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オフィス移転のネットワーク構築で失敗しない!担当者が知るべき手順と注意点を解説
2025.12.11


オフィスの移転は、企業にとって新たなスタートを切る大きなイベントですが、その裏側では多くの準備が必要です。とくに、業務の根幹を支えるネットワーク環境の移行は、専門的な知識が求められ、担当者にとって大きな負担となりがちです。万が一、移転後に「インターネットに繋がらない」「社内サーバーにアクセスできない」といったトラブルが発生すれば、業務が完全にストップしてしまう可能性もあります。 この記事では、オフィス移転の担当者に任命された方に向けて、ネットワーク移転を成功させるための具体的な手順、注意すべきポイント、そしてよくあるトラブルの回避策を分かりやすく解説します。この記事を読めば、複雑なネットワーク移転の全体像を掴み、自信を持ってプロジェクトを推進できるようになるでしょう。
目次
オフィス移転でネットワーク担当者が最初にやるべきこと
オフィス移転におけるネットワーク構築を成功させるためには、計画初期の準備がもっとも重要です。移転が決まったら、まずは現状の環境を正確に把握し、新しいオフィスの状況を確認することから始めましょう。
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現状のネットワーク環境を正確に把握する
新しいネットワーク環境を設計するためには、まず現在の状況を詳細に知る必要があります。利用している機器や設定、契約内容などをリストアップし、文書化することをお勧めします。とくに、以下の項目は必ず確認してください。
| 確認項目 | 具体的な内容 |
| ネットワーク機器 | ルーター、スイッチングハブ、無線LANアクセスポイントなどの機種名、台数、設定情報 |
| サーバー | ファイルサーバー、Webサーバーなどの物理サーバーやクラウドサービスの利用状況、IPアドレス |
| インターネット回線 | 契約している回線事会社名、プロバイダー名、契約プラン、回線種別(光回線、ADSLなど) |
| 電話設備 | ビジネスフォンの主装置(PBX)の種類、電話機の台数、電話番号、契約している通信会社 |
| IPアドレス | 固定IPアドレスの利用状況、社内のIPアドレス割り当てルール |
これらの情報をまとめることで、移転先で何を再設定し、何を見直すべきかが明確になります。
移転先のネットワークインフラを確認する
次に、移転先のビルやオフィスの設備を確認します。内見の際に、デザインや広さだけでなく、ネットワークインフラに関する以下の点もチェックすることが、後のトラブルを防ぐ鍵となります。
まず、利用できるインターネット回線の種類をビルの管理会社に確認しましょう。ビルによっては特定の通信事業者しか利用できない場合があるため、事前の確認が必要です。また、MDF室(回線の集線盤が設置されている部屋)から自社のオフィス区画まで、どのように配線されているかもしっかり確認しましょう。 重要なポイントです。
さらに、サーバーや多くのネットワーク機器を設置する場合、十分な電源容量が確保できるか、床の耐荷重は問題ないかといった物理的な条件も確認が必要です。
移転全体のスケジュールを策定する
ネットワーク関連のタスクは、オフィス移転全体のスケジュールと密接に関わります。内装工事や引越し会社との連携が必要になるため、早い段階で大まかなスケジュールを立てることが重要です。
とくにインターネット回線の新規申し込みや移転手続きは、申し込みから開通工事まで1ヶ月から2ヶ月以上かかることも珍しくありません。移転日が決まったら、すぐにでも回線事業者に連絡し、工事日の予約を進めるようにしましょう。この初動の速さが、移転当日からスムーズに業務を開始できるかどうかを左右します。
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オフィス移転に伴うネットワーク構築の具体的な手順
事前準備が完了したら、次はいよいよ具体的な構築手順に進みます。ここでは、担当者が行うべき主要なタスクを4つのステップに分けて解説します。
手順1:インターネット回線の手続きを進める
現在のインターネット回線を移転先でも継続して利用するのか、それとも新しい回線に乗り換えるのかを決定し、手続きを開始します。継続利用する場合は、契約している回線事業者とプロバイダーの両方に移転の申し込みを行います。
