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オフィス移転マニュアルの決定版!担当者が知るべき全手順とチェックリストを解説
2025.12.16


企業の成長や働き方の変化に伴い、オフィスの移転は多くの企業にとって重要な経営課題の一つです。しかし、初めてオフィス移転の担当者になったものの、「何から手をつければ良いか分からない」「必要なタスクや手続きが複雑で不安だ」とお困りではありませんか。オフィス移転は、単なる引越しではなく、多岐にわたる業務を計画的に進める必要のある一大プロジェクトです。本記事では、移転担当者が知っておくべきオフィス移転の全手順を、時系列に沿って分かりやすく解説します。このマニュアルを参考にすれば、抜け漏れなく、スムーズに移転プロジェクトを成功させることができるでしょう。
目次
オフィス移転の成功は事前の全体像把握から
オフィス移転を成功させるための最初のステップは、プロジェクトの全体像、とくに「スケジュール」と「費用」を正確に把握することです。これらを事前に理解しておくことで、現実的な計画を立て、予期せぬトラブルを防ぐことができます。
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オフィス移転にかかる期間とスケジュール
オフィス移転には、一般的に6ヶ月から1年程度の期間が必要です。企業規模やプロジェクト内容によって必要な準備期間が大きく変わります。しかし、どの企業にも共通して言えるのは「余裕を持ったスケジュールを組むことが成功の第一歩である」という点です。
移転は物件探しだけでなく、レイアウト設計、工事、社内調整、官公庁手続きなど多岐にわたる業務が同時進行するため、全体像を把握したうえで計画的に進める必要があります。
| 時期 | 主なタスク |
| 6ヶ月以上前 | 移転目的の明確化、プロジェクトチーム結成、現オフィスの契約確認 |
| 5~4ヶ月前 | 新オフィスの選定、賃貸借契約の締結、旧オフィスの解約予告 |
| 3~2ヶ月前 | 新オフィスのレイアウト設計、内装・インフラ工事会社の選定・発注 |
| 1ヶ月前 | 各種行政手続きの準備、社内外への移転通知、引越し会社の手配 |
| 移転当日 | 荷物の搬出・搬入、インフラ設定の最終確認 |
| 移転後 | 旧オフィスの原状回復・明け渡し、移転後の行政手続き、新オフィス運用開始 |
このスケジュールはあくまで一例であり、各ステップで発生するタスクを具体的に洗い出し、自社専用のスケジュール表を作成することが成功への鍵となります。
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オフィス移転で発生する費用の内訳
オフィス移転にかかる費用は多岐にわたります。予算を策定する際は、以下の項目を漏れなく計上しましょう。とくに「原状回復工事費」と「内装工事費」は、総額の大部分を占めるため、複数の企業から見積もりを取ることが重要です。
- 旧オフィス関連費用:原状回復工事費、不用品の廃棄処理費用
- 新オフィス関連費用:不動産仲介手数料、保証金(敷金)、礼金、前払賃料、火災保険料、内装デザイン・工事費、インフラ工事費、オフィス家具購入費
- 引越し関連費用:引越し作業費
- その他費用:移転挨拶状の作成・送付費、会社登記の変更手続き費用など
これらの費用を事前に把握し、余裕を持った予算計画を立てることで、プロジェクト途中の資金不足といった事態を避けることができます。
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【6ヶ月前~】オフィス移転の計画と準備
プロジェクトの初期段階である「計画・準備」フェーズは、移転全体の方向性を決定する最も重要な期間です。ここでの決定が、後のすべてのステップに影響を与えます。
移転目的を明確にする
なぜオフィスを移転するのか、その目的を明確に言語化しましょう。「人員増加によるスペース不足の解消」「リモートワーク導入に伴うオフィス規模の最適化」「企業ブランディングの向上」など、目的によって選ぶべき物件やオフィスのデザインは大きく異なります。この目的がプロジェクトの羅針盤となり、関係者全員の意思決定の基準となります。
プロジェクトチームを結成する
