お役立ち情報
オフィス戦略の立て方とは?課題を解決する5つの手順と成功の秘訣
2026.02.17


オフィス移転やレイアウト変更を検討する際、単に「賃料を下げたい」「流行りの設備(テレカンブースやバーカウンター)を入れたい」といった視点だけで進めていないでしょうか。働き方が多様化した現在、オフィスは単なる作業場所ではなく、企業の成長を左右する重要な経営資源です。 この記事では、経営課題を解決するための「オフィス戦略」の策定方法について、総務や経営企画の担当者が明日から使える具体的な手順を解説します。読み終える頃には、自社に最適なオフィス運用の戦略イメージに合わせた物件探しが出来るようになるでしょう。
オフィス戦略が今なぜ必要なのか?
多くの企業がオフィス戦略の見直しを迫られている根本的な背景には、これから紹介する3つの理由があります。
・経営目標の達成の武器に使う(コミュニケーションの効率化)
・優秀な人材の獲得と定着
・ハイブリッドワークへの対応
そのほかにも、オフィス費用(ファシリティコスト)を下げて経営資源を効率化する縮小移転もあります。
【関連記事】経営戦略としての縮小移転 | 居抜き物件ならつながるオフィス
上記の理由を具体的に解説します。
経営目標の達成の武器に使う(コミュニケーションの効率化)
オフィス戦略は、経営戦略を実行するための強力なエンジンとなります。事業の成長フェーズに合わせて、必要な部門間の連携を強化したり、意思決定のスピードを上げたりする仕掛けを空間に組み込めるからです。
つまりコミュニケーションコストを下げる事にオフィス戦略が活きてきます。
例えば、新規事業を創出したい企業であれば、異なる部署の社員が自然と会話を交わせるマグネットスペースを動線の中心に配置します。逆に、集中して開発を進めたい場面であれば、遮音性の高い個室ブースを充実させる事もあるでしょう。
つまり、経営が目指すゴールから逆算してオフィス環境を構築することで、社員の行動が変わり、結果として経営目標の達成スピードが早まるのです。
優秀な人材の獲得と定着
働く環境は、求職者が企業を選ぶ際の重要な判断基準の一つになっています。特に若い世代や優秀なエンジニアなどは、給与条件だけでなく「自分が心地よく、効率的に働ける環境か」を厳しくチェックしています。
ブランディングされた魅力的なオフィスや、多様な働き方を許容する環境は、採用競争力を高めるための投資です。
また、既存社員にとっても、快適で誇りを持てるオフィスはエンゲージメント(帰属意識)を高める要因となり、離職率の低下に寄与します。人材流出を防ぎ、採用コストを抑制するという観点からも、オフィス戦略は人事戦略と密接にリンクしています。
最近では「社員が来たくなるオフィス」というリモート廃止をきっかけに、オフィスに積極投資をする企業も増えてきております。
ハイブリッドワークの最適化
リモートワークと出社を組み合わせたハイブリッドワークが定着した今、オフィスの役割そのものが再定義されています。「集まること」に価値を持たせない限り、社員はわざわざ時間をかけて出社しようとは思いません。
自宅ではできない対面でのブレインストーミング、チームビルディング、偶発的な出会いなどを意図的に設計する必要があります。出社率を一律に強制するのではなく、社員が「行きたくなる」場所としてオフィスを再構築することが求められています。
それぞれの企業文化に合った出社とリモートのバランスを見極め、それに適した広さと機能を定義することが現代のオフィス戦略です。
オフィス戦略を構成する要素とは?
