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【計算式あり】オフィス床荷重の目安とは?重量物設置の注意点と対策
2026.02.25


オフィスの移転やレイアウト変更を任されたとき、意外と見落としがちなのが床荷重です。「自動販売機やサーバーラックなど重量のある設備を置きたいけど、床が抜けないか心配」といった不安を感じたことはないでしょうか。もし床荷重の確認を怠って床がへこんでしまった場合、余計な原状回復費用が掛かってしまいます。この記事では、オフィスの床荷重(ゆかかじゅう)の基本知識から、建築基準法の目安、重量物を置く際の計算方法と対策までを、専門用語を噛み砕いて分かりやすく解説します。読み終わる頃には、あなたのオフィスにその機器を置いて大丈夫かの判断や、不動産会社に質問ができる知識が身につくはずです。
そもそもオフィスの床荷重とは?
オフィスビルには、安全性や耐久性を保つために「どれくらいの重さまで載せて良いか」という限界値が設定されています。これを「床荷重(積載荷重)」と呼びます。普段私たちがデスクワークをしている分には意識する必要はありませんが、特定の場所に重い物を集中して置く場合には、この数値を正しく理解しておく必要があります。
まずは床荷重の基本的な定義について確認していきましょう。
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1㎡あたりの床が耐えられる重さの指標
床荷重とは、簡単に言えば「1平方メートル(㎡)あたりの床が耐えられる重量」のことです。物件の図面や仕様書には「積載荷重」として記載されていることが多く、この数値を超えない範囲で家具や機器を配置する必要があります。
イメージとしては、1m×1mの正方形のスペースに、どれだけの荷物を積み上げられるかを表した数値だと考えてください。
| 用語 | 意味 | イメージ |
| 床荷重(積載荷重) | 床に載せることができる積載物の最大重量 | 人、家具、物品などの合計 |
| 固定荷重 | 建物自体の重さ | 床スラブ、天井、柱など |
| 地震荷重 | 地震発生時に建物にかかる力 | 耐震設計に関わる数値 |
私たちがオフィス選びやレイアウト変更で気にするべきなのは、表の一番上にある「床荷重(積載荷重)」です。この数値は建物全体で一律ではなく、部屋の用途やエリアによって異なる設定がされていることもあります。たとえば、一般的な執務室エリアと、倉庫や書庫として使うエリアでは、設定されている床荷重が違うケースも珍しくありません。
建築基準法における基準値と目安
「じゃあ、普通のオフィスはどれくらいの重さに耐えられるの?」という疑問が湧いてくると思います。日本の建物は建築基準法という法律で厳格にルールが決められており、最低限クリアしなければならない基準値が存在します。ここでは法律上の数値と、実務でよく見かける一般的なオフィスの目安について見ていきましょう。
法律上の最低基準は2900N(約295kg)
建築基準法において、オフィスの事務室としての用途に使われる床は、1㎡あたり「2900N(ニュートン)」以上の積載荷重に耐えられるように設計しなければならないと定められています。この「N(ニュートン)」という単位が少し厄介で、直感的に重さが分かりにくい原因になっています。後ほど詳しく解説しますが、ざっくり「約300kg」と覚えておくと現場での判断が早くなります。
300キロの物を例に上げると、グランドピアノがちょうど300キロぐらいと言われております。つまり、法律ギリギリで作られたビルであっても、1㎡あたり約300kgまでは耐えられる(グランドピアノが置ける)設計になっているということです。
一般的なオフィスビルは300kg〜500kg
法律の最低ラインは約300kgですが、実際の賃貸オフィス市場では、もう少し余裕を持たせた設計が一般的です。多くのオフィスビルでは、300kg/㎡から500kg/㎡の範囲で床荷重が設定されています。特に新しいビルやグレードの高いビルでは、レイアウトの自由度を高めるために500kg/㎡程度を標準としていることも増えてきました。
| 建物のグレード・用途 | 床荷重の目安
(1㎡あたり) |
適した利用シーン |
| 一般的なオフィスビル | 300kg〜500kg | 通常のデスクワーク、軽量な収納 |
| 古いビル・小規模ビル | 約300kg(2900N) | 一般的な事務作業のみ |
| ハイスペックビル | 500kg〜800kg | 書庫、多少の重量機器の設置 |
