お役立ち情報
オフィス敷金の相場は?返還されないケースや会計処理の方法も解説
2026.10.29
オフィスの移転や新規開設を検討する際、初期費用の中でも特に大きな割合を占めるのが「敷金」です。住宅の賃貸契約でも馴染みのある敷金ですが、オフィスの場合は相場や仕組みが大きく異なります。敷金は保証金とも呼ばれています。高額な敷金は企業のキャッシュフローに影響を与えるため、その役割や相場、会計処理の方法について正しく理解しておくことが重要です。 この記事では、オフィス敷金の基本的な知識から、費用を賢く抑える方法までを網羅的に解説します。適切な予算計画を立て、スムーズなオフィス移転を実現するための一助となれば幸いです。
目次
オフィスの敷金とは?基本的な役割を解説
オフィスの敷金とは、賃貸借契約を結ぶ際に、借主(テナント)が貸主(オーナー)に対して預ける担保金のことです。民法第622条の2で定められており、契約が終了し物件を明け渡す際に、未払いの賃料などがなければ原則として返還されます。敷金は、貸主が被る可能性のある経済的なリスクをカバーするために、主に3つの重要な役割を担っています。
賃料滞納時の担保
敷金の最も基本的な役割は、借主が賃料の支払いを滞納した場合の担保です。万が一、借主の経営状況が悪化するなどして賃料の支払いが滞った場合、貸主は預かっている敷金から未払い分を補填できます。貸主は賃料未回収のリスクを軽減できるのです。
原状回復費用の充当分
借主は、退去時にオフィスを入居時の状態に戻す「原状回復」の義務を負います。オフィスの場合、内装の変更や設備の設置など、住宅に比べて大掛かりな工事が行われることが多く、原状回復費用も高額になりがちです。借主が支払えない場合に備え、貸主は敷金からその費用を差し引けます。
【原状回復について詳しく知りたい方はこちら】
テナントの原状回復とは?費用の相場と工事の範囲を分かりやすく解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
契約違反時の損害補填
借主が契約期間の途中で解約するなど、契約内容に違反した場合に発生する違約金や損害賠償金の支払いに敷金が充てられることもあります。たとえば、契約書で定められた解約予告期間を守らずに退去した場合、貸主は次のテナントが見つかるまでの逸失利益などを損害として請求でき、支払いに敷金が利用されます。
敷金と礼金・保証金との違いは?

オフィス賃貸の契約時には、敷金とは全く性質の異なる「礼金」「保証金償却」といった費用が発生することがあります。違いを正確に理解しておくのは、契約内容を正しく把握し、トラブルを避ける上で非常に重要です。
保証金との違い
保証金は、特に関西地方で慣習的に用いられることが多い費用で、基本的な役割は敷金とほぼ同じです。賃料の滞納や原状回復費用などの担保として預けられ、退去時に原状回復費用や未払い費用を差し引いて返還されます。しかし、契約内容によっては「償却」が設定されており、預けた金額の一部が返還されないケースがある点が敷金との大きな違いです。契約時には、保証金(敷金)が償却される条件や割合を必ず確認しましょう。
礼金との違い
礼金は、物件を貸してくれた貸主に対して支払う謝礼金であり、敷金や保証金とは異なり、退去時に返還されることはありません。賃料の1ヶ月~2ヶ月分が相場ですが、最近ではテナント誘致のために礼金を設定しない物件も増えています。礼金は純粋なコストとなるため、初期費用を抑えたい場合は礼金なしの物件を探すのも一つの方法です。
オフィス敷金の相場は賃料の6ヶ月~12ヶ月分