良い戦略を立てるためには、検討すべき要素を漏れなく洗い出す必要があります。オフィス戦略は単なる内装工事の話ではなく、以下の3つの要素が複雑に絡み合って成立しています。
| 要素 | 概要 | 具体的な検討内容 |
| ハード(空間) | 物理的な場所や設備 | 立地、広さ、レイアウト、家具、ICTツール |
| ソフト(制度) | 運用ルールや働き方 | テレワーク規定、座席ルール、交通費支給形態 |
| 体験(UX) | 社員が感じる価値 | 居心地の良さ、帰属意識、コミュニケーションの質 |
ハードとソフトの融合
物理的な空間(ハード)と、それを運用する制度(ソフト)はセットで考える必要があります。どんなに高機能なフリーアドレス席を用意しても、運用ルールが曖昧で「毎日同じ席に座る」ことが暗黙の了解になっていれば、その投資は無駄になります。
逆に、制度だけ柔軟にしても、Web会議をする場所が不足しているようなオフィスでは生産性が下がります。戦略策定においては、空間デザインと同時に、それを利用するためのガイドラインやITインフラの整備を並行して進めることが不可欠です。
コストと投資対効果のバランス
オフィスにかかる費用を「コスト」として削減対象と見るか、「投資」としてリターンを求めるかで戦略は大きく変わります。もちろん無尽蔵に予算を使える企業はありませんが、単なる賃料削減だけを目的にすると、結果として社員のモチベーション低下を招き、見えない損失を生むことがあります。
重要なのは、かけた費用に対してどのような効果(コミュニケーション量の増加、採用応募数の向上など)を得たいかを明確にすることです。コスト削減と価値創造のバランスをどこに置くかが、その企業の経営スタンスを表します。
従業員体験の設計
近年重要視されているのが、オフィスでの時間を通じて社員がどのような感情を抱くかという「従業員体験(EX)」の視点です。機能性や効率性だけでなく、オフィスのエントランスに入った瞬間の高揚感や、リラックスできるカフェスペースでの安らぎなど、感性的な価値も戦略の一部です。社員が「この会社で働いていてよかった」と感じられる瞬間を、オフィスの随所に散りばめる設計が求められます。
これはエンゲージメントスコア(eNPS)などの指標にも直結する重要な要素となります。
また、出社率が増えたことで「オフィスが狭い」と出社している人たちのストレスを防ぐレイアウト設計も必要でしょう。
【参照】オフィスの一人当たり面積はどれくらい?快適な職場を実現する計算方法とレイアウト術を解説!
戦略策定の具体的な手順は?
ここからは、実際にオフィス戦略を立案するためのプロセスを5つのステップで解説します。この手順に沿って進めることで、論理の飛躍を防ぎ、経営層への説得力を高めることができます。
【関連記事】本社移転を徹底解説!計画から手続きまでの全手順と成功のポイント | 居抜き物件ならつながるオフィス
現状の課題を数値で把握する
まずは、現在のオフィス利用状況と課題を客観的なデータとして収集します。感覚的に「手狭になった」「会議室が足りない」と言うだけでは、適切な解決策は導けません。具体的には、実際の座席稼働率調査、会議室の予約実績と実際の利用人数の乖離チェック、社員へのアンケート調査などを実施します。
例えば、座席稼働率が平均40%であれば、固定席を廃止してフリーアドレス化し、スペースを縮小またはコラボレーションエリアに転換できる可能性があります。このように数値に基づいた現状分析が、戦略の出発点となります。
【関連記事】オフィス移転の課題とは?計画から移転後までの9の壁と解決策を解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
「あるべき姿」を言語化する
次に、経営理念や中期経営計画に基づき、新しいオフィスで実現したい「あるべき姿(コンセプト)」を定義します。「イノベーションが生まれる場所」「社員が健やかに働ける場所」など、プロジェクトの指針となるキーワードを設定しましょう。
このコンセプトが曖昧だと、後のレイアウト決定や家具選定の段階で意見が割れた際に、判断基準がブレてしまいます。経営層へのヒアリングを行い、会社が将来どのような組織になりたいのかを深掘りし、それを空間のコンセプトに落とし込む作業が重要です。
【関連記事】オフィスコンセプトの決め方を徹底解説!成功事例から学ぶ理想の職場づくり | 居抜き物件ならつながるオフィス
必要な機能と場所を選定する
コンセプトが決まったら、それを実現するために必要な機能と立地条件を具体化します。集中ブースが必要なのか、大人数が入れるセミナールームが必要なのか、あるいは顧客を招くためのラウンジが必要なのかをリストアップします。立地についても、営業効率を重視して都心の一等地に構えるのか、通勤の利便性を重視してターミナル駅近くにするのか、あるいはコストを抑えて郊外にするのかを検討します。この段階で、必要な総面積(坪数)と予算の概算も見えてきます。
運用ルールとKPIを設定する
ハード面の計画と並行して、新しいオフィスの運用ルールと成功指標(KPI)を定めます。フリーアドレスにするなら、私物を置かないためのロッカー運用や、座席占有を防ぐルールが必要です。
また、戦略の成否を判断するためのKPIとして、エンゲージメントスコアの上昇率、平均残業時間の削減率、オフィス内でのコミュニケーション回数などを設定します。移転や改装が終わった後で「なんとなく良くなった」で終わらせず、定期的に効果測定を行える状態にしておくことが、戦略的なオフィス運営です。
社内合意を形成する
最後に、策定した戦略を経営層および従業員にプレゼンテーションし、合意を得ます。特に従業員に対しては、変更に対する不安を取り除くための丁寧なコミュニケーションが必要です。なぜオフィスを変えるのか、それによって働き方がどう良くなるのかを、コンセプトに基づいてストーリーとして伝えます。説明会を開催したり、社内ニュースレターで進捗を共有したりして、社員を巻き込みながらプロジェクトを進めることが、移転後の定着をスムーズにします。
成功するオフィス戦略の事例は?