| ヘビーデューティーゾーン | 700kg〜1000kg | サーバー室、大型金庫、移動書架 |
このように、物件によって耐えられる重さは異なります。特に「ヘビーデューティーゾーン」と呼ばれる補強エリアがある物件では、通常の倍以上の重さに耐えられる場所が用意されているため、重量物を置く予定がある場合はこうした物件を探すのが近道です。
ニュートン(N)からキログラム(kg)への換算方法
物件資料を見ると「積載荷重:2900N/㎡」と書かれていることがほとんどです。この「N(ニュートン)」を私たちが普段使う「kg(キログラム)」に変換するには、簡単な計算式を使います。厳密には「1kgf(重量キログラム)=約9.8N」という定義がありますが、実務上は「約10N=1kg」として計算すると分かりやすいです。つまり、ニュートンの数値を約10で割れば、おおよそのキログラム数が分かります。
正確な換算式は以下の通りです。
2900N÷9.8≒295.9kg
この計算から、建築基準法の2900N/㎡は「約295kg/㎡」となります。現場では安全率(余裕)を見て、「約300kg弱」と認識しておくのが安全です。もし資料に「3000N/㎡」とあれば約306kg、「5000N/㎡」とあれば約510kgまで耐えられるということになります。この換算方法を知っておくだけで、不動産担当者との会話がスムーズになります。
注意が必要な重量物の具体例
オフィスの床は300kg〜500kgまで耐えられると聞くと、「意外と丈夫だな」と感じるかもしれません。しかし、油断は禁物です。オフィスで使用する機器の中には、想像以上に重いものが存在します。ここでは特に注意が必要な重量物の代表例を紹介します。
サーバーラック・複合機・耐火金庫
これらは「点」で重さがかかるため、特に注意が必要です。たとえば大型の複合機は150kg〜200kg程度あり、オプションユニットを付けるとさらに重くなります。耐火金庫に至っては、小型のものでも100kgを超え、大型の業務用となると300kg〜500kgに達することも珍しくありません。
サーバーラックも要注意です。サーバー機器そのものは数kgでも、ラックに何台も詰め込むと総重量は数百kgになります。
| 機器・設備 | 重量の目安 | 注意点 |
| 大型複合機 | 50kg〜200kg | 接地面(キャスター)に負荷が集中する |
| 業務用耐火金庫 | 200kg〜500kg以上 | 見た目以上に重く、移動が困難 |
| サーバーラック | 300kg〜1000kg | ラック+搭載機器+配線で高重量になる |
| 自動販売機 | 250kg〜450kg | 中身(飲料)が入ると非常に重くなる |
これらの機器を導入する際は、カタログの「本体重量」だけでなく、中身が入った状態の「総重量」を確認することが大切です。
サーバラックが置けるおススメのオフィス一覧はこちら
移動式書架(高密度収納)
書類を大量に保管するための「移動式書架(手動や電動で棚をスライドさせるタイプ)」は、オフィス内で最も床荷重オーバーになりやすい設備の一つです。通常の棚よりも高密度に紙を収納できるため、省スペースにはなりますが、その分単位面積あたりの重量が跳ね上がります。
紙は意外と重く、A4用紙1箱(5冊入り)で約10kgあります。これが棚一面に詰まると、1㎡あたり1トン(1000kg)を超えることも珍しくありません。移動式書架を導入する場合は、通常の床荷重(300kg〜500kg)ではまず耐えられないと考え、事前の構造確認や補強工事を前提に検討する必要があります。
床荷重オーバーのリスクと計算方法
「少しぐらいオーバーしても大丈夫だろう」という安易な判断は危険です。建物はすぐに崩壊しなくても、徐々にダメージが蓄積されていきます。ここでは、許容荷重を超えた場合に起こりうるリスクと、実際に安全かどうかを確かめるための計算の考え方を解説します。
床のたわみやOAフロアの破損リスク
床荷重を超えた重量物を設置し続けると、床スラブ(コンクリートの床板)が徐々にたわんでいきます。たわみが発生すると、ドアの開閉がしづらくなったり、パーティションに隙間ができたりといった不具合が生じます。また、現代のオフィスの多くは、配線を床下に隠すための「OAフロア(二重床)」になっています。このOAフロアのパネルや支柱が重量に耐えきれず、破損したり凹んだりするトラブルも多発しています。
合計重量÷梁で囲まれた面積で負荷を計算する
