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オフィスの一人当たり面積はどれくらい?快適な職場を実現する計算方法とレイアウト術を解説!
2025.09.17


オフィスの移転やリニューアルを検討する際、「従業員一人当たり、どのくらいの面積を確保すれば良いのだろう?」と悩む担当者の方は少なくありません。面積は、従業員の働きやすさや生産性、さらにはコストにも直結する重要な要素です。本記事では、オフィスの一人当たり面積に関する基本的な知識から、自社に最適な面積を算出するための具体的な計算方法、そして快適なオフィスを実現するためのレイアウトのポイントまで、分かりやすく解説します。
目次
オフィスの一人当たり面積の目安とは?
オフィスの一人当たり面積を考える上で、まず押さえておきたいのが法律上の基準と、オフィス家具メーカーなどが推奨する一般的な目安です。これらは、快適で安全なオフィス環境を構築するための土台となります。
オフィス家具メーカーが推奨する面積
多くのオフィス家具メーカーやオフィス仲介業界(内装業)では、より快適で生産性の高いオフィス環境を実現するために、一人当たり2坪から4坪程度の面積を推奨しています。 なぜなら、単に机を置くだけでなく、通路や会議室、リフレッシュスペースなど、業務を円滑に進めるためのさまざまな空間が必要になるからです。業種や働き方によって最適な面積は異なりますが、一つの目安として参考にすると良いでしょう。
| スペースの目安 | 面積(一人当たり) | 特徴 | |
| 最低限の基準 | 1.2坪 | 労働安全衛生法法律の基準は満たすが、やや手狭に感じる可能性 | |
| 一般的なオフィス | 2~3坪 | 執務スペースに加え、小規模な会議室なども確保可能 | |
| ゆとりのあるオフィス | 4坪以上 | 集中ブースやリフレッシュエリアなど多様な空間を設置可能 |
法律で定められた最低基準
労働安全衛生法に基づく「事務所衛生基準規則」では、従業員一人当たりの空気の容積を10立方メートル以上にすることが定められています。 これを一般的なオフィスの天井高(約2.5m)で割ると、床面積としては一人当たり約1.2坪(4平方メートル)以上が必要です。 ただし、これはあくまで最低限の基準であり、設備や備品が占めるスペースも含まれるため、実際の執務スペースはこれよりも狭くなります。快適なオフィス環境のためには、この数値を上回る面積を確保することが望ましいです。
【参考】https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74089000&dataType=0&pageNo=1
業種や働き方による面積の違い
必要となるオフィス面積は、企業の業種や従業員の働き方によって大きく異なります。例えば、来客が多い営業部門や、大きな機材や資料を扱う設計・開発部門では、広めのスペースが必要になります。 一方で、ノートパソコン一つで仕事が完結するような職種や、テレワークが中心の企業では、比較的コンパクトな面積でも対応可能です。自社の事業内容や業務フローを考慮し、最適な面積を検討することが重要です。
なぜオフィスの一人当たり面積が重要なのか?
適切なオフィス面積の確保は、単に「広い・狭い」という問題だけではありません。従業員の生産性や満足度、ひいては企業全体の成長にも関わる重要な経営課題です。
従業員の生産性向上
一人当たりのスペースが十分に確保されていると、従業員は物理的な圧迫感から解放され、心にゆとりを持って業務に集中できます。パーソナルスペースが保たれることで、ストレスが軽減し、創造的なアイデアも生まれやすくなるでしょう。逆に、過密なオフィスは集中力の低下を招き、業務効率の悪化につながる可能性があります。
コミュニケーションの活性化
広すぎず狭すぎない適切な距離感は、従業員同士の円滑なコミュニケーションを促します。意図的に設計された共有スペースや動線は、部署を超えた偶発的な出会い(カジュアルコリジョン)を生み出し、新たなイノベーションのきっかけとなることもあります。適切な面積の確保は、組織の活性化にも貢献するでしょう。
従業員満足度と人材定着
快適なオフィス環境は、従業員のエンゲージメントや企業への満足度を高める重要な要素です。「従業員を大切にする会社」というメッセージにもなり、優秀な人材の確保や定着(リテンション)にもつながります。特に近年は、働きやすさを重視する求職者が増えており、オフィス環境は企業の競争力の一つと言えるでしょう。
法令遵守の観点
前述の通り、事務所衛生基準規則によって、事業者は従業員が安全で健康に働ける環境を維持する義務があります。 この基準を下回るような過密なオフィスは、労働環境の問題として指摘されるリスクがあります。法令を遵守し、従業員の健康と安全を守ることは、企業の社会的責任です。
オフィスの一人当たり面積が狭いと退職につながるのか?
