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オフィス移転で使える補助金・助成金一覧!申請の流れや注意点を解説
2025.10.08


企業の成長や働き方の変化に伴い、オフィスの移転を検討する機会は少なくありません。しかし、移転には敷金・礼金、内装工事費、引越し費用など、多額のコストがかかるのが実情です。その大きな負担を軽減するために、国や地方自治体が提供する「補助金」や「助成金」の活用を検討してみてはいかがでしょうか。この記事では、オフィス移転で利用できる補助金・助成金の種類から、申請の具体的な流れ、そして見落としがちな注意点までを分かりやすく解説します。
目次
オフィス移転で補助金・助成金を活用すべき理由
オフィス移転には、数百万円から数千万円規模の費用が発生することも珍しくありません。参考までに社員を30名規模に増やすために100坪のオフィスに拡大移転した際のこちらの例では、概算にはなりますが、安くても1坪当たり約42万から、拘った設計などを行うと最大で152万前後の費用になる為、数千万円規模の費用がかかることになるでしょう。
補助金や助成金は、これらのオフィス移転の経費の一部を賄うことができるため、削減できた資金を新しい設備の導入や人材採用、事業開発といった、企業の成長に直結する分野へ投資することが可能になります。資金繰りに余裕が生まれることで、より戦略的な経営判断を下すことができるのです。
補助金と助成金の基本的な違いとは?
「補助金」と「助成金」は、どちらも原則として返済不要の資金ですが、その性質には明確な違いがあります。自社の目的に合った制度を選ぶために、基本的な違いを把握しておくことが重要です。
補助金は予算と審査がある
補助金は、主に経済産業省や地方自治体の管轄で、国の政策目標(例:中小企業の生産性向上、新規事業の創出)に合致する事業を支援する目的で提供されます。公募期間が定められており、提出された事業計画書などを基に厳格な審査が行われます。予算の上限があるため、申請したすべての企業が採択されるわけではなく、競争率が高い点が特徴です。その分、一件あたりの支給額は比較的高額になる傾向があります。
助成金は要件を満たせば受給しやすい
助成金は、主に厚生労働省の管轄で、雇用の安定や労働環境の改善といった目的で提供されます。定められた要件(例:非正規雇用者の正社員化、研修制度の導入)を満たしていれば、原則として受給することができます。通年で募集されているものが多く、補助金に比べて受給のハードルは低いといえます。ただし、一件あたりの支給額は補助金よりも少ない傾向にあります。
項目 | 補助金 | 助成金 |
主な管轄 | 経済産業省、地方自治体 | 厚生労働省 |
目的 | 政策目標に沿った事業の支援 | 雇用の安定、労働環境の改善 |
採択率 | 低い(審査あり) | 高い(要件を満たせば受給) |
支給額 | 比較的高額 | 比較的少額 |
公募期間 | 短期間で限定的 | 通年募集が多い |
【参考】雇用関係助成金一覧|厚生労働省
【国が主体】オフィス移転で活用できる補助金5選
オフィス移転そのものを直接の対象とする補助金は少ないですが、移転をきっかけとした「新しい取り組み」に対して活用できる制度は数多く存在します。ここでは代表的な5つの補助金を紹介します。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者が販路開拓や生産性向上のために行う取り組みを支援する制度です。オフィス移転に伴い、新たな販促用チラシを作成したり、店舗の改装を行ったりする際の経費が対象となります。従業員数が少ない事業者にとって、使い勝手の良い補助金です。
【参考】 小規模事業者持続化補助金【一般型】 持続化補助金とは
IT導入補助金
中小企業が業務効率化や生産性向上のためにITツールを導入する際の費用を補助する制度です。オフィス移転は、社内のIT環境を見直す絶好の機会です。新しい会計ソフトや勤怠管理システム、セキュリティ対策ツールなどを導入する際に活用できます。
尚、業種によって従業員数が異なりますが、小規模事業者(宿泊業・娯楽業を除く。)では社員数が5人から利用できる制度ですので外せない補助金になります。
事業承継・引継ぎ補助金
