度から24度付近のときに作業効率が最も高くなるというデータが出ています。
室温が25度を超えると、人間は体温調節にエネルギーを使うようになり、脳の処理能力が低下したり疲労感が増ますと言われています。PCなどの熱源があるオフィスでは、空調の設定温度を28度でも実際の室温は30度近くになるケースも。省エネも重要ですが、生産性の低下による人件費のロスを考えると、夏場は22度から24度程度の室温を目指すのが合理的です。
冬場は室温20度から22度
冬場のオフィスにおいても、暖めすぎは逆効果となることがあります。室温が高すぎると空気が乾燥し、頭がぼーっとしたり眠気を誘発したりする原因になります。生産性を維持するための冬場の室温目安は、おおよそ20度から22度程度を維持すると良いでしょう。。
この温度帯であれば、ニットやジャケットなどの服装で調整がしやすく、外気との温度差も軽減できます。また、暖房設定を過度に上げないことは、乾燥を防ぐ意味でも有効です。冬場は「少し肌寒いかもしれないが、着込めば快適」というレベルを基準に設定し、湿度を保つことに注力するのが賢明です。
H3:設定温度と室温のズレに注意
適正温度を目指す際によくある落とし穴が、「エアコンのリモコン設定温度」と「実際の室温」を同一視してしまうことです。エアコンの温度センサーは本体内部やリモコン周辺にあることが多く、天井付近や壁際の温度を感知しています。そのため、実際に人が座っているデスク周りの温度とは2度から3度以上のズレが生じることが珍しくありません。
| 確認項目 | チェックポイント |
| センサーの位置 | 天井や壁際など人がいない場所になっていないか |
| 熱源の影響 | コピー機やサーバー、日差しの影響を受けていないか |
| 実際の室温 | デスク上に温度計・湿度計を置いて実測しているか |
重要なのはリモコンの数字ではなく、従業員が過ごす場所の実測値です。オフィスの数カ所(窓際、中央、壁際など)に温湿度計を設置し、その値を基準に空調を操作する運用ルールを定めることが、快適な環境作りの基本です。
なぜ「暑い・寒い」の苦情が止まらないのか?
適正な温度設定にしているつもりでも、「私には暑すぎる」「僕には寒すぎる」といった不満はなくなりません。これは単なるわがままではなく、物理的な環境要因や身体的な個人差に起因する構造的な問題です。原因を正しく理解することで、一律の温度変更ではない、的確な対策が打てるようになります。
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場所による温度ムラの実態
オフィス内では、座席の位置によって驚くほどの温度差が生じています。冷房の風が直撃する席の人は極寒を感じる一方で、西日が差し込む窓際やPCサーバーの近くの席の人は汗をかいているという状況です。空気は暖かいと上昇し、冷たいと下降する性質があるため、足元と頭部でも温度差が生じます。
このような「温度ムラ」がある状態でエアコンの設定を一律に変更しても、誰かの不満を解消すれば別の誰かが犠牲になるだけです。まずは放射温度計やサーモグラフィなどでオフィス内の温度分布を可視化し、どこに熱や冷気が溜まっているか把握することが解決への第一歩となります。
男女の筋肉量と代謝の差
一般的に男性と女性では、快適と感じる温度に差があると言われています。これには筋肉量が大きく関係しており、筋肉量が多く基礎代謝が高い男性は暑がりになりやすく、筋肉量が少なく皮下脂肪が多い女性は冷えを感じやすい傾向にあります。
特に女性は、夏場のオフィスで冷房による冷え(冷房病)に悩まされるケースが多く見られます。これは生理的な身体の仕組みの違いによるものであり、どちらかに合わせることを強要するのは現実的ではありません。「暑い」と感じる人と「寒い」と感じる人が共存していることを前提に、一律の空調管理以外の補助的な対策を用意する必要があります。
服装や体調による個人差
同じ室温であっても、その日の体調や着ている服装によって感じ方は大きく変わります。外回りの営業職が汗だくで帰社した直後と、一日中デスクワークをしている事務職では、求めている温度が全く異なります。さらに、近年ではビジネスカジュアルの浸透により、スーツを着ている人もいればTシャツの人もいるなど、服装の断熱性にもばらつきが出ています。空調設備だけで全員を満足させることは不可能であると割り切り、個別の調整手段(服装の着脱や個人用グッズ)を推奨する文化を作ることが重要です。
オフィス全体でできる環境改善策
温度に関する不満を解消するために、空調の設定温度を変えること以外にもできる対策はたくさんあります。ここでは、オフィス設備の工夫やレイアウトの変更によって、オフィス全体の温熱環境を底上げする方法を紹介します。
サーキュレーターで空気を攪拌
