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オフィスの通路幅、法律基準と推奨寸法を解説!働きやすい環境作りのポイント
2025.10.24


オフィスの移転やレイアウト変更を検討する際、デスクやチェアの選定、会議室の配置などに目が行きがちですが、「通路幅」について深く考えたことはありますか。実は、オフィスの通路幅は、従業員の働きやすさや安全性に直結する非常に重要な要素です。通路が狭いと、移動時のストレスや業務効率の低下を招くだけでなく、災害時の避難に支障をきたす危険性もあります。この記事では、快適で安全なオフィス環境を実現するために不可欠な、通路幅の基準やレイアウトのポイントについて詳しく解説します。
目次
オフィスの通路幅が重要になる理由とは?
オフィスの通路は、単に人が移動するためのスペースではありません。従業員の安全、生産性、そしてコミュニケーションの質を左右する大切な要素です。なぜ通路幅がそれほど重要なのか、3つの視点から解説します。
従業員の安全性と健康を守るため
通路幅の確保は、何よりもまず従業員の安全を守るために不可欠です。特に地震や火災といった災害発生時には、通路が避難経路としての役割を果たします。通路に物が置かれていたり、幅が狭かったりすると、迅速な避難の妨げとなり大変危険です。
また、日常業務においても、狭い通路は人と人との接触や台車との衝突事故などを引き起こす原因になります。十分な幅を確保することで、従業員が安心して働ける環境を作ることができます。
業務の生産性を向上させるため
通路幅は、日々の業務効率にも大きく影響します。通路が狭いと、すれ違う際に体をよけたり、一度立ち止まったりする必要があり、移動に余計な時間とストレスがかかります。これが積み重なると、無視できない生産性のロスにつながります。
特に、資料を取りに行ったり、コピー機を使ったりと、オフィス内の移動が多い職種にとっては通路幅の不足は死活問題です。スムーズな動線を確保できる適切な通路幅は、業務を円滑に進める上で欠かせません。
円滑なコミュニケーションを促すため
通路にゆとりがあることは、社内のコミュニケーション活性化にも貢献します。通路で偶然会った同僚と立ち話をする、そんな何気ない会話から新しいアイデアが生まれたり、問題解決のヒントが見つかったりすることもあります。
しかし、通路が狭く、人の往来が激しい場所では、立ち話をしづらいものです。適度な幅のある通路は、偶発的なコミュニケーションが生まれる「余白」となり、組織全体の風通しを良くする効果が期待できます。
【内部リンク】オフィス環境の改善方法は?働きやすい職場をつくるための観点を紹介! | 居抜き物件ならつながるオフィス
知っておくべき通路幅に関する法律の基準
オフィスの通路幅は、ただ快適であれば良いというわけではなく、法律によって最低限の基準が定められています。安全な職場環境を確保するために、これらの法的要件を正しく理解し、遵守することが企業の義務です。ここでは、特に関連の深い3つの法律について解説します。


【労働安全衛生規則】最低80cm以上の確保が義務
労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」では、オフィス内の通路について、緊急時に従業員が安全に避難できるよう、その幅を規定しています。
| 通路の種類 | 規定 |
| 機械の間またはこれと他の設備との間の通路 | 幅80センチメートル以上 |
これは、オフィス内に設置されたデスクやコピー機、収納家具などの設備と壁や他の設備との間に設けられる通路全般に適用される基準です。あくまで安全を確保するための「最低限」の寸法であり、快適性を考慮すると、より広い幅を確保することが望ましいでしょう。
【参考】労働安全衛生規則 第2編 第10章 通路、足場等|安全衛生情報センター
【建築基準法】廊下の幅は120cmまたは160cm以上
建築基準法では、火災などの災害時に安全に避難できるよう、建物の廊下幅について規定しています。オフィスビルもこの法律の対象となります。(ただし、3室以下の専用廊下を除きます)