オフィスの敷金相場は、一般的に月額賃料の6ヶ月~12ヶ月分とされており、住宅用賃貸物件の1ヶ月~2ヶ月分と比較して非常に高額です。たとえば、月額賃料50万円のオフィスを借りる場合、300万円から600万円もの資金を敷金として預ける必要があります。企業の初期投資において大きな負担となり得るのです。
敷金の計算方法
敷金は一般的に「敷金=計算対象となる月額賃料×敷金月数」で算出されます。月額賃料が50万円で敷金月数が6ヶ月の場合は、敷金は300万円です。
ただし、すべての物件で月額賃料が設定されているわけではありません。敷金額が固定されているケースもあるため、実際に契約する際は募集条件や賃貸借契約書を確認し、必要な金額を把握しておきましょう。
なぜ住宅用賃貸より敷金が高いのか
オフィス敷金が住宅用より高額な理由は、貸主が負うリスクの大きさにあります。
第一に、前述の通り、オフィスの原状回復費用は住宅に比べて高額になる傾向があるためです。第二に、企業の倒産などによる賃料の未払いリスクが挙げられます。借主が法人であるオフィス賃貸では、万が一倒産した場合、賃料の回収が困難になる可能性があります。高額な賃料が数ヶ月滞納されると貸主の損失は大きくなるため、リスクに備えて高額な敷金が設定されています。
敷金の相場は賃貸面積や貸主によって変動する
敷金の具体的な金額は、物件の条件によって変動します。一般的に、賃貸面積が広くなるほど敷金の月数も多くなる傾向にあります。また、貸主が個人のオーナーか、大手の不動産デベロッパーかによっても相場は異なります。
| 貸主の種類 | 賃貸面積 | 敷金の相場(月数) |
| 個人オーナー | 10坪~40坪 | 3ヶ月~6ヶ月 |
| 大手デベロッパー | 50坪以上 | 6ヶ月~12ヶ月 |
大手デベロッパーが所有する大規模なオフィスビルは、グレードが高く管理も行き届いているため、敷金も高く設定されるのが一般的です。
【オフィス移転にかかる費用について詳しく知りたい方はこちら】
オフィス移転の費用の目安は?内訳・相場や節約方法、概算事例を解説
賃貸面積以外に敷金に影響を与える要素
オフィスの敷金相場は、賃貸面積だけでなく、立地やビルのグレード、経済状況などによっても変わります。たとえば、都心の主要なビジネスエリアでは敷金が高めに設定される傾向がある一方、地方や郊外では比較的低く設定されているケースがあります。また、ビルグレードも金額を左右する要素の一つで、ハイグレードビルでは敷金が高額になる場合があります。
さらに、景気やオフィス需要の変化によっても条件が変わる可能性があります。景気が低迷している時期には敷金が引き下げられるケースがある一方で、法人の移転需要が高まる時期には高くなりやすいです。
オフィス敷金の会計処理と勘定科目について

敷金は、会計上「資産」として扱われ、適切な勘定科目で仕訳する必要があります。契約時から返還時まで、それぞれのタイミングで正しい経理処理が求められます。
契約時に支払う敷金の仕訳方法
契約時に敷金を支払った際は、資産の勘定科目である「差入保証金」または「敷金」として計上します。敷金が将来返還される権利、つまり資産であるためです。
返還されない敷金の償却と仕訳方法
契約書に「償却」の特約がある場合、返還されないことが確定している金額は、支払時に費用として計上します。一般的には、長期にわたって効果が及ぶ費用として「長期前払費用」で資産計上し、契約期間にわたって月々費用化(償却)する方法や、繰延資産として処理する方法があります。
敷金返還時の仕訳方法
退去時に敷金が返還された際は、預けていた「差入保証金」を取り崩す処理を行います。原状回復費用などが差し引かれて返還された場合は、差引額を「修繕費」などの費用勘定で計上します。
オフィス敷金はいつ、いくら返還される?

高額な敷金がいつ、いくら戻ってくるのかは、企業の資金計画において非常に重要な問題です。返還のタイミングや減額される要因を事前に把握しておくと、移転計画をスムーズに進められます。
敷金が返還される基本条件
敷金が返還されるためには、基本的に以下の3つの条件を満たしている必要があります。
・賃貸借契約が終了している
・物件の明け渡しが完了している
・賃料などの未払い債務がない
敷金が返還されるタイミング
敷金が返還される具体的なタイミングは、賃貸借契約書に定められていますが、一般的には「物件の明け渡し後、1ヶ月~3ヶ月以内」などと記載されていることが多いです。注意点として、「物件の明け渡し」とは、一般的に賃借人が退去した時点で成立し、敷金返還義務が発生しますが、実際の返還は原状回復工事の完了と費用精算・水道光熱費用等の清算後になるため、さらに時間がかかる場合があります。移転先の初期費用に返還される敷金を充当するのは、タイミング的に難しいケースが多いことを念頭に置いておきましょう。
敷金の返還額から差し引かれる費用
預けた敷金は、必ずしも全額が返還されるわけではありません。主に以下の費用が差し引かれる可能性があります。
償却費:契約時に「敷金の20%を償却する」などの特約がある場合、その金額が無条件で差し引かれる。
原状回復費用:テナントの故意や過失によって生じた損傷の修復費用。
未払い費用:賃料や共益費、水道光熱費などの未払い分。
クリーニング費用:契約書に特約として定められている場合の清掃費用。
では、例として50坪のオフィスで月額賃料50万円、敷金6ヶ月分を預け入れているケースを想定し、退去時に返還される敷金をシミュレーションしてみましょう。
| 敷金 | 300万円 |
| 償却費(敷金の20%を償却) | 60万円 |
| 原状回復費用(坪単価3万円) | 150万円 |
| 未払い費用 | 0円 |
| クリーニング費用 | 0円 |
| 返還額 | 90万円 |
この場合、預け入れた敷金300万円から償却費と原状回復費用が差し引かれるため、最終的な返還額は90万円となります。
敷金の返還額を最大化するポイント
敷金の返還額を少しでも多くするためには、入居中から退去時までの丁寧な対応を心掛ける必要があります。まず、入居時に室内の状況を写真などで記録し、既存の傷や汚れを貸主と相互に確認するのがトラブル防止につながります。退去時には、原状回復工事の見積もり内容を精査し、不必要な工事が含まれていないかの確認も大切です。
オフィス敷金の負担を抑える3つの方法

