オフィス敷金の相場は?返還されないケースや会計処理の方法も解説
2025.11.14


オフィスの移転や新規開設を検討する際、初期費用の中でも特に大きな割合を占めるのが「敷金」です。住宅の賃貸契約でも馴染みのある敷金ですが、オフィスの場合は相場や仕組みが大きく異なります。敷金は保証金とも呼ばれています。高額な敷金は企業のキャッシュフローに影響を与えるため、その役割や相場、会計処理の方法について正しく理解しておくことが重要です。 この記事では、オフィス敷金の基本的な知識から、費用を賢く抑える方法までを網羅的に解説します。適切な予算計画を立て、スムーズなオフィス移転を実現するための一助となれば幸いです。
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目次
オフィスの敷金とは?基本的な役割を解説
オフィスの敷金とは、賃貸借契約を結ぶ際に、借主(テナント)が貸主(オーナー)に対して預ける担保金のことです。民法第622条の2で定められており、契約が終了し物件を明け渡す際に、未払いの賃料などがなければ原則として返還されます。敷金は、貸主が被る可能性のある経済的なリスクをカバーするために、主に3つの重要な役割を担っています。
賃料滞納時の担保
敷金の最も基本的な役割は、借主が賃料の支払いを滞納した場合の担保です。万が一、借主の経営状況が悪化するなどして賃料の支払いが滞った場合、貸主は預かっている敷金から未払い分を補填できます。貸主は賃料未回収のリスクを軽減できるのです。
原状回復費用の充当分
借主は、退去時にオフィスを入居時の状態に戻す「原状回復」の義務を負います。オフィスの場合、内装の変更や設備の設置など、住宅に比べて大掛かりな工事が行われることが多く、原状回復費用も高額になりがちです。借主が支払えない場合に備え、貸主は敷金からその費用を差し引けます。
【関連記事】テナントの原状回復とは?費用の相場と工事の範囲を分かりやすく解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
契約違反時の損害補填
借主が契約期間の途中で解約するなど、契約内容に違反した場合に発生する違約金や損害賠償金の支払いに敷金が充てられることもあります。例えば、契約書で定められた解約予告期間を守らずに退去した場合、貸主は次のテナントが見つかるまでの逸失利益などを損害として請求でき、支払いに敷金が利用されます。
オフィス敷金の相場は賃料の6ヶ月~12ヶ月分
オフィスの敷金相場は、一般的に月額賃料の6ヶ月~12ヶ月分とされており、住宅用賃貸物件の1ヶ月~2ヶ月分と比較して非常に高額です。例えば、月額賃料50万円のオフィスを借りる場合、300万円から600万円もの資金を敷金として預ける必要があります。企業の初期投資において大きな負担となり得るのです。
なぜ住宅用賃貸より敷金が高いのか
オフィス敷金が住宅用より高額な理由は、貸主が負うリスクの大きさにあります。
第一に、前述の通り、オフィスの原状回復費用は住宅に比べて高額になる傾向があるためです。第二に、企業の倒産などによる賃料の未払いリスクが挙げられます。借主が法人であるオフィス賃貸では、万が一倒産した場合、賃料の回収が困難になる可能性があります。高額な賃料が数ヶ月滞納されると貸主の損失は大きくなるため、リスクに備えて高額な敷金が設定されています。
敷金額は賃貸面積や貸主によって変動する
敷金の具体的な金額は、物件の条件によって変動します。一般的に、賃貸面積が広くなるほど敷金の月数も多くなる傾向にあります。また、貸主が個人のオーナーか、大手の不動産デベロッパーかによっても相場は異なります。
| 貸主の種類 | 賃貸面積 | 敷金の相場(月数) |
| 個人オーナー | 10坪~40坪 | 3ヶ月~6ヶ月 |
| 大手デベロッパー | 50坪以上 | 6ヶ月~12ヶ月 |
大手デベロッパーが所有する大規模なオフィスビルは、グレードが高く管理も行き届いているため、敷金も高く設定されるのが一般的です。
敷金以外にオフィス移転時の坪単価の変動にご興味がある方はオフィス移転にかかる坪単価はいくら?100坪に拡大した時の概算事例を元に解説をご覧ください。
オフィス敷金の会計処理と勘定科目について
敷金は、会計上「資産」として扱われ、適切な勘定科目で仕訳する必要があります。契約時から返還時まで、それぞれのタイミングで正しい経理処理が求められます。
契約時に支払う敷金の仕訳方法
契約時に敷金を支払った際は、資産の勘定科目である「差入保証金」または「敷金」として計上します。敷金が将来返還される権利、つまり資産であるためです。
返還されない敷金の償却と仕訳方法
契約書に「償却」の特約がある場合、返還されないことが確定している金額は、支払時に費用として計上します。一般的には、長期にわたって効果が及ぶ費用として「長期前払費用」で資産計上し、契約期間にわたって月々費用化(償却)する方法や、繰延資産として処理する方法があります。
敷金返還時の仕訳方法
退去時に敷金が返還された際は、預けていた「差入保証金」を取り崩す処理を行います。原状回復費用などが差し引かれて返還された場合は、差引額を「修繕費」などの費用勘定で計上します。
オフィス敷金はいつ、いくら返還される?