結論から言えば、狭いオフィス環境は従業員の離職率を高める要因となり得ます。
多くの企業が見過ごしがちですが、一人当たりのスペースの狭さは、単なる「窮屈さ」以上の問題を引き起こします。具体的には、以下の3つのネガティブな連鎖が従業員の退職意向を後押ししてしまうのです。
- 生産性の低下: 周囲の騒音や視線が気になり、集中力が著しく低下。業務が思うように進まない状況が続くと、「この環境では成果が出せない」という不満や焦りにつながります。
- 心身のストレス蓄積: パーソナルスペースが確保されない環境は、常に無意識の緊張感を生み出します。これが慢性的なストレスとなり、心身の健康を損なう原因になります。
- 会社へのエンゲージメント低下: 劣悪な労働環境は、従業員に「会社は自分たちを大切にしていない」というメッセージとして伝わります。会社への信頼や愛着が薄れ、より良い環境を求めて転職を考えるきっかけとなるのです。
物理的な快適性は、従業員の満足度に直結する重要な要素。コスト削減を優先するあまり、人材という最も重要な資産を失うリスクを軽視してはいけません。
特にPC画面に向かって思考を繰り返すようなクリエイティブ職である(エンジニア・デザイナー・企画職・マーケター)は「人の話し声が聞こえてきて集中できない」「オフィスが狭くてデュアルディスプレイが置けない」事に強いストレスを感じる傾向にあります。
オフィスの一人当たり面積の計算方法
それでは、自社に必要なオフィス面積を具体的にどのように算出すれば良いのでしょうか。ここでは、3つの計算方法を紹介します。自社の状況に合わせて活用してください。
【基本】従業員数から算出する方法
最もシンプルな計算方法が、在籍する従業員数に、目標とする一人当たり面積を掛け合わせる方法です。
計算式: 従業員数 × 一人当たり面積 = 必要オフィス面積
例えば、従業員が50名で、一人当たり3坪の面積を確保したい場合、「50人 × 3坪 = 150坪」が必要面積の目安となります。この方法は、全員が出社することを前提とした従来型のオフィスに適しています。【応用】出社率を考慮して算出する方法
テレワークやフレックスタイム制を導入しており、全従業員が同時に出社するわけではない場合には、出社率を考慮して計算することで、より実態に合った面積を算出できます。
計算式: (従業員数 × 出社率) × 一人当たり面積 = 必要オフィス面積
例えば、従業員50名、平均出社率が70%で、一人当たり3坪を目指す場合、「(50人 × 0.7) × 3坪 = 105坪」となります。これにより、オフィスコストの最適化が可能になります。
【実践】オフィスレイアウトや必要な設備から面積を算出する方法
より精度高く必要な面積(坪数)を算出したい場合は、先に大まかなレイアウトや必要な設備から逆算する方法が有効です。執務スペース、会議室、役員室、リフレッシュスペースなど、必要な空間の種類とそれぞれの面積を積み上げて、全体の面積を算出します。
※以下は例です。30名の従業員に対して会議室2つ・役員室・リフレッシュスペースを設けた場合
| スペースの種類 | 必要な面積 | 備考 | |
| 執務スペース | 従業員数 × 21.5坪 | デスク周りの基本スペース | |
| 会議室 | 8名用×1室=5坪 4名用×1質=3坪 |
利用頻度や人数に応じて設定 | |
| 休憩・リフレッシュスペース | 10坪 | コミュニケーション活性化のために | |
| 役員室 | 1室=4坪 | 必要に応じて設置 | |
| 合計 | (従業員数×1.5坪)+ 2219坪 | 各スペースの合計が総面積 |
30人×2坪+必要スペースの22坪=約82坪前後です。
※従業員の執務スペースにゆとりを持たせる場合や、通路部分などの含めると必要な面積が増える場合もあります。またテレワークを実施している場合は出社率を考慮すると良いでしょう。
この方法を用いることで、自社に必要な機能を漏れなく盛り込みつつ、無駄のない最適なオフィス面積を導き出すことができます。
働き方の多様化とオフィス面積の考え方
近年、フリーアドレスやテレワークといった新しい働き方が普及し、オフィスに求められる役割も変化しています。こうした変化に対応し、オフィス面積を最適化する考え方を紹介します。
フリーアドレス導入による面積の最適化
フリーアドレスとは、従業員が固定席を持たずに、その日の業務内容や気分に合わせて自由に働く場所を選ぶワークスタイルです。在籍者数よりも少ない座席数(一般的に在籍者の70%~80%程度)を用意することで、スペースを効率的に活用できます。 空いたスペースをコミュニケーションエリアや集中ブースに転換することで、オフィスの付加価値を高めることも可能です。
