天井が高いオフィスは後悔する?天井スケルトン物件が向かない業種と3つのデメリット
2025.12.12


開放的でおしゃれなスケルトン天井のオフィス。内見で「開放感ある・・・天井が高い」と一目惚れする担当者様も多い人気のスタイルです。 しかし、「本当に自社の業務に合うのか?」「空調や音の問題は大丈夫か?」と不安もよぎりませんか? 結論、スケルトン天井の物件を選ばない(適さない)業種が存在します。 更にそれだけではありません。スケルトン天井の物件にかかるランニング費用を記事内で紹介する部分にコストを掛けたほうが良いケースもございます。 一方である業種は逆にスケルトン天井を導入しないと採用等で「損」をする場合も。この記事では、スケルトン天井の物件の選定時に失敗しない業種別の判断基準と、高額な退去費用などのリスクを回避する賢い物件の選び方まで解説します。
目次
- なぜこれほど人気?スケルトン天井のオフィスを選ぶ3つのメリット
- 圧倒的な「開放感」と広く見える視覚効果
- デザイン性が高く「ブランディング・採用」に有利
- 既にスケルトン天井になっている物件を選ぶこと内装費がかからない
- スケルトン天井の物件で後悔しやすいデメリット
- 空調効率が悪化し「光熱費」が上がる・場所による寒暖差
- 音が反響しやすく「話し声・雑音」が気になる
- 原状回復工事の費用が高額になりやすい
- 人気のデザイナーズ仕様が多く「賃料」が割高な傾向にある
- オフィスの天井スケルトン物件の移転に適さない業種
- IT・Web系企業はスケルトン天井にしないと「後れを取る」理由
- まとめ:賢くスケルトン天井を導入するなら「セットアップオフィス」という選択肢
なぜこれほど人気?スケルトン天井のオフィスを選ぶ3つのメリット
物件探しで既にスケルトン天井のオフィスを選ぶと主に3つのメリットがあります。
圧倒的な「開放感」と広く見える視覚効果
一般的な賃貸オフィスの天井高は平均2.6m前後ですが、天井材を撤去してスケルトンにすることで、物件によっては50㎝。最大で1m近く空間が上に広がります。
物理的な床面積(坪数)は同じでも、視界が縦に抜けるだけで体感する広さは段違い。
頭上の圧迫感が消えることは、単に「広く見える」だけでなく、働く社員の心理的な閉塞感やストレスを軽減し、自由で柔軟な発想を生み出すきっかけにもなります。
デザイン性が高く「ブランディング・採用」に有利
デザイン性の高いオフィスは、採用と広報活動において強力な武器になります。働く環境の魅力は企業の勢いを可視化し、求職者の入社意欲を強く後押しするからです。
例えば当社の移転事例でご紹介している株式会社ビビッドソウル様では、おしゃれなオフィスへの移転直後から毎月1名ペースでの採用に成功。以前は困っていたSNS用の撮影場所も確保でき、写真映えする情報発信が活発化しました。洗練された空間は、優秀な人材の獲得とブランディングに直結します。
関連記事:vol1株式会社ビビッドソウル「銀座から企業カラーにあった内装付きオフィスへの移転」
既にスケルトン天井になっている物件を選ぶこと内装費がかからない
おしゃれなオフィスを安く借りる方法として、最初からスケルトン天井になっている「セットアップオフィス」や「居抜き物件」を選ぶのが賢い選択です。
通常、天井を抜いて塗装や配線整理を行うと、数百万円単位の内装工事費が発生します。しかし、既に完成されている物件なら、この施工費は一切かかりません。高額な初期投資をすることなく、契約してすぐにデザイン性の高いオフィスを利用できるのが最大のメリットです。
スケルトン天井の物件で後悔しやすいデメリット
おしゃれなスケルトン天井の物件はメリットだけだと思いきや、オシャレを重視した故のデメリットが4つほどございます。
このデメリットがスケルトン天井に適さない業種があるといわれる理由です。
空調効率が悪化し「光熱費」が上がる・場所による寒暖差
スケルトン天井の大きな弱点は、空調効率の悪化です。天井板を外すと冷暖房すべき空気の体積(気積)が大幅に増えるため、効きが悪くなります。
特に冬場は「暖かい空気は上へ移動する」性質があるため、せっかく暖めた空気が高い天井付近に溜まってしまい、人が座っている足元はいつまでも寒いまま……という底冷えが起きます。
快適な室温を保とうとすれば空調をフル稼働させる必要があり、結果として毎月の電気代が上がってしまいます。
音が反響しやすく「話し声・雑音」が気になる
一般的なオフィス天井に使われている「吸音ボード(岩綿吸音板)」がないため、むき出しのコンクリートが音をダイレクトに反射してしまいます。
これが現代の働き方、特に「Web会議」において使いにくいのも事実。あちこちでオンライン商談が始まると、話し声がワンワンと反響してしまい、自分の会議の妨げになるだけでなく、通話相手にも「御社の後ろ、騒がしいですね」と不快感を与えてしまうリスクがあります。静かな環境が必要な業務には大きなストレスとなります。