設置予定の機器が床荷重をオーバーしていないか確認するには、梁で囲まれた範囲全体の荷物の合計重量をその面積で割る計算を行います。
計算方法:梁で囲まれた範囲にある荷物の合計重量(kg)÷梁で囲まれた面積(㎡)=単位面積あたりの荷重(kg/㎡)
このように「機器の重さそのもの」ではなく「面積あたりの負荷」で考えることが非常に重要です。
重量をクリアするための具体的な対策
計算の結果、床荷重をオーバーしてしまった場合でも、すぐに諦める必要はありません。いくつかの対策を講じることで、安全に設置できる可能性があります。実務でよく行われる3つの解決策を紹介します。
| 対策方法 | メリット | デメリット |
| 重量分散プレート | 既存オフィスですぐ実施可能 | 見た目が少し無骨になる、段差ができる |
| 梁上・壁際配置 | コストがかからない | レイアウトが制限される |
| ヘビーデューティーゾーン | 最も安全で確実 | 対応物件が限られる、賃料が高い傾向 |
重量分散プレート(鉄板)を敷く
最も一般的で手軽な対策は、機器の下に「重量分散プレート」を敷くことです。厚みのある鉄板やコンパネ(合板)を敷くことで、機器の脚やキャスターに集中していた荷重を、より広い面積に分散させることができます。ただし、プレート自体の重さも加算されるため、余裕を持った計算が必要です。
尚、補強工事や部分的な内装工事を行う場合は、ビルによって工事区分(金額の大小)が大きく異なります。
特に、床荷重などの構造に関わる部分に不安がある方は、B工事に相場が無い理由とは?ABC工事の違いと注意点をわかりやすく解説もおすすめです。
梁(はり)の上や壁際に設置する
建物の構造上、最も強度が高いのは「梁(はり)」の上や、柱に近い「壁際」です。逆に、部屋の中央部分はスラブがたわみやすいため、重量物の設置には不向きです。レイアウトを検討する際は、建物の構造図を確認し、大梁(おおばり)が通っているラインの上に重量機器を配置するようにしましょう。これにより、床への負担を大幅に軽減し、たわみのリスクを抑えることができます。
ヘビーデューティーゾーンを活用する
これから物件を探すのであれば、最初から「ヘビーデューティーゾーン(重荷重対応エリア)」が設けられているビルを選ぶのがベストです。最近のオフィスビルでは、一部のエリア(コア周りなど)だけ床荷重を700kg/㎡〜1000kg/㎡に強化しているケースが増えています。このゾーンに合わせてサーバー室や倉庫を配置すれば、補強工事や鉄板敷設の手間をかけずに、安全かつスマートに重量物を設置できます。
OAフロア(二重床)特有の注意点
最後に、現代のオフィスに欠かせないOAフロア(フリーアクセスフロア)についての注意点です。OAフロアは、コンクリートの床の上に脚を立ててパネルを敷き詰めた構造になっています。そのため、コンクリート床(スラブ)の耐荷重だけでなく、OAフロアのパネル自体の耐荷重も確認しなければなりません。
パネル自体の耐荷重性能を確認する
OAフロアのパネルには、素材や構造によって耐荷重ランクがあります。一般的な樹脂製や軽量コンクリート製のパネルは、3000N(約300kg)〜5000N(約500kg)程度の耐荷重性能が一般的です。
しかし、中には歩行用として作られた強度の低い製品もあります。重量物を置くと、床スラブは大丈夫でも、OAフロアのパネルが割れたり、支柱が曲がったりすることがあります。サーバーラックなどの重量物を設置する場合は、その部分だけOAフロアをカットして直置き(スラブ置き)にするか、高強度の補強用架台を使用する工事が必要になることがあります。
まとめ
本記事の要点を振り返ります。
- 基準値の確認:法律上の最低基準は約300kg/㎡(2900N/㎡)ですが、重量物を置くなら500kg/㎡以上の物件やヘビーデューティーゾーンが安心です。
- 計算と対策:機器重量だけでなく「設置面積あたりの負荷」を計算し、オーバーする場合は鉄板での荷重分散や梁(はり)上への配置を検討してください。
- 専門家への相談:OAフロアの耐性や建物の構造判断は難しいため、不安な場合は必ず管理会社や内装業者に相談してから設置しましょう。
オフィスの安全性は、働く人の安心に直結します。正しい知識で床荷重をチェックし、トラブルのない快適なオフィス環境を整えられるでしょう。
床荷重に耐えられるオフィス不動産が選ぶことが出来たら、オフィス内装費の実事例も以下の記事から合わせてご確認ください。
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