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オフィスコンセプトの決め方を徹底解説!成功事例から学ぶ理想の職場づくり
2025.09.05

オフィスの移転やリニューアルを検討する際、「どのようなオフィスにしたいか」というコンセプト作りは、プロジェクトの成否を分ける非常に重要な要素です。明確なコンセプトがないまま進めてしまうと、デザインに一貫性がなくなったり、使い勝手の悪いオフィスになったりする可能性があります。ただ、「オフィスコンセプトは大事なのはわかるけど...」何を決めればいいのか?優先順位のつけ方に悩む担当者の方も多いのではないでしょうか。 本記事では、オフィスコンセプトの重要性から作り方の具体的な手順、参考にすべき成功事例までを網羅的に解説します。この記事を読めば、担当者として、上司や代表者に「自社の魅力を最大限に引き出し、従業員が誇りを持って働けるオフィス」のを実現を提案する道筋が見えるはずです。
目次
オフィスコンセプトとは?なぜ重要なのか
オフィス作りを始めるにあたり、まずは「オフィスコンセプト」そのものについて正しく理解することが大切です。コンセプトの定義と、なぜそれが現代のオフィスにおいて重要視されているのかを解説します。
オフィスにおけるコンセプトの定義
オフィスにおけるコンセプトとは、単なるデザインのテーマや内装のイメージのことではありません。それは「企業の理念やビジョン、働き方の理想像を空間で表現するための、一貫した基本的な考え方」を指します。 なぜそのデザインが必要なのか、そのオフィスで何を成し遂げたいのかという目的を明確にする、いわばオフィス作りの「中心を貫く一本の柱」となるものです。このコンセプトがあることで、レイアウト、家具選び、カラースキームといった具体的な要素すべてに統一感が生まれ、メッセージ性のある空間を創造できます。
企業価値を高めるコンセプトの重要性
近年、働き方が多様化する中で、オフィスの役割は単に「仕事をする場所」から、「企業の文化を醸成し、人々を繋ぎ、新たな価値を創造する場所」へと変化しています。明確なコンセプトは、社内に対しては従業員のエンゲージメントを高め、社外に対しては企業のブランドイメージを強く印象づける効果があります。 コンセプトに基づいたオフィスは、訪れる人々にも企業の姿勢や魅力を直感的に伝え、事業の成長を後押しする力強いツールとなるのです。
オフィスコンセプトがもたらす4つのメリット
優れたオフィスコンセプトを策定し、それを具現化することは、企業に多くの利益をもたらします。ここでは、代表的な4つのメリットについて具体的に見ていきましょう。
企業理念やビジョンの浸透
オフィスは、従業員が毎日多くの時間を過ごす場所です。その空間が企業理念やビジョンを体現したものであれば、従業員は日々の業務を通じて自社の価値観を自然と意識するようになります。例えば、「挑戦を推奨する」という理念を持つ企業が、オープンで誰もが発言しやすいミーティングスペースを設けることで、理念はただの言葉ではなく、従業員の行動として根付いていくでしょう。このように、コンセプトは企業文化を醸成し、組織の一体感を高める上で大きな役割を果たします。
従業員エンゲージメントの向上
従業員の働きやすさや満足度を考慮したコンセプトは、エンゲージメント、すなわち仕事に対する熱意や貢献意欲を直接的に高める効果があります。快適な執務スペースはもちろん、リフレッシュできる休憩エリアや、集中と協業を自由に選択できる多様なワークスペースは、従業員の心身の健康(ウェルビーイング)に貢献します。自分の会社が働き手である自分たちのことを大切に考えてくれていると感じることは、仕事へのモチベーション向上に繋がり、結果として生産性の向上も期待できるのです。
コミュニケーションの活性化
オフィスコンセプトは、偶発的な出会いや自発的な会話が生まれるような、コミュニケーションの仕掛けとしても機能します。「部門間の連携を強化したい」という課題があるならば、部門の境界をなくしたフリーアドレス制を導入したり、人が自然と集まるコーヒースタンドをオフィスの中心に設けたりすることが考えられます。こうした意図的な設計によって、円滑な情報共有や新たなアイデアの創出が促され、組織全体の活性化に繋がるでしょう。
ブランディングと採用力の強化
オフィスは「企業の顔」とも言える存在です。来訪した顧客やパートナー企業に対して、コンセプトに基づいた独創的な空間は、言葉以上に企業の魅力やブランドイメージを強く印象付けます。 また、採用活動においても、働きがいのある魅力的なオフィスは、優秀な人材を引きつける強力なアピールポイントとなります。特に、企業の価値観に共感する人材の獲得に繋がりやすく、入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できるでしょう。