賃料の数ヶ月分にもなる敷金は、特にスタートアップ企業や事業拡大期の企業にとって大きな財務的負担となります。しかし、近年では初期費用を抑えるための様々なサービスや物件タイプが登場しています。ここでは、敷金を抑えるための方法を5つ解説します。
【オフィスのコスト削減の方法について詳しく知りたい方はこちら】
オフィスのコスト削減に取り組む8つの方法|コストの種類や注意点も解説
敷金減額サービスを利用する
敷金減額サービスは、保証会社が貸主に対して敷金の一部を保証することで、借主が実際に支払う敷金を削減できるサービスです。たとえば、本来であれば賃料の6ヶ月分の敷金が必要な物件でも、サービスを利用すると約1ヶ月程度の支払いで済む場合があります。サービス利用料はかかりますが、手元資金を確保し、事業投資などに活用できるメリットは大きいでしょう。
【保証会社について詳しく知りたい方はこちら】
オフィス賃貸の保証会社とは?仕組みや料金相場、審査ポイントを解説
居抜き・セットアップオフィスを選ぶ
「居抜きオフィス」は、前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継いで入居できる物件です。内装工事費用を大幅に削減できるだけでなく、敷金が低めに設定されているケースも少なくありません。また、「セットアップオフィス」は、貸主側で基本的な内装や家具があらかじめ設置されている物件です。こちらも内装工事が不要なため、初期費用を抑えることができ、スピーディーな入居が可能です。
【居抜きオフィスについて詳しく知りたい方はこちら】
居抜きオフィスはなぜ人気?セットアップオフィスの違いやメリット・優位性とは
フリーレント付き物件を探す
「フリーレント」とは、入居後一定期間(1ヶ月~6ヶ月程度)の賃料が無料になる契約形態です。敷金そのものが減額されるわけではありませんが、フリーレント期間中の賃料負担がなくなるため、移転初期のキャッシュフローに大きな余裕が生まれます。浮いた資金を運転資金や他の初期費用に充当できるため、総合的なコスト削減につながります。
敷金ゼロの物件を探す
近年、スタートアップ企業や新規プロジェクトの立ち上げにおいて、初期負担を抑えてスピーディーにオフィスを構えたいというニーズが高まっています。こうした背景から、敷金を不要とする物件も増えています。ただし、敷金がかからない一方で、賃料が割高に設定されている場合や、退去時の原状回復費用を全額実費で負担する特約が設けられている場合もあります。そのため、敷金の有無だけで判断せず、契約期間中の賃料や退去時にかかる費用なども含めたトータルコストで比較することが大切です。
当社がおすすめしている敷金ゼロのオフィス物件もぜひご覧ください。フリーレントよりも経費が抑えられる原状回復工事費用不要の(入退去ゼロ)物件もございます。
賃料の低い物件を探す
敷金は賃料を基準に設定されるケースが多いため、賃料の低い物件を選べば、敷金も抑えられる可能性があります。ただし、初期費用を抑えることだけを優先して物件を選ぶのはおすすめできません。立地や設備、働きやすさなどが業務効率や採用にも影響するので、企業が特に重視したい要素も考慮しながら総合的に判断することが大切です。
まとめ
オフィスの敷金は、賃貸借契約における貸主のリスクを担保するための重要な保証金です。相場は賃料の6ヶ月~12ヶ月分と高額であり、企業の財務戦略において無視できない要素です。敷金の役割や会計処理を正しく理解し、返還されるタイミングや減額要因を事前に把握しておくことで、予期せぬトラブルを避け、スムーズなオフィス運営が可能になります。
近年では、敷金減額サービスやセットアップオフィス、フリーレント付き物件など、初期費用を抑えるための選択肢も増えています。これらの方法を賢く活用し、自社の成長フェーズや財務状況に合った最適なオフィス選びを実現してください。
つながるオフィスでは、居抜きオフィスを中心に退去・移転に関するサポートを行っています。なかには敷金ゼロの物件も掲載していますので、初期費用をできるだけ抑えて移転したい企業様にも、さまざまな選択肢をご提案できます。敷金を抑えた移転をご検討の際は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
CONTACT US CONTACT US
居抜きオフィス物件の
入居・募集なら
つながるオフィスへお任せください
居抜き物件を探す
お問い合わせ
つながるオフィスについて
居抜き物件を登録(無料)
サステナビリティ
よくある質問
お役立ち情報
お知らせ
はじめての方
閲覧履歴
お気に入り