事業承継やM&Aをきっかけに、経営革新や事業転換に取り組む中小企業を支援する制度です。事業承継に伴ってオフィスを移転し、新たな設備投資や店舗改装を行う場合などが対象となります。
【参考】事業承継・M&A補助金
地方創生
引用:地方創生2.0
多くの都道府県や市町村が、企業誘致のために独自の補助金や助成金制度を設けています。例えば、オフィス賃料の一部を補助する制度、新規雇用者数に応じて奨励金を交付する制度、固定資産税を減免する制度など、その内容は多岐にわたります。移転先の候補地が決まったら、その自治体のウェブサイトを確認したり、商工担当部署に問い合わせたりしてみましょう。制度には期限がある為注意が必要です。
尚、大阪や福岡や仙台など地方都市に支店や本社移転を上席から指示をもらっているプロジェクト担当者は、併せて本社移転を徹底解説!計画から手続きまでの全手順と成功のポイントを確認するのも良いでしょう。
事業再構築補助金
新型コロナウイルスの影響を受け、新分野への展開や業態転換など、思い切った事業再構築に挑戦する企業を支援する補助金です。事業の再構築計画の中で、オフィスの移転や新築、改修が必要となる場合の建物費などが補助対象になる可能性があります。
オフィス移転や社員採用時に補助金と併せて活用したい助成金3選
助成金は、従業員の労働環境改善や雇用促進に関連するものが中心です。オフィス移転のタイミングで活用できる代表的な助成金を紹介します。尚運営者は国や自治体が主体です。
オフィスを移転するだけでは勿体ないです。併せてオフィス移転時に人事制度や働き方の規約変更もおすすめします。
働きやすさの柔軟性が生まれ、社員の帰属意識の向上・離職率の低下だけでなく、経済的にも企業にもメリットがありますので助成金も活用していきましょう。
キャリアアップ助成金
有期雇用やパートタイムといった非正規雇用者を正社員として登用したり、処遇を改善したりする事業主に対して支給される助成金です。オフィス移転を機に人事制度を見直し、従業員のキャリアアップを支援する際に活用できます。
【参考】キャリアアップ助成金|厚生労働省
テレワーク促進助成金(東京都の例)
東京都のように、自治体が独自にテレワーク導入を支援する助成金制度を設けている場合があります。オフィス移転に伴い、従業員がより柔軟に働けるようテレワーク環境を整備する際の、通信機器の導入費用などが対象となります。
【参考】令和7年度テレワークトータルサポート助成金:東京しごと財団
創業助成金(東京都の例)
創業初期の事業者を支援するための助成金で、これも多くの自治体で実施されています。創業から5年未満といった条件を満たす企業が、事業拡大のためにオフィスを移転する際の賃借料や広告費などが対象となる場合があります。
制度名 | 対象となる取り組みの例 |
キャリアアップ助成金 | オフィス移転を機に非正規雇用者を正社員化する |
テレワーク促進助成金 | 新オフィスでテレワークができる環境を整備する |
創業助成金 | 創業5年未満の企業が事業拡大のために移転する |
【参考】創業助成金(東京都中小企業振興公社)|融資・助成制度
オフィス移転で補助金・助成金を申請する流れ
補助金・助成金の申請は、計画的に進めることが成功の鍵です。一般的な申請から受給までの流れを5つのステップで解説します。
ステップ1:自社に合う制度の選定と情報収集
まずは、自社の移転目的や事業計画に合致する補助金・助成金を探すことから始めます。中小企業庁の「ミラサポplus」や各省庁、地方自治体のウェブサイトで最新の公募情報を確認しましょう。公募要領を熟読し、対象者、補助対象経費、申請期間などの条件を正確に把握することが重要です。
【参考】ミラサポplus 補助金・助成金 中小企業支援サイト|経済産業省 中小企業庁
ステップ2:事業計画書と申請書類の作成・提出
申請する制度が決まったら、必要書類の準備に取り掛かります。特に補助金の申請では、事業の目的や将来性、費用対効果などを具体的に記述した事業計画書の作成が不可欠です。定められた様式に従い、不備のないように作成し、受付期間内に提出します。
ステップ3:審査・採択・交付決定
提出された書類を基に、事務局による審査が行われます。審査期間は制度によって異なりますが、数週間から数ヶ月かかるのが一般的です。無事に審査を通過すると「採択通知」や「交付決定通知」が届きます。この通知を受け取ってから、正式に事業を開始できます。