オフィスコンセプトを決めるための5つのステップ
それでは、実際にオフィスコンセプトを策定するには、どのような手順で進めれば良いのでしょうか。ここでは、体系的かつ確実にコンセプトを固めるための5つのステップを紹介します。
ステップ1: プロジェクトの目的を明確にする
最初に、「なぜオフィスを移転・リニューアルするのか」という根本的な目的を明確にします。これはプロジェクト全体の方向性を決定づける最も重要なステップです。例えば、「人員増加に伴うスペースの拡張」といった物理的な理由だけでなく、「新しい働き方を導入したい」「部門間のシナジーを高めたい」「ブランドイメージを刷新したい」といった、達成したい目標を具体的に言語化します。この目的が、コンセプトの核となります。
ステップ2: 現状のオフィスの課題を洗い出す
次に、現在のオフィスが抱える課題を徹底的に洗い出します。経営層や管理職だけでなく、実際にオフィスで働く従業員へのアンケートやワークショップを実施し、多角的な視点から意見を収集することが不可欠です。「会議室が足りない」「集中できる場所がない」「休憩スペースが狭い」といったハード面の問題から、「他部署との交流が少ない」「一体感が感じられない」といったソフト面の問題まで、幅広くリストアップしていきましょう。
ステップ3: 企業理念やあるべき姿を分析する
洗い出した課題とプロジェクトの目的を踏まえ、自社の企業理念やパーパス、中長期的なビジョンと照らし合わせます。これから会社としてどこへ向かおうとしているのか、社会に対してどのような価値を提供していきたいのかを再確認します。 そして、その「あるべき姿」を実現するためには、どのような働き方やオフィス環境が理想的なのかを議論し、コンセプトの方向性を定めていきます。
ステップ4: 具体的なコンセプトを言語化する
ここまでの分析と議論をもとに、オフィスコンセプトを具体的な言葉に落とし込みます。コンセプトは、覚えやすく、誰もがオフィスをイメージできるようなキーワードや短いキャッチフレーズで表現することが理想です。「公園のようなオフィス」のように比喩表現を用いたりするのも良いでしょう。この段階でコンセプトを明確に言語化することで、関係者間の認識のズレを防ぎます。
ステップ | 主なアクション | アウトプットの例 |
目的の明確化 | プロジェクトの背景とゴールを議論する | 従業員の創造性を刺激し、イノベーションを生み出す拠点とする |
課題の洗い出し | 従業員アンケート、ワークショップを実施する | 集中作業スペースの不足、偶発的なコミュニケーションの欠如 |
理念の分析 | 経営理念、ビジョン、バリューを再確認する | 「個の力を最大化し、チームで大きな価値を創造する」 |
コンセプト言語化 | キーワードやキャッチフレーズを作成する | 「Synapse(シナプス)-繋がる、広がる、生まれる-」 |
デザインへの展開 | レイアウトや機能要件を具体化する | 集中ブースとコラボレーションエリアを明確に分ける、など |
ステップ5: コンセプトをデザインに落とし込む
最後に、言語化されたコンセプトを、オフィスの具体的なデザインやレイアウト、機能に変換していきます。 例えば、「コミュニケーションの活性化」がコンセプトであれば、動線を工夫して社員同士が顔を合わせる機会を増やしたり、気軽に立ち話ができるスペースを各所に配置したりします。このステップでは、デザイナーや設計会社と緊密に連携し、コンセプトが空間の細部にまで反映されるように進めていくことが重要です。
【内部リンク】オフィスレイアウトは重要!基本の7パターンと成功させるコツを解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
参考にしたいオフィスコンセプトの成功事例
ここでは、独自のオフィスコンセプトを掲げ、それを素晴らしい空間として実現している企業の事例を2つ紹介します。自社のコンセプトを考える上でのヒントにしてください。
【事例1】株式会社リクルート:CO-ENコンセプトによる集まりたくなるオフィス
リクルートは「個の尊重」という価値観に基づき、「CO-EN(自律した個が集い、多様な個々とつながり高め合う場)」をオフィスコンセプトとして掲げました。出社率38%(2022年度平均全国出社率)の環境下でも社員が集まりたくなるオフィスを実現するため、多様なワークスペースと自由な働き方を組み合わせた設計を採用。フレックスタイム制や年間145日の休暇制度と連動させることで、従業員が自律的に最適な場所と時間を選択できる働き方を支援しています。
