サステナビリティ
東急不動産株式会社/渋谷から広がるGREEN ACTION②エアコン室外機を利用した『芋緑化システム』を深彫り
2025.08.12



「WE ARE GREEN」をスローガンに掲げ、地球環境や働く環境に配慮した事業展開をされている東急不動産ホールディングス株式会社/東急不動産株式会社。国内事業所をすべて再生エネルギーで賄う「RE100」を国内事業会社で初めて実現するなど、環境配慮先進企業としても知られています。 後編となる今号では、オフィスの環境配慮や快適性を追求する「GREEN ACTION」事例のひとつ、『芋緑化システム』について深彫りしていきます。 渋谷エリアのビルでサツマイモが採れるという意外性はもちろん、使用電力低減などの環境効果やテナント様の反響なども大きい同事例。システムの概要、導入の経緯や実績、ウラ話的なエピソードなども気になるところです。
インタビューにお答えいただくのは、前号から引き続き、東急不動産株式会社 都市事業ユニット 都市事業本部 ビル運営事業部の春木 大志さん。導入から運営まで、担当されている方ならではの、リアルなお話しをたっぷりと教えていただきました。
都会のビル屋上でサツマイモ栽培
―まずは、『芋緑化システム』とはどのようなものか、概要を教えてください。
春木さん:『芋緑化システム』は、株式会社日建設計さんと住友商事株式会社さんが共同開発した特許技術です。ビル屋上に置かれているエアコン室外機の空間を利用してサツマイモを育成すると同時に、生い茂る葉の日陰効果と蒸散作用を利用して室外機周りの温度を下げ、使用電力量低減を実現する仕組みになっています。
具体的には、室外機の周辺に架台を設置、夏前にサツマイモの苗が入った袋を架台に吊るして生育を待ちます。初夏にはサツマイモの葉が生い茂るので、葉による使用電力低減の恩恵を受けた後、秋には葉が枯れて収穫時期を迎える流れになります。
このシステムにより、夏季日中の電気使用量が10%程度低減したことが確認されていて、環境負荷の低減、さらに電気料金軽減にも貢献できる仕組みになっています。
サツマイモは、エアコンが年間を通して最も稼働する夏期に繁茂する植物。育成スピードが早く、病害虫や台風などの強風、乾燥にも強く手が掛かりません。中でも、一番このシステムにマッチした「紅はるか」という品種を採用しているそうです。

写真:ウノサワ東急ビル屋上の芋緑化システム
ウノサワ東急ビルで導入スタート
―実際に、どのような経緯でシステム導入となったのでしょうか。また導入したビルオーナーさんの反応はいかがですか?
春木さん:オフィスビルの付加価値を高めるアイディアを探していた時、この『芋緑化システム』に出会いました。すでに、住友商事さんのビルで導入されていたので見学に行ったのですが、百聞は一見に如かず。まだ夏前だったにも関わらず、葉っぱが青々と元気に繁っていて、まずはその見た目のインパクトに驚きました。
ウノサワ東急ビルで試験的に始めたところ、前述の通り計測データからも取組の効果が確認できたため、このまま本運用を開始しよう!となりました。
システム導入時の初期費用は、物件のオーナー様にもご負担いただく形でスタートしたのですが、「本当にやってよかった」というお声をいただいています。ウノサワ東急ビルは屋上が広いので、テナント様向けの芋掘り体験イベントなども毎年開催しており、参加者さんからも喜びの声を伺っています。
ちなみにイベント以外で収穫したサツマイモは、サツマイモチップスに製品化してテナント様や物件オーナー様などにお配りし、喜んでいただいています。2025年度は、システム導入ビルが6物件に増えたこと、加工工程が確立したことなどから、前年比3倍近いチップスができる予定。より多くのテナント様にお配りできればと思っています。

右写真:左から弊社 SOI事業部 岡村、東急不動産株式会社 春木さま
左写真:東急不動産株式会社 春木さま
対自然には想定外はつきもの
―2024年度までにオフィスビル5軒で『芋緑化システム』を導入されましたが、実際に展開してみて実感したことや、困ったエピソードなどはありますか?また、今後の展開についても教えてください。
春木さん:個人的に困ったエピソードといえば、収穫イベントで出会う“芋虫”です! 私は芋虫だけはどうにもダメなんですよ! でも、その名のとおり芋類の葉を好むらしく、蔓や葉っぱに芋虫が付いちゃうんです。手入れの委託会社の方が定期的に除去してくれているんですが、土の中にまでいるので本当に参りました(笑)。
…と、ここまでは個人的な話ですが、その年の気候やビルの立地・周辺環境によって、生育状況のムラや害虫の発生が見られ、その対策に追われました。実感として強く思うことは、やはり自然相手となるとコントロールができず、想定外のことも起こりうる、ということですね。
システム導入前には「普通サイズのサツマイモができる」と聞いていたのに、いざ収穫してみたら、なぜか発育状態がやたらと良くてどれも大きい。よほど室外機の環境が合っているのか、毎年どこのビルでもラグビーボールほど大きいサツマイモが採れつづけるという想定外も起こっています(笑)。
今後の展開ですが、『芋緑化システム』はまだ初めて数年のプロジェクト。想定外に対応しつつ、しっかり定着させていきたいですね。今後は渋谷エリアに限らず、東京の東側エリアにも拡げていけたらと思っています。
―春木さん、興味深いお話しをありがとうございました。
環境負荷の低減、生物多様性、緑化といった環境面だけでなく、電気料金の軽減、イベントや収穫物を通してテナント様との距離感が近づくという付加価値がてんこ盛りの『芋緑化システム』。興味のあるビルオーナーさんは、ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
その他の「GREEN ACTION」情報が日々更新されている「GREEN WORK STYLE」については、以下よりご覧いただけます!


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