オフィス移転は、総務部門だけで完結するものではありません。経営層、情報システム、人事、そして各事業部門の代表者を含めた専門のプロジェクトチームを結成しましょう。各部門の要望を吸い上げ、専門的な知見を集約することで、移転後のトラブルを防ぎ、全従業員にとって働きやすいオフィスを実現できます。
現オフィスの契約内容を確認する
現在入居しているオフィスの賃貸借契約書を詳細に確認します。とくに「解約予告期間」と「原状回復義務の範囲」はかならずチェックすべき重要項目です。解約予告は一般的に退去の6ヶ月前までと定められていることが多く、この期間を逃すと余分な賃料が発生してしまいます。また、原状回復の範囲を貸主と事前にすり合わせておくことで、退去時のトラブルを未然に防ぎます。
【5~4ヶ月前】新オフィスの選定と契約
計画フェーズで定めた目的に基づき、新しいオフィスの選定と契約を進めます。この段階は、企業の未来を左右する重要な意思決定の連続です。
新オフィスの条件を定義する
移転目的を基に、新オフィスに求める具体的な条件をリストアップします。立地(最寄り駅、取引先へのアクセス)、面積(従業員一人当たりの坪数)、賃料、必要な設備(会議室の数、セキュリティレベル)、ビルの耐震性やBCP対応など、優先順位を付けて条件を整理することが、効率的な物件探しにつながります。
物件情報を収集し内見する
設定した条件を基に、オフィス専門の不動産仲介会社に依頼して物件情報を収集します。有望な物件が見つかったら、かならず現地に足を運び内見を行いましょう。内見時には、図面だけでは分からない室内の形状、天井高、コンセントの位置、共用部の清潔さ、周辺環境などを自分の目で確かめることが重要です。
賃貸借契約を締結する
移転先が決定したら、貸主と賃貸借契約を締結します。契約書の内容は専門家の助言も得ながら、隅々まで確認しましょう。とくに、契約面積の計算方法、賃料発生日(フリーレントの有無)、更新条件、禁止事項などは、後々のトラブルを避けるために重要なチェックポイントです。
旧オフィスの解約予告を通知する
新オフィスの契約が完了し、移転日が確定したら、速やかに現オフィスの貸主に対して、契約書に定められた方法で解約予告通知書を提出します。この通知が遅れると、二重に賃料を支払う期間が発生してしまうため、タイミングを逃さないよう注意が必要です。
【3~2ヶ月前】新オフィスの設計と支援サービス選定
新しいオフィスを具体的に形にしていくフェーズです。理想の働き方を実現するため、多くの専門会社と連携してプロジェクトを推進します。
新オフィスのレイアウトを設計する
設定したコンセプトに基づき、新オフィスの具体的なレイアウトを設計します。執務スペース、会議室、リフレッシュスペースなどの配置を、従業員の動線やコミュニケーションの活性化を考慮しながら決定します。近年は、Web会議用の個室ブースや、多様な働き方に対応するフリーアドレス席の導入も人気です。
各種支援サービスを選定し発注する
オフィス移転には、内装デザイン・施工会社、電気・通信工事会社、引越し会社など、さまざまな専門家の力が必要です。複数の会社から提案と見積もりを取り、実績やサポート体制を比較検討した上で、信頼できるパートナーを選定しましょう。会社選定が移転プロジェクトの成否を分けると言っても過言ではありません。
原状回復工事の見積もりと手配
現オフィスの賃貸借契約に基づき、原状回復工事の準備を進めます。貸主指定の会社がいる場合と、自社で選定できる場合がありますので、契約書を再度確認しましょう。工事範囲と費用を確定させるため、複数の会社から見積もりを取得し、適切な会社に手配します。
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【1ヶ月前~当日】各種手続きと移転作業
いよいよ移転が目前に迫るこの時期は、行政手続きや社内外への連絡など、事務的な作業が集中します。チェックリストを活用し、抜け漏れなく対応しましょう。
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関係各所への届出を準備する
オフィス移転に伴い、法務局、税務署、社会保険事務所、労働基準監督署など、さまざまな官公庁への届出が必要です。提出先や期限がそれぞれ異なるため、事前にリストアップし、計画的に準備を進めましょう。とくに法務局への本店移転登記は、移転後2週間以内という期限があるため注意が必要です。
| 提出先 | 主な届出書類 | 提出期限の目安 |
| 法務局 | 本店移転登記申請書 | 移転後2週間以内 |
| 税務署 | 異動届出書 | 移転後速やかに |