温度ムラを解消する最も即効性のある方法は、サーキュレーターや扇風機を使って室内の空気を物理的にかき混ぜることです。冷房時はエアコンに向けて風を送り冷気を散らし、暖房時は天井に向けて風を送ることで上に溜まった暖気を降ろします。
| 季節 | 設置場所と向き | 効果 |
| 夏(冷房) | エアコンを背にして下向き、または水平 | 足元の冷えを軽減し冷気を循環させる |
| 冬(暖房) | エアコンの対角線上で天井に向ける | 天井に溜まった暖気を下へ循環させる |
最近では、天井の埋め込み式エアコンに取り付けるプロペラ型のファン(ハイブリッドファン)も普及しています。これらは電気工事不要で風を拡散させ、直風による不快感を大幅に軽減できるため、席配置の変更が難しいオフィスには特におすすめです。
窓への断熱シートとブラインド
外気温の影響を最も受けやすいのが窓際です。夏は窓からの輻射熱で暑くなり、冬はコールドドラフト現象(冷やされた空気が床を這うように流れてくる現象)で足元が冷えます。この窓際対策を行うだけで、オフィス全体の温度安定性が格段に向上します。
具体的な対策としては、窓ガラスに遮熱・断熱フィルムを貼る、断熱性の高いブラインドやロールスクリーンを設置するなどが有効です。また、窓際にキャビネットやパーティションを置いて物理的に空気の流れを遮断するだけでも、コールドドラフトを防ぐ効果があります。窓際の環境が改善されれば、空調の負荷も下がり省エネにもつながります。
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エリアごとのゾーニング
フリーアドレスを導入しているオフィスであれば、「暑がりの人向けエリア(空調強め)」と「寒がりの人向けエリア(空調弱め)」を緩やかに分けるゾーニングという手法も効果的です。空調の吹き出し口付近を「強風ゾーン」、窓際や奥まった場所を「微風ゾーン」として明示し、その日の体調に合わせて座席を選べるようにします。
固定席の場合でも、暑がりの人を空調の効きやすい場所に、寒がりの人を風が当たらない場所に配置換えすることで、不満を減らすことができます。物理的な温度を変えるのが難しい場合、「選べる」という選択肢を用意するだけで、従業員の心理的なストレスは大きく軽減されます。
従業員個人でできる快適化グッズ
会社側での対策には限界があるため、最終的には個々人での微調整が必要になります。ここでは、オフィスの景観や安全性を損なわず、従業員が自分のデスク周りだけで快適な環境を作れるおすすめのグッズや対策を紹介します。
デスク下のパネルヒーター
特に女性に多い「足元の冷え」には、デスクの下に設置できるパネルヒーターが最適です。従来の電気ストーブのように火災のリスクが少なく、消費電力も低いためオフィスでも導入しやすいのが特徴です。遠赤外線効果でじんわりと温まり、膝掛けと併用することでコタツのような暖かさを実現できます。
会社としてこれらを備品購入し、希望者に貸与する運用にすれば、個別に持ち込まれる暖房器具によるブレーカー落ちのトラブルも防げます。足元が暖かいだけで体感温度は数度上がるため、全体の暖房設定を下げても快適に過ごせるようになります。
卓上扇風機とUSBファン
「自分だけ暑い」という人には、USB電源で動く小型の卓上扇風機やファンが必須アイテムです。首元や脇など、太い血管が通っている部分に風を当てるだけで、効率的に体温を下げることができます。最近では静音性の高いモデルも増えており、周囲に気兼ねなく使用できます。
PCの排熱がこもって暑い場合にも、ファンで空気を流すことで局所的な温度上昇を防げます。これらは個人の裁量で使用を許可するルールにするか、会社としてスタンダードなモデルを指定して配布すると良いでしょう。
機能性インナーでの調整
見落としがちですが、肌に直接触れるインナーウェアの選び方は体感温度に大きく影響します。夏場は吸汗速乾性のある冷感インナー、冬場は吸湿発熱素材のインナーを着用することで、衣服内気候をコントロールできます。
会社側としては、クールビズやウォームビズの期間を柔軟に設定し、カーディガンやひざ掛けの使用、ポロシャツやスニーカー通勤の許可など、服装による調整をしやすい雰囲気を醸成することが大切です。「上着を着る・脱ぐ」という単純な動作が、最も手軽で効果的な温度調節手段だからです。
まとめ
この記事の要点をまとめます。
- オフィスの適正室温は、2022年の法改正により「18度以上28度以下」への努力義務に変更されました。
- 生産性を最大化する目安は、夏場は25度~26度、冬場は20度~22度の実測室温です。
- 根本的な解決には、エアコン設定に頼るだけでなく、サーキュレーターや断熱グッズ、服装調整などの物理的対策の併用が不可欠です。
法律上の基準を守りつつ、働く人の感覚に寄り添った柔軟な運用で、快適なオフィス環境を実現してください。
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