このデメリットに関してはテレカンブースの設置などで解決しますが、設置費用等が掛かる為、集中ブースなどのスペースを設けておくのが良いでしょう。
原状回復工事の費用が高額になりやすい
スケルトン天井を導入する際、最大のリスクとなるのが退去時の「原状回復費用」です。契約上、元のボード天井へ戻す義務がある場合、天井の下地からすべて組み直す必要があり、数百万円単位の工事費が発生することも珍しくありません。
そのため、物件契約の段階から「居抜き退去(内装を残したままの退去)」が可能か確認しておくことが重要です。次のテナントにそのまま引き継ぐことができれば、高額な復旧工事費を削減できるため、出口戦略として事前に想定しておきましょう。
人気のデザイナーズ仕様が多く「賃料」が割高な傾向にある
スケルトン天井の物件は、「デザイナーズオフィス」としての付加価値が付くため、周辺の一般的なオフィスビルに比べて賃料や管理費が割高な傾向にあります。
しかし、業種によってはそのコストが無駄になる場合もあります。特に富裕層や堅実な顧客をターゲットとするビジネスの場合、ラフな印象の天井に高い家賃(ランニングコスト)を払い続けるよりも、高級感のあるソファや重厚なインテリアなどの「家具」に予算を投資したほうが、顧客への信頼感やブランディングにおいて高い効果を発揮します。
自社の顧客層に合わせて、どこにコストをかけるべきかを見極める必要があるでしょう。
オフィスの天井スケルトン物件の移転に適さない業種


10年以上オフィス仲介を行っている当社として、お客様のニーズから天井スケルトン物件が適さない業種として代表的な3つをご紹介します。
電話対応やWeb会議が業務の大半を占める業種(コールセンター・インサイドセールス)
電話対応やWeb会議が業務の主軸となるコールセンターやインサイドセールス部門には、スケルトン天井はおすすめできません。
最大の理由は、コンクリート剥き出しの空間が音を激しく反響させ、通話品質を下げる傾向があるからです
実際に、架電業務が重なる夜の時間帯(特に2C事業)になると、オペレーターの声がワンワンと響き渡り、隣席の声までマイクが拾ってしまいます。「騒がしくて聞き取れない」と顧客に不快感を与えたり、聞き間違いによるトラブルが発生したりするリスクがあります。
「声」がサービスになる業種では、デザイン性よりも吸音性に優れた一般的な天井をおススメしております。
機密情報を多く扱い、個室での密談が多い士業(弁護士・税理士など)
弁護士や税理士など、高度な機密情報を扱う士業にスケルトン天井は不向きです。構造上、壁の上部に隙間ができやすく、会話が筒抜けになるリスクが高いからです。
「サウンドマスキング(特殊な空調音などで会話を聞こえにくくする設備)」を導入して防ぐ方法もありますが、スピーカーや制御機器の導入には高額な設備投資が必要です。
仮にパーティションで個室を作っても天井付近に隙間(欄間)ができやすく、そこから隣の部屋や廊下へ音が漏れてしまいます。クライアントとの深刻な相談や、企業の財務に関する会話が、待合室の来客や他のスタッフに丸聞こえになってしまっては、信用問題に発展しかねません。
わざわざ高いコストをかけて「漏れる音」を誤魔化すくらいなら、最初から防音性と遮音性に優れた一般的な天井のオフィスを選び、顧客のプライバシーを確実に守る環境を整えるほうが良いのでは無いのでしょうか?
尚、人間のプライベートに踏み込んだセンシティブ情報を扱う弁護士のオフィス等では、通常天井のオフィスを選んだとしても、追加で床下のOAフロアの部分や天井の僅かな隙間を埋める工事を行う事があります。注意点として天井やフロアの工事はビルの構造に関わる為、C工事に該当しない場合がある点です。
物件を契約する前に工事区分を確認しておくことがおすすめですが、そもそもC工事って何?って状況であるなら、以下記事をご確認ください。
参照:B工事に相場が無い理由とは?ABC工事の違いと注意点をわかりやすく解説
信頼と堅実さが求められる金融機関や伝統的な企業
金融機関や、歴史ある大手企業との取引がメインの企業も、スケルトン天井の導入には慎重になったほうが良いかもしれません。
理由は、スケルトン天井特有のラフなデザインが、堅実な業界では「ネガティブな印象」として受け取られる可能性があるからです。
ITやクリエイティブ業界では「革新的」と評価されるデザインも、お堅い企業の役員層から見れば「工事中のようで未完成」「チャラい会社」と誤解されるリスクがあります。
第一印象の「信頼感」が最も重要な金融機関系の業種は奇をてらわず、重厚感や清潔感のある標準的なオフィスを選んだ方がビジネスは円滑に進むでしょう。
逆にスケルトン天井の物件に余分なランニングコストを払うのであれば、家具などのグレードを上げるほうが御社のメイン顧客に受けがよさそうです。
IT・Web系企業はスケルトン天井にしないと「後れを取る」理由
一方で IT企業にとっては「普通の天井」こそがリスクであったりします。
その代表的な理由は以下の3つです
一般的な天井高(2.4m)では「閉塞感」があり、アイデアが死んでしまう