もし現在の通信速度に不満があるなら、移転は回線を見直す絶好の機会です。より高速で安定したプランへの乗り換えを検討しましょう。乗り換える場合は、現在の回線の解約手続きと、新しい回線の新規契約手続きがそれぞれ必要になります。解約のタイミングによっては違約金が発生することもあるため、契約内容を事前に確認しておくことが大切です。
手順2:新オフィスのLAN配線を設計する
新オフィスのレイアウトに合わせて、LANケーブルの配線計画を立てます。各従業員のデスク、会議室、複合機、サーバーラックなど、ネットワーク接続が必要な場所を全て洗い出し、最適な配線ルートを設計します。
将来的な人員増加やレイアウト変更の可能性も考慮し、少し余裕を持たせた配線設計にしておくと安心です。たとえば、デスクの島ごとにスイッチングハブを設置する、無線LANアクセスポイントを複数設置して電波が届きにくい場所をなくす、といった工夫が考えられます。配線工事は内装工事と同時に行うと効率的なため、内装会社とも事前に打ち合わせを行いましょう。
手順3:サーバーの移設計画を立てる
社内に物理的なサーバーを設置している場合、その移設はとくに慎重な計画が必要です。サーバーは精密機器であり、輸送中の衝撃で故障するリスクがあるため、専門の輸送会社に依頼することを強く推奨します。
移設作業中はサーバーを停止させる必要があるため、業務への影響を最小限に抑えるために、休日に作業を行うのが一般的です。移設前には、必ず全てのデータのバックアップを取得してください。万が一の事態に備え、バックアップからの復旧手順も確認しておくと、より万全です。
手順4:電話・PBXの移転準備を行う
オフィスの電話設備もネットワークと連携している重要なインフラです。現在の電話番号を移転先でも継続して利用できるかは、契約している通信会社の収容局のエリアによって決まります。移転先がエリア外の場合は、電話番号が変更になる可能性があるため、早めに通信会社に確認しましょう。
PBX(電話交換機)の移設も専門的な作業が必要です。配線工事や設定変更が伴うため、電話工事の専門会社に依頼します。インターネット回線と同様に、工事の手配には時間がかかるため、こちらも早めに動き出すことが肝心です。
オフィス移転でよくあるネットワークトラブルと回避策
入念に準備を進めても、移転時には予期せぬトラブルが発生することがあります。ここでは、よくあるネットワークトラブルとその回避策について解説します。
トラブル1:インターネットに接続できない
移転後、もっとも多く発生するのが「インターネットに接続できない」というトラブルです。原因は、ルーターやファイアウォールの設定ミス、ケーブルの接続間違い、プロバイダーから提供されたIDやパスワードの設定漏れなど多岐にわたります。
このトラブルを回避するためには、移転作業完了後に、ネットワーク設定が正しく行われているかを一つひとつ確認することが重要です。事前に作成したネットワーク構成図や設定情報のリストと照らし合わせながら、ルーター、PC、複合機などのIPアドレス設定を確認しましょう。
トラブル2:サーバーや複合機が利用できない
「社内ネットワークには接続できるが、ファイルサーバーや複合機にアクセスできない」というケースもよくあります。これは、サーバーや複合機に設定されたIPアドレスが、新しいネットワーク環境のルールと合っていないことが主な原因です。
たとえば、ルーターを変更したことでネットワークのIPアドレス体系が変わった場合、サーバーや複合機のIPアドレスも手動で再設定する必要があります。移転前に各機器のIPアドレス設定を記録しておき、移転後に新しいネットワーク環境に合わせて正確に再設定することで、このトラブルは防ぐことができます。
トラブル3:回線工事が移転日に間に合わない
オフィス移転の繁忙期である春先などは、回線工事の予約が非常に混み合います。手続きが遅れると、希望日に工事ができず、移転後しばらくの間インターネットが使えないという最悪の事態に陥る可能性があります。
このリスクを避ける方法はただ一つ、「とにかく早く申し込む」ことです。オフィスの移転先が決定したら、すぐにでも回線事業者に連絡を取り、工事の予約を押さえてしまいましょう。移転の2〜3ヶ月前には申し込みを完了させておくのが理想的です。
【関連記事】B工事とは?費用相場からA・C工事との違い、注意点まで徹底解説します
重要なデータを守るバックアップ計画を立てる
移転作業中には、機器の物理的な破損や設定ミスによるデータ消失のリスクがつねに伴います。業務に関する重要なデータが失われることは、事業の継続にとって致命的なダメージとなりかねません。