他社がどのような意図を持ってオフィス戦略を実行したかを知ることは、自社の構想を練る上で大きなヒントになります。ここでは、明確な目的を持ってオフィスを変革した代表的なアプローチを紹介します。
資生堂の「GLOBAL VISION CENTER」でビューティーイノベーションを創出
資生堂は2021年6月、本社汐留オフィスを「GLOBAL VISION CENTER」として本格稼働させ、第34回日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」を受賞しました。Activity Based Workplace(ABW)対応のオフィスリノベーションを実施し、働く時間と場所を自由に選択できる環境を構築しています。非日常の空間で自由な発想を得る新価値創造フロア「ELEVEN」や、「食」を通じたコミュニケーションを促進するカフェテリア「ZEBRA」を設置し、ブランドの世界観を体感しながらビューティーイノベーションの創出を目指す空間となっています。
資生堂本社 汐留オフィスが第34回 日経ニューオフィス賞「ニューオフィス推進賞」を受賞
パナソニック コネクトの「COMMONS」でABWによる自律的な働き方を推進
パナソニック コネクトは2025年1月、ワークプレイス改革の第2章として「COMMONS」を本社浜離宮ビルと大阪拠点に開設しました。ABW(Activity Based Working)を推進し、仕事の内容や状況に合わせて最適な場所を選べる多様なワークスペースを備えています。チームでのブレインストーミング用スペース、集中作業のための静かな空間、創造性を刺激するスペースなど、社員一人ひとりが求める働き方に対応可能です。フォーマルにもインフォーマルにも自由に活用でき、オープンでカジュアルなコミュニケーションを可能にする設計となっています。
https://news.panasonic.com/jp/topics/206101
戦略実行で失敗しないための注意点は?
どれほど立派な戦略書を作成しても、実行段階で躓いてしまうケースは少なくありません。プロジェクトを円滑に進め、期待した効果を得るために避けるべき落とし穴を解説します。
従業員の声を反映させる
トップダウンだけで決めたオフィス戦略は、現場の反発を招きやすく失敗の原因となります。経営層が「フリーアドレスで交流を」と意気込んでも、現場では「書類が多くて席移動ができない」「モニターがないと仕事にならない」といった実務的な事情があるからです。
プロジェクトの初期段階から各部署の代表者へのヒアリングや全社員アンケートを実施したりして、現場のリアルな声を吸い上げましょう。
自分たちの意見が反映されたと感じられれば、社員は変化に対して前向きになり、新しいオフィスへの愛着も湧きやすくなります。
柔軟な変更の余地を残す
オフィスは一度作ったら終わりではなく、組織の変化に合わせて成長させていくものです。最初からすべての家具やレイアウトをガチガチに固定してしまうと、人員増加や組織変更に対応できなくなります。可動式の家具を採用したり、用途を限定しない多目的スペースを設けたりして、使い方を柔軟に変更できる余白を残しておくことが重要です。
運用開始後も定期的に利用状況をモニタリングし、使いにくい場所があればレイアウトを変更するなど、アジャイルに改善を繰り返す姿勢が、長期的な満足度維持につながります。
【関連記事】【今さら聞けない】オフィスレイアウトのコツは?配置や費用も解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
オフィス戦略のまとめ
- オフィス戦略は、経営目標の達成、人材確保、ハイブリッドワーク最適化のために不可欠な投資である。
- 戦略策定には、現状の数値分析、コンセプトの言語化、運用ルールの設計が重要となる。
- 現場の声を反映させ、運用開始後も柔軟に改善し続ける
オフィス戦略は、これまでの慣習にとらわれず、自社にとって本当に価値のあるオフィスのあり方を定義し、経営層や社員を巻き込みながらプロジェクトを推進することです。
オフィスの選び方で組織のポテンシャルや事業の財務を最大限に引き出し、企業の持続的な成長へとつながっていきます。
CONTACT US CONTACT US
居抜きオフィス物件の
入居・募集なら
つながるオフィスへお任せください


居抜き物件を探す
