一般的なオフィスの天井高(2.4m〜2.6m)は、長時間モニターに向き合う職種にとって「圧迫感」を感じやすい高さです。
実は、天井の高さと思考には相関関係があり、「天井が高い空間ほど、自由な発想や抽象的な思考が生まれやすい」という説は多くの企業で支持されています。物理的な窮屈さを取り払うことは、新しいアイデアを生み出すための合理的な戦略なのです。次に実際の論文にある例をご紹介します
カテドラル効果とは:空間が思考モードを支配するメカニズム
「カテドラル効果」とは、建物の天井の高さが人々の思考スタイルや認知プロセスに直接的な影響を与える心理現象のことです。
結論から言えば、天井が高い空間は「抽象的で創造的な思考」を、天井が低い空間は「具体的で緻密な思考」を促進させる効果があるようです。
その根拠として上げられるのが、2007年に実証研究をされた論文:Meyers-Levy & Zhu (2007) にあります。彼らの研究によると、人間は物理的な空間から無意識のうちに概念的な影響(プライミング)を受けています。
- 高い天井(約3m以上): 空間的な広がりが自由の概念を活性化させ、物事のつながりや全体像を捉える関係的思考を促します。
- 低い天井(約2.4m): 空間的な囲まれ感が拘束されていると感じ、細部のデータや個別の要素に着目するそうです。
ビジネスの現場に置き換えると、新規事業のクリエイティブ的な職業やビジョンの策定などの「自由な発想」が求められる場面では、天井が高く開放的な空間を選ぶことが合理的。
一方で、複雑な数値の分析や契約書のチェックなどの主に金融業に多い、「ミスの許されない実務」を行う場合は、天井が低く落ち着いた会議室の方が高いパフォーマンスを発揮できます。
つまり、目的に応じて天井の高さを使い分けることは、人間の心理状況や脳の情報処理モードをコントロールできる戦略なのです。
参照:Meyers-Levy & Zhu (2007) 原文(英語)
競合他社がこぞって導入しており、普通のオフィスだと「古い会社」に見られる
IT・Web業界において、スケルトン天井はもはや「標準装備」と言っても過言ではありません。競合他社のほぼ全てが導入している状況で、普通の天井を選ぶことは「時代遅れ」な印象を与えるリスクすらあります。
むしろ重要なのは、そこからの差別化です。スケルトン天井という自由なキャンバスがあれば、照明や配管の色、空間演出でその企業だけの「個性」を表現できます。画一的なオフィスでは不可能な、自社ブランドを体現する空間を作るためにも必須の選択です。
ITエンジニアの採用には、最低でも1人あたり平均135万円以上のコストがかかると言われています。せっかく多額の費用をかけて採用したのに、オフィスの環境(音や空調)が原因で早期離職されてしまっては、経営的な損失は計り知れません。」
出典:マイナビ「中途採用状況調査2025年版」より中途採用全体の平均コストを参照
小規模なオフィスでも「広く見せる」ための有効な戦略
都心の一等地で固定費を抑えるため、あえてコンパクトな物件を借り、テレワークやフリーアドレスで稼働率を調整する。そんな「コスト効率」を最優先するIT企業にこそ、スケルトン天井は欠かせない戦略です。
物理的な床面積が狭くても、頭上の空間が抜けていれば「狭さ」は驚くほど感じなくなります。家賃という固定費を限界まで削ぎ落としつつ、出社する社員には「広々とした快適な環境」を提供する。これは単なるデザインではなく、経営効率を高めるための賢い空間活用術です。
まとめ:賢くスケルトン天井を導入するなら「セットアップオフィス」という選択肢
スケルトン天井の最大のネックである「高額な原状回復費用」と「施工リスク」。これらを一挙に解決するのが、内装工事済みの状態で貸し出される「セットアップオフィス」を選ぶ方法です。
最大のメリットは、退去時に天井を元に戻す必要がないことです。オーナー側が設備として提供しているため、入居時のまま返却すればよく、数百万円規模の撤去コストを回避できます。
また、プロのデザイン会社が空調効率や配線ダクトを計算して設計しているため、「暑くて仕事にならない」「配線が汚い」といった自社施工でありがちな失敗も防げます。初期工事費をかけずに、契約直後から完成されたおしゃれなオフィスで稼働できるため、コストとスピードを重視する成長企業にとって最も合理的な選択肢と言えるでしょう。
高額な工事費も、原状回復のリスクも不要。 プロが設計した「デザイン性」と「機能性」を両立する、内装付きのスケルトン天井オフィスを厳選しました。まずはどのような物件があるか、写真でご確認ください。
初期費用を抑えて移転!「スケルトン天井」のセットアップオフィス一覧を見る >
尚、居抜きオフィスの場合は、原状回復を行う最悪なケースを想定しつつも、居抜き退去を前提に入居すればセットアップオフィスでなくても構いません。
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