高額な敷金がいつ、いくら戻ってくるのかは、企業の資金計画において非常に重要な問題です。返還のタイミングや減額される要因を事前に把握しておくと、移転計画をスムーズに進められます。
敷金が返還されるタイミング
敷金が返還される具体的なタイミングは、賃貸借契約書に定められていますが、一般的には「物件の明け渡し後、1ヶ月~3ヶ月以内」などと記載されていることが多いです。注意点として、「物件の明け渡し」とは、一般的に賃借人が退去した時点で成立し、敷金返還義務が発生しますが、実際の返還は原状回復工事の完了と費用精算・水光熱費用等の清算後になるため、さらに時間がかかる場合があります。移転先の初期費用に返還される敷金を充当するのは、タイミング的に難しいケースが多いことを念頭に置いておきましょう。
敷金の返還額から差し引かれる費用
預けた敷金は、必ずしも全額が返還されるわけではありません。主に以下の費用が差し引かれる可能性があります。
- 償却費:契約時に「敷金の20%を償却する」などの特約がある場合、その金額が無条件で差し引かれる。
- 原状回復費用:テナントの故意や過失によって生じた損傷の修復費用。
- 未払い費用:賃料や共益費、水道光熱費などの未払い分。
- クリーニング費用:契約書に特約として定められている場合の清掃費用。
敷金の返還額を最大化するポイント
敷金の返還額を少しでも多くするためには、入居中から退去時までの丁寧な対応を心掛ける必要があります。まず、入居時に室内の状況を写真などで記録し、既存の傷や汚れを貸主と相互に確認するのがトラブル防止につながります。退去時には、原状回復工事の見積もり内容を精査し、不必要な工事が含まれていないかの確認も大切です。
オフィス敷金の負担を抑える3つの方法
賃料の数ヶ月分にもなる敷金は、特にスタートアップ企業や事業拡大期の企業にとって大きな財務的負担となります。しかし、近年では初期費用を抑えるための様々なサービスや物件タイプが登場しています。
【関連記事】オフィス移転の費用とその削減方法 | 居抜き物件ならつながるオフィス
敷金減額サービスを利用する
敷金減額サービスは、保証会社が貸主に対して敷金の一部を保証することで、借主が実際に支払う敷金を削減できるサービスです。例えば、本来であれば賃料の6ヶ月分の敷金が必要な物件でも、サービスを利用すると約1ヶ月程度の支払いで済む場合があります。サービス利用料はかかりますが、手元資金を確保し、事業投資などに活用できるメリットは大きいでしょう。
居抜き・セットアップオフィスを選ぶ
「居抜きオフィス」は、前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま引き継いで入居できる物件です。内装工事費用を大幅に削減できるだけでなく、敷金が低めに設定されているケースも少なくありません。また、「セットアップオフィス」は、貸主側で基本的な内装や家具があらかじめ設置されている物件です。こちらも内装工事が不要なため、初期費用を抑えることができ、スピーディーな入居が可能です。
【関連記事】【基本解説】居抜きオフィスとは?メリットや注意点など網羅的に紹介! | 居抜き物件ならつながるオフィス
フリーレント付き物件を探す
「フリーレント」とは、入居後一定期間(1ヶ月~6ヶ月程度)の賃料が無料になる契約形態です。敷金そのものが減額されるわけではありませんが、フリーレント期間中の賃料負担がなくなるため、移転初期のキャッシュフローに大きな余裕が生まれます。浮いた資金を運転資金や他の初期費用に充当できるため、総合的なコスト削減につながります。
もしフリーレント以上に入居費用を抑えたい方は、当社がおススメしている敷金ゼロのオフィス物件も是非ご覧ください。フリーレントよりも経費が抑えられる原状回復工事費用不要の(入退去ゼロ)物件もございます。
敷金と礼金・償却補償金との違いは?
オフィス賃貸の契約時には、敷金とは全く性質の異なる「礼金」「償却」といった費用が発生することがあります。違いを正確に理解しておくのは、契約内容を正しく把握し、トラブルを避ける上で非常に重要です。
償却保証金との違い
保証金は、特に関西地方で慣習的に用いられることが多い費用で、役割は敷金とほぼ同じです。賃料の滞納や原状回復費用などの担保として預けられます。しかし、契約内容によっては「償却」という形で、預けた金額の一部が返還されないケースがある点が敷金との大きな違いです。契約時には、保証金(敷金)が償却される条件や割合を必ず確認しましょう。
礼金との違い
礼金は、物件を貸してくれた貸主に対して支払う謝礼金であり、敷金や保証金とは異なり、退去時に返還されることはありません。賃料の1ヶ月~2ヶ月分が相場ですが、最近ではテナント誘致のために礼金を設定しない物件も増えています。礼金は純粋なコストとなるため、初期費用を抑えたい場合は礼金なしの物件を探すのも一つの方法です。
まとめ
オフィスの敷金は、賃貸借契約における貸主のリスクを担保するための重要な保証金です。相場は賃料の6ヶ月~12ヶ月分と高額であり、企業の財務戦略において無視できない要素です。敷金の役割や会計処理を正しく理解し、返還されるタイミングや減額要因を事前に把握しておくことで、予期せぬトラブルを避け、スムーズなオフィス運営が可能になります。
近年では、敷金減額サービスやセットアップオフィス、フリーレント付き物件など、初期費用を抑えるための選択肢も増えています。これらの方法を賢く活用し、自社の成長フェーズや財務状況に合った最適なオフィス選びを実現してください。
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