【内部リンク】【徹底解説】フリーアドレスオフィスのメリットとは?デメリットや導入手順も解説 | 居抜き物件ならつながるオフィス
テレワーク導入時の面積の考え方
テレワークを本格的に導入すると、オフィスの出社人数が減少するため、必要となる執務スペースの面積も少なくなります。 これにより、オフィスの縮小移転や、余剰スペースの有効活用によるコスト削減が期待できます。ただし、テレワーク主体だからこそ、従業員が集まるオフィスの重要性は増します。コミュニケーションの活性化や企業文化の醸成を目的とした場として、オフィスの役割を再定義することが重要です。
ハイブリッドワークに対応したオフィス設計
ハイブリッドワークとは、オフィスワークとテレワークを組み合わせた働き方です。この働き方に最適なオフィスを設計するには、単に面積を増減させるだけでなく、機能の見直しが不可欠です。例えば、Web会議が快適に行える個室ブースを増やしたり、異なる場所で働くメンバーが一体感を持てるような大型モニターを設置した会議室を用意したりするなど、オンラインとオフラインの融合を意識した環境づくりが求められます。
詳しい具体的なレイアウト作りや注意点にについては
オフィスレイアウトは重要!基本の7パターンと成功させるコツを解説をご覧ください。
限られたスペースを有効活用するアイデア
「理想のレイアウトにしたいけれど、十分な面積を確保できない」という場合でも、工夫次第でスペースを有効活用できます。ここでは、具体的な3つのアイデアを紹介します。
ペーパーレス化で書類保管スペースを削減する
オフィスの中でも大きな面積を占めるのが、書類を保管するためのキャビネットや書庫です。契約書や請求書などを電子化し、クラウド上で管理するペーパーレス化を推進することで、これらの保管スペースを大幅に削減できます。 削減して生まれたスペースを、執務エリアの拡張や新たなコミュニケーションスペースの設置に活用することが可能です。
コンパクトで機能的な家具を選ぶ
オフィス家具の選び方も、スペース効率に大きく影響します。例えば、天板の奥行きがスリムなデスクや、収納力を備えた多機能なデスクを選ぶことで、一人当たりの占有面積を抑えつつ、作業スペースを確保できます。また、折りたたんで収納できるテーブルや椅子を活用すれば、会議室を多目的に利用することも可能です。
Web会議用の個室ブースを設置する
テレワークの普及に伴い、Web会議の頻度は格段に増えました。自席でWeb会議に参加すると、周りの雑音が入ったり、会話の内容が聞こえてしまったりといった問題が発生しがちです。そこで注目されているのが、防音・遮音性に優れた個室型の「Web会議ブース」です。省スペースで設置でき、周りを気にせず会議に集中できる環境を手軽に作ることができます。
オフィス面積の最適化に成功した企業事例
最後に、実際にオフィス環境の改革を通じて、働きやすさと生産性の向上を実現した企業の事例を紹介します。自社のオフィスづくりの参考にしてください。
株式会社OKAMURAの事例
株式会社オカムラは、自社の働き方改革において段階的なフリーアドレス導入により、オフィス面積の効率的活用を実現しました。同社では「人数分の席を用意する必要がなくなり、空いたスペースを異なる用途に有効活用」することで、従来の固定席配置から脱却しています。具体的には、フリーアドレス導入により組織や人数変化に柔軟に対応できる環境を構築し、オフィス家具変更やレイアウト変更工事を不要にすることで、長期的なコスト削減を達成しました。また、働く人を対象とした同社調査では、フリーアドレス導入効果として「コミュニケーションが増える」ことが上位に位置し、面積最適化と同時に生産性向上も実現しています。
【参考】https://www.okamura.co.jp/office/solution/free-address.html
コニカミノルタジャパン株式会社の事例
コニカミノルタジャパンは、ABW(Activity Based Working)の考え方に基づき、紙文書を前提としない働き方へとシフトしました。ペーパーレス化を徹底することで、書類保管スペースを大幅に削減。創出されたスペースを活用して、社員が交流するコミュニケーションエリアや、リフレッシュできる空間を充実させ、創造性を刺激するオフィス環境を実現しています。
まとめ
本記事では、オフィスの一人当たり面積の目安から、具体的な計算方法、快適な空間を作るためのレイアウトのポイントまでを解説しました。適切なオフィス面積の確保は、従業員の生産性と満足度を高め、企業の成長を支える重要な投資です。この記事を参考に、自社に最適なオフィス環境の実現を目指してください。
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