| 廊下の条件 | 最低限必要な幅 |
| 両側に居室がある場合 | 1.6m以上 |
| 片側のみに居室がある場合 | 1.2m以上 |
この規定は、執務スペース内の通路ではなく、執務室や会議室などをつなぐ「廊下」に適用されるものです。例えば、廊下の両側に会議室のドアがあるような場合は1.6m以上、片側は壁で片側のみに部屋がある場合は1.2m以上の幅が必要となります。オフィスのレイアウト設計において、この基準をクリアしているか確認することが重要です。
【消防法】避難経路の確保が最重要
消防法では、通路幅について具体的な数値を定めているわけではありません。しかし、火災発生時に人々が安全かつ迅速に避難できるよう、「避難経路」を確保することを最も重視しています。
通路は火災時における重要な避難経路です。そのため、避難の妨げになるような物品(例えば、段ボール、キャビネット、観葉植物など)を通路に置くことは、消防法違反となる可能性があります。定期的に通路に障害物がないかを確認し、常にスムーズな避難経路を維持することが求められます。
【シーン別】快適なオフィスの推奨通路幅
法律で定められた最低基準を守ることはもちろん重要ですが、従業員がストレスなく快適に働くためには、利用シーンに応じた「幅」を確保することが理想です。ここでは、オフィスの主要なエリアごとに、おすすめの通路幅の目安を解説します。
メイン通路:人がすれ違うための幅
多くの従業員が頻繁に行き来するメイン通路は、オフィス内で最も広い幅を確保すべき場所です。人と人がスムーズにすれ違え、場合によっては台車なども通行することを想定する必要があります。
| 通行する人数 | 推奨される幅 | 備考 |
| 1人が通る | 900mm | 余裕をもって通行できる幅 |
| 2人がすれ違う | 1200mm | 最低限すれ違える幅 |
| 2人がゆったりすれ違う | 1600mm | 災害時の避難経路も考慮した理想的な幅 |
デスク周りの通路:座席の背後やデスク間の幅
執務スペースは、従業員が最も長い時間を過ごす場所です。そのため、デスク周りの通路幅は、日々の業務効率や快適性に直接影響します。座席からの立ち座りや、着席している人の後ろを通る際の動きを考慮して設計することが重要です。
| 場所 | 推奨される幅 | 備考 |
| 座席の後ろが壁(通路なし) | 900mm | 椅子を引いて立ち座りができる最低限の幅 |
| 座席の後ろが通路(人が通る) | 1200mm | 着席している人の後ろをスムーズに通れる幅 |
| 背面式の座席と座席の間 | 1800mm | お互いが椅子を引いてもぶつからず、間を人が通れる幅 |
収納家具・コピー機周りの通路:作業スペースを考慮した幅
キャビネットや書庫、複合機などの周りは、扉の開閉や用紙の補充、複数人が同時に利用するなど、特有の動きが発生します。これらの作業スペースを考慮せずに通路幅を決めると、非常に使い勝手の悪い空間になってしまうので注意が必要です。
| 場所 | 推奨される幅 | 備考 |
| デスクと収納庫(開き戸)の間 | 1500mm | 椅子に座った状態で、後ろの収納庫の扉を開閉できる幅 |
| 通路に面したコピー機の前 | 1100mm | コピー機を操作する人の後ろを、別の人が通れる幅 |
会議室の通路:椅子の出し入れと移動を考えた幅
会議室では、参加者全員がスムーズに着席・離席できることが大切です。特に、会議の途中で中座したり、後から入室したりするケースも想定し、十分な通路幅を確保する必要があります。
| 場所 | 推奨される幅 | 備考 |
| テーブルと壁の間(通路なし) | 900mm | 椅子を引いて立ち座りができる幅 |
| テーブルと壁の間(通路あり) | 1200mm | 着席している人の後ろをスムーズに通れる幅 |
通路幅を確保しつつスペースを有効活用するアイデア
「通路幅の重要性は分かったけれど、オフィスの面積には限りがある」という悩みは尽きないものです。ここでは、十分な通路幅を確保しながら、限られたオフィススペースを最大限に活用するための4つのアイデアをご紹介します。