【事例2】サイボウズ株式会社:Big Hub for Teamworkによる協働促進
サイボウズは「Big Hub for Teamwork」をオフィスコンセプトに設定し、チームワークを広げるための中心地としてオフィスを位置付けています。100人100通りの働き方を実現する一環として、多様な働き方の社員が出社できる環境づくりに注力。リアルコミュニケーションの活性化を図るため、情報やヒトを集結させる機能的な空間設計を施し、従業員同士の自然な交流を促進する仕組みを構築しています。
出典:https://cybozu.co.jp/customer/tour/
【事例3】ソフトバンク:Smart & Fun!で生産性とクリエイティビティを両立
ソフトバンクは「Smart & Fun!」をスローガンに掲げ、ITやAIを駆使してスマートに楽しく働ける環境を実現しています。竹芝本社では「コミュニティー型ワークスペース」を採用し、部門をまたいだオープンイノベーションの創出を目指した設計を実装。サテライトオフィスの全国展開やテレワーク実施率71%の実績により、場所や時間に縛られない柔軟な働き方を推進し、個人と組織の生産性最大化を実現しています。
コンセプト作りで失敗しないためのポイント
最後に、オフィスコンセプトの策定から実現までのプロセスで陥りがちな失敗を避け、プロジェクトを成功に導くための重要なポイントを3つ紹介します。
経営層と従業員の意見を両方取り入れる
オフィスコンセプトの策定は、経営層のトップダウンだけで進めてはいけません。経営が描くビジョンや戦略はもちろん重要ですが、それと同時に、実際にその空間で日々働く従業員のニーズや意見を吸い上げることが不可欠です。両者の視点をバランス良く取り入れることで、企業の目標達成に貢献し、かつ従業員にとっても働きやすい、真に価値のあるオフィスが実現します。
デザイン性だけでなく機能性も重視する
おしゃれで見た目に美しいオフィスは魅力的ですが、デザイン性を追求するあまり、本来の目的である「働くための機能性」が損なわれては本末転倒です。例えば、開放感を重視して壁を取り払った結果、Web会議の声が響いてしまい集中できない、といった問題が起こり得ます。コンセプトをデザインに落とし込む際には、常に「そのデザインは働きやすさに繋がるか?」という視点を持ち、動線計画や音響、照明といった実用的な側面も十分に検討することが重要です。
将来的な変化を見据えた計画を立てる
事業の成長や組織構造の変化、働き方のさらなる多様化など、企業を取り巻く環境は常に変化します。オフィスを作る際には、現時点での最適解を求めるだけでなく、5年後、10年後を見据えた柔軟性と拡張性を持たせることが賢明です。例えば、将来的な人員増に対応できるようなレイアウトの工夫や、容易に間取りを変更できる可動式の間仕切りを採用するなど、長期的な視点を持つことで、長く愛されるサステナブルなオフィスとなります。
H2:人の増員を前提としているベンチャーの場合は?オフィスコンセプトを達成する物件の選び方
オフィスコンセプトを0から作り上げるオフィス構築が資金的に行える企業の場合は、上記のポイントを抑えながら、オーダーメイドで作ればよいでしょう。
しかし、ベンチャー企業の多くの方は数千万円単位の費用と1年近くの時間を使って、オフィスコンセプトを満たすことは難しいのが現実。
この場合、内装付きオフィス(セットアップ)を中心に探してみることをお勧めいたします。内装付オフィスはビルオーナー(不動産所有企業)が、オフィスコンセプトを決め、デザイナー監修の内装付きが付いているため、テーマに沿った使いやすいオフィスを内装コストを負担せずに入居することが可能です。
オフィスコンセプトさえ決めておけば、物件を見ながらコンセプトや条件に合う物件を選んでいく形になりますので、業務時間を削ることなく移転もできます。
ただし、オーダーメイド風になると難しいので、その場合は個性的な前テナントが使用していた居抜きオフィスも内装付オフィスと合わせて内見すると良いでしょう。
ベンチャー企業(スタートアップ)の方にお勧めなオフィスコンセプトがある物件一覧はこちらから見てください。
まとめ
オフィスコンセプトは、単なるデザインの指針ではなく、企業の理念と未来を形作る設計図です。明確なコンセプトに基づいて作られたオフィスは、従業員の働きがいを高め、組織に一体感をもたらし、ひいては企業全体の価値を向上させる力を持っています。
今回ご紹介した策定のステップや成功事例を参考に、ぜひ自社ならではの、従業員が誇れるオフィスコンセプトを創り上げてください。
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