【参考】スケジュール|ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト
ステップ4:事業の実施と完了報告
交付決定通知書に記載された事業計画に沿って、オフィス移転や設備投資などを実施します。事業期間中は、契約書や請求書、領収書など、経費の支払いを証明する書類をすべて保管しておく必要があります。事業が完了したら、所定の様式に従って実績報告書を作成し、証拠書類とともに事務局へ提出します。
ステップ5:補助金・助成金の受給
提出した実績報告書が審査され、内容に問題がなければ補助金額が確定し、指定した銀行口座に振り込まれます。申請から受給までには、長い場合で1年近くかかることもあります。
オフィス移転の申請前に必ず確認!補助金・助成金活用の5つの注意点
補助金・助成金は非常に魅力的な制度ですが、利用する際には注意すべき点もいくつか存在します。後で困らないよう、事前にしっかりと確認しておきましょう。
費用は原則「後払い」になる
最も重要な注意点として、補助金・助成金は原則として事業完了後の「後払い」であることです。 オフィス移転にかかる費用は、一旦自社で全額立て替える必要があります。資金繰りを十分に計画した上で申請しないと、キャッシュフローが悪化するリスクがあるため注意が必要です。
受給した補助金や助成金の内容によって税務処理が異なる
受給した補助金や助成金は、会計上「営業外収益」として扱われ、法人税の課税対象となります。 利益として計上されるため、受給額の全額が手元に残るわけではないことを念頭に置いておく必要があります。
参考:国から交付される補助金に税金はかかる?基礎知識や会計処理もあわせて解説
尚、補助金や助成金で購入した固定資産の減価償却の方法も大きく異なります。例えば100万円の機材を助成金40万円をもらって購入した場合、100万円分の固定資産の減価償却を行うのでは無く、60万円の減価償却になる圧縮帳簿等が該当する可能性もあります。
参照:国税庁
補助金や助成金の税務処理は給付内容によって異なる為、税理士に相談する必要があるでしょう。
申請手続きの事務負担が大きい
申請には、事業計画書の作成をはじめ、多数の書類準備が必要です。また、採択後も事業期間中の経費管理や完了報告など、煩雑な事務作業が伴います。 通常業務と並行してこれらの作業を行うには、相応のリソースが必要となることを覚悟しておきましょう。
公募期間が短く、制度が変更されやすい
特に補助金は、公募期間が1ヶ月程度と短い場合が多く、予算の上限に達し次第、早期に締め切られることもあります。 また、制度の内容は毎年度見直されるため、最新の公募要領を常に確認することが不可欠です。
虚偽の申請や目的外利用は返還義務がある
当然のことながら、申請内容に虚偽があった場合や、採択された事業目的以外に資金を利用した場合は、補助金の返還を求められます。 場合によっては加算金が課されることもあるため、誠実な申請と事業の実施が絶対条件です。
注意点 | 具体的な内容 |
後払いの原則 | 移転費用は一度全額自己資金で立て替える必要がある。 |
課税対象 | 受給額は「雑収入」として法人税の課税対象になる。 |
事務負担 | 申請から報告まで、多くの書類作成と手続きが必要。 |
期間と変更 | 公募期間は短く、制度内容は年度ごとに変更される可能性がある。 |
不正利用 | 虚偽の申請や目的外利用は、全額返還と加算金の対象となる。 |
まとめ
オフィス移転は企業にとって大きな投資ですが、補助金や助成金を賢く活用することで、その負担を大幅に軽減することが可能です。自社の事業計画と照らし合わせ、最適な制度を見つけることが第一歩です。
申請には手間や時間がかかりますが、コスト削減だけでなく、企業の信用度向上にもつながるなど、多くのメリットが期待できます。
この記事で解説したポイントを参考にしながら、オフィス移転にかかる坪単価はいくら?100坪に拡大した時の概算事例を元に解説を読む事で詳細なオフィス移転を金額がわかるので覗いてみてください。。
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