【内部リンク】オフィスレイアウトは重要!基本の7パターンと成功させるコツを解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
コンパクトなオフィス家具を選ぶ
オフィスのスペースを圧迫する最大の要因は、デスクや収納庫などの家具です。近年では、働き方の多様化に合わせて、従来の標準サイズよりも一回り小さなコンパクトタイプのデスクも増えています。例えば、一般的なデスクの奥行きが700mmであるのに対し、600mmのものを採用するだけで、通路幅を100mmも広く確保できます。従業員の業務内容に合わせて、最適なサイズの家具を選びましょう。
収納庫を引き違い戸タイプにする
壁際に設置する収納庫やキャビネットは、扉のタイプによって必要なスペースが大きく異なります。観音開きのタイプは、扉を開けるためのスペースを通路側に確保する必要があります。一方、扉を横にスライドさせて開閉する「引き違い戸」や「スライドドア」タイプであれば、扉の開閉スペースが不要なため、通路幅をより広く確保できます。
ペーパーレス化で収納スペースを削減する
オフィスで多くの面積を占めているのが、書類を保管するためのキャビネットや書庫です。契約書や請求書などを電子化し、クラウド上で管理するペーパーレス化を推進することで、これらの収納家具そのものを大幅に削減できます。空いたスペースを通路や他のワークスペースとして活用すれば、オフィス全体にゆとりが生まれます。
フリーアドレス制を導入してレイアウトを最適化する
従業員が固定席を持たずに、その日の業務内容に合わせて自由に働く場所を選べるフリーアドレス制も有効な手段です。在席率に合わせて座席数を最適化できるため、部署ごとにデスクを配置する従来のレイアウトよりもスペース効率が高まります。これにより、通路やコミュニケーションスペースなど、オフィス全体でゆとりのある空間設計が可能になります。
オフィスレイアウトで通路幅以外に注意すべきポイント
快適で生産性の高いオフィスを作るためには、通路幅だけでなく、いくつかの重要なポイントを総合的に考慮する必要があります。ここでは、通路幅と合わせて考えたい3つの注意点について解説します。
動線計画を意識する
効率的な動線計画は、無駄な移動を減らし、生産性を向上させます。例えば、連携の多い部署同士を近くに配置する、全従業員が利用する複合機やリフレッシュスペースをオフィスの中心に置くなどの工夫が考えられます。通路幅の確保と合わせて、人や情報の流れがスムーズになるような動線計画を立てましょう。
ユニバーサルデザインを取り入れる
年齢、性別、国籍、身体的な違いなどにかかわらず、誰もが快適に利用できるオフィスを目指す「ユニバーサルデザイン」の視点も重要です。車椅子利用者がスムーズに通れるよう、通路幅を最低でも900mm以上確保することや、床の段差をなくすことなどが挙げられます。多様な人材が活躍できるインクルーシブな環境づくりは、企業の持続的な成長に不可欠です。
参考: Microsoft Word – 2部3章170327#
災害時の転倒防止対策を行う
地震などの災害時には、背の高い収納庫やパーテーションが転倒し、通路を塞いでしまう危険性があります。これが避難の妨げになるだけでなく、従業員が下敷きになり怪我をする恐れもあります。壁や床に家具を固定する、L字金具で連結するなどの転倒防止対策を必ず行いましょう。通路幅の確保とセットで安全対策を講じることが重要です。
まとめ
オフィスの通路幅は、法律で定められた基準を遵守することはもちろん、従業員が安全かつ快適に働けるための「思いやり」のスペースでもあります。適切な通路幅は、日々の業務効率を高め、円滑なコミュニケーションを促し、そして何よりも万が一の際に従業員の命を守る重要な役割を担っています。
今回ご紹介したシーン別の推奨幅やスペース活用のアイデアを参考に、自社の働き方に合った最適なオフィスレイアウトを実現してください。働きやすい環境づくりが、従業員の満足度と企業の生産性を向上させる第一歩となるでしょう。
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