| 都道府県税事務所 | 事業開始等申告書 | 都道府県によって異なる(例:東京都は移転後15日以内) |
| 労働基準監督署 | 労働保険名称、所在地等変更届 | 移転の翌日から10日以内 |
| ハローワーク | 雇用保険事業主事業所各種変更届 | 移転の翌日から10日以内 |
| 年金事務所 | 適用事業所名称/所在地変更(訂正)届 | 移転後5日以内 |
| 消防署 | 防火対象物使用開始届出書 | 使用開始の7日前まで |
| 郵便局 | 転居届 | 移転前のできるだけ早い時期 |
社内外への移転通知を行う
取引先や顧客に対して、移転の挨拶状を送付します。移転日、新住所、新しい連絡先を明記し、余裕をもって発送しましょう。また、従業員に対しても、移転のスケジュール、新しいオフィスの使い方、引越し作業に関するマニュアルなどを配布し、スムーズな移行を促します。自社のウェブサイトや会社案内の情報更新も忘れずに行いましょう。
引越しと荷物の梱包・搬入を行う
引越し会社と詳細なスケジュールを打ち合わせ、計画的に荷造りを開始します。部署ごとに荷物をまとめ、箱には中身と新オフィスでの配置場所を明記しておくと、荷解き作業が効率化します。移転当日は、プロジェクトチームが中心となり、搬出・輸送・搬入が計画通りに進んでいるかを管理します。
【移転後】旧オフィスの明け渡しと新オフィスの運用
移転作業が完了しても、プロジェクトはまだ終わりではありません。最終的な手続きと、新しい環境でのスムーズな業務開始に向けたフォローアップが重要です。
旧オフィスの明け渡し
引越し後、旧オフィスで原状回復工事を実施します。工事が完了したら、貸主の立ち会いのもとで状態を確認し、問題がなければ鍵を返却して明け渡し完了となります。この際、預けていた保証金(敷金)の返還についても最終確認を行います。
移転後に必要な行政手続き
事前に準備していた書類を、各官公庁の定める期限内に提出します。法務局への登記申請をはじめ、税務署や社会保険事務所などへの届出を、チェックリストに基づき確実に完了させましょう。これらの手続きが遅れると、過料の対象となる場合もあるため注意が必要です。
新オフィスでの業務開始とルール周知
いよいよ新オフィスでの業務がスタートします。移転直後は、ネットワークの不具合や設備の使い方が分からないなど、細かなトラブルが発生しがちです。プロジェクトチームが中心となり、迅速に対応できる体制を整えておきましょう。また、新しい会議室の予約方法やセキュリティルールなど、新オフィスの運用ルールを全従業員に周知徹底することも重要です。
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オフィス移転でよくある失敗例と対策
最後に、オフィス移転で陥りがちな失敗例とその対策を紹介します。これらのポイントを意識することで、より円滑なプロジェクト進行が可能になります。
スケジュール遅延の対策
内装工事の遅れや、行政手続きの不備など、予期せぬトラブルでスケジュールが遅延することがあります。対策として、全体のスケジュールにバッファ(予備期間)を設けること、そして各タスクの進捗を週次などで定期的に確認し、問題の早期発見に努めることが有効です。
予算オーバーの対策
当初の見積もりになかった追加工事の発生や、廃棄費用の増大などで予算を超過してしまうケースは少なくありません。これを防ぐためには、見積もりを精査し、予備費を予算に組み込んでおくことが重要です。また、プロジェクトの途中で仕様変更を行う際は、かならず追加コストを確認するプロセスを徹底しましょう。
従業員とのコミュニケーション不足の対策
移転の目的や進捗状況が従業員に十分に共有されず、不満や混乱を招くことがあります。対策として、社内説明会を定期的に開催したり、社内報やポータルサイトで専用ページを設けたりするなど、積極的な情報発信を心がけましょう。従業員の意見を吸い上げるアンケートを実施することも、満足度の高いオフィス作りにつながります。
まとめ
オフィス移転は、計画から移転後の運用まで、多くのステップと注意点を伴う複雑なプロジェクトです。しかし、全体像を正確に把握し、各フェーズでやるべきことを一つひとつ着実に実行していけば、かならず成功させることができます。本記事で紹介したマニュアルと手順を参考に、貴社の未来を創造する新しいオフィスづくりを、ぜひ成功に導いてください。
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