こうした事態を防ぐために、サーバーや各従業員のPCに保存されている重要なデータは、移転前に必ずバックアップを取得しましょう。バックアップデータは、クラウドストレージや外付けハードディスクなど、複数の場所に分散して保管することが望ましいです。万が一の際に迅速にデータを復旧できるよう、復元手順のマニュアルを作成し、関係者で共有しておくことも大切です。
オフィス移転はネットワーク環境を見直す絶好の機会
オフィス移転は、単なる場所の移動ではありません。これまで抱えていたネットワークに関する課題を解決し、より快適で安全な業務環境を構築する絶好のチャンスです。
より高速で安定したインターネット回線に乗り換える
「Web会議中によく映像が固まる」「大容量ファイルの送受信に時間がかかる」といった不満を抱えているなら、より高性能なインターネット回線への乗り換えを積極的に検討しましょう。近年では、従来のPPPoE方式に代わり、混雑しにくいIPoE方式に対応した光回線サービスも登場しています。
IPoE方式は、大容量の通信を安定して行えるため、動画コンテンツの利用やクラウドサービスの活用が増えた現代のビジネス環境に適しています。移転を機にこうした新しい技術を導入することで、従業員の生産性向上に大きく貢献するでしょう。
セキュリティ対策を強化して脅威に備える
オフィス移転は、セキュリティ体制を再点検し、強化する良い機会でもあります。旧オフィスで利用していたセキュリティ機器が古くなっている場合は、最新の脅威に対応できる新しい機器へのリプレイスを検討しましょう。
たとえば、ファイアウォール、ウイルス対策、不正侵入防御といった複数のセキュリティ機能を一台に集約したUTM(統合脅威管理)を導入することで、管理の手間を省きながら、サイバー攻撃に対する防御力を高めることができます。新しいオフィスで安心して業務を行うために、セキュリティへの投資は不可欠です。
【関連記事】オフィスセキュリティ対策を徹底解説!安全な職場環境を実現する方法
ネットワーク構築を専門会社に依頼する際のポイント
オフィス移転に伴うネットワーク構築は、非常に専門性が高く、担当者だけですべてを対応するのは困難な場合が多いです。信頼できる専門会社にサポートを依頼することが、プロジェクト成功の鍵となります。
【関連記事】オフィス移転を成功させるには?外注先の選び方やスケジュールを紹介!
会社選定で確認すべき3つのこと
専門会社を選ぶ際には、以下の3つのポイントを確認しましょう。
| 確認ポイント | 具体的なチェック項目 |
| 実績の豊富さ | 自社と同じくらいの規模のオフィス移転や、類似業種のネットワーク構築を手がけた実績があるか。 |
| 対応範囲の広さ | ネットワーク設計・構築だけでなく、LAN配線工事、電話工事、電気工事まで一括で対応可能か。 |
| サポート体制 | 移転後のトラブル発生時に、迅速に対応してくれる保守・サポート体制が整っているか。 |
複数の会社から見積もりを取り、価格だけでなく、これらのサービス内容を総合的に比較検討して、最適なパートナーを選ぶことが重要です。
ワンストップで依頼するメリットと注意点
LAN工事、電話工事、電気工事などをそれぞれ別の会社に依頼すると、担当者は各会社とのスケジュール調整や連絡に追われ、大きな負担がかかります。
これらの作業をすべて一括で請け負ってくれるワンストップ対応の会社に依頼すれば、窓口が一つになるため、担当者の負担を大幅に軽減できます。また、会社間の連携がスムーズに進むため、工事の抜け漏れや手戻りを防ぎ、結果的に移転プロジェクト全体が円滑に進行するという大きなメリットがあります。
ただし、会社によって得意分野が異なるため、依頼する作業のすべてにおいて高い品質が期待できるか、事前に実績などをしっかり確認することが大切です。
まとめ
オフィス移転におけるネットワーク構築は、事前準備から会社選定、トラブル対策まで、多岐にわたるタスクを計画的に進める必要があります。本記事で解説した手順とポイントを参考に、一つひとつの作業を丁寧に進めていくことが、プロジェクトの成功に繋がります。
ネットワーク環境は、企業の生産性を支える重要な経営基盤です。この移転という機会を最大限に活用し、より快適で安全、そして将来の事業拡大にも対応できるような、最適なネットワーク環境を構築してください。もし自社だけで進めることに不安を感じる場合は、無理をせず専門知識が豊富な会社に相談することをお勧めします。
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