サステナビリティ
クボタ/農家さん向け『J-クレジット』支援プロジェクトが加速中①“農業由来のクレジット”で環境貢献+収益化+農業支援の好循環
2025.09.11



こちらのコラムでは、より良い社会に向けたさまざまなサステナブル活動をご紹介しています。今回のお客様は、株式会社クボタさん。農業のトータルソリューションカンパニーとして、幅広く農業に携わっている企業さんです。 同社では、国の認証制度『J-クレジット』を利用して、温室効果ガス削減の取り組み実績を収益に転換するまでの支援サービスを、日本の農家さん向けに展開しています。 『J-クレジット』とは、CO₂をはじめとする温室効果ガスの削減実績を『クレジット』と呼ばれる“価値”に換算できる仕組み。『クレジット』はニーズのある企業などに販売することが可能なため、創出した側はその収益を得ることができます。 日本においては、2026年度から『排出量取引制度(GX-ETS)』が本格稼働し、対象企業への規律がより強まる可能性があります。こうした背景から、排出量の過不足を取引によって補える『J-クレジット』制度は、購入側である企業からも注目度急上昇中。クボタさんでは、農家さんに対する『J-クレジット』参加の呼びかけにさらに注力しています。 今後、目にする機会が増えてきそうな『J-クレジット』。ちょっと難解そうなテーマですが、制度の概要や今後の展開、クボタさんの役割や売買の流れなどについて、詳しく伺っていきます。 インタビューにご協力いただくのは、『クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき』に立ち上げから尽力された同社アグリソリューション事業企画推進部 有賀 千香子さん、宮野 陽介さんです。
目に見えない削減実績が価値=収益に
―まずは、『J-クレジット』について、詳しく教えていただけますか?
有賀さん:『J-クレジット』は、個人や企業などの団体がおこなったCO₂などの温室効果ガス削減や吸収量増加の実績を『J-クレジット』という“価値”として国が認証する制度です。温室効果ガスって、いくら削減してもガスなので実績は目に見えませんよね。なので、削減された温室効果ガスを見える化・経済価値化することで、低炭素社会に向けた取り組みを促進する狙いがあります。
『J-クレジット』は、クレジット創出者とクレジット購入者の間で売買することが可能なので、温室効果ガス削減を必要とする企業などに売ることで、クレジット創出者は収益を得られます。
クレジット購入者サイドとしては、自社の削減実績補填や環境貢献企業として企業イメージ向上、製品やブランドのイメージ向上に利用できる大きなメリットとなります。
クレジット創出のための温室効果ガス削減方法としては、省エネ設備導入や再生可能エネルギー導入、森林管理、そして農業での取り組みなどがあります。これらの方法論によって達成した削減実績データを国に申請し、認定されることで、『J-クレジット』としての運用が可能になります。少し難しいですよね(笑)。
環境対策&収益向上で日本の農業を元気に
―ありがとうございます。では次に、クボタさんの支援サポート事業が、『J-クレジット』とどのように関わっているのか教えてください。
有賀さん:クボタは農業機械メーカーとして、長年農家さんとのつながりが深いんです。その関係を活かし、農家さん向けに農業分野でのクレジット創出に関するサポートを行っています。
具体的には、『クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき』の参加を通して、農家さんに温室効果ガス削減に取り組んでいただき、その実績をクレジット化、さらに収益として還元するまでの代行ですね。
流れとしては、おもに水田のメタン削減を目的とした削減方法の運用アドバイス、必要データの記録・管理といった実践に関してのサポートを行います。その後、農家さんからいただいたデータを取りまとめて、認証に必要な登録・申請・監査など各種手続きを行い、クレジット創出を行います。そして、創出されたクレジットは、全量クボタが買い取り、売却収益を農家さんに分配するという流れになります。
こうした認証申請には、専門知識や煩雑な作業がつきもの。『クボタ 大地のいぶき』にご参加いただくことで、申請から販売までの手間が激減します。なんと参加費・手数料も無料です。
『クボタ 大地のいぶき』は、多数の農家さんの参加を募り、温室効果ガス削減活動を一つのプロジェクトとして登録し、『J-クレジット』認証申請を行うものです。このプロジェクトに参加する形であれば、削減規模が小さく単独でのクレジット創出を諦めていた農家さんでも参加が可能。規模の大小を問わず、温室効果ガス削減活動に意欲的な農家さんたちに向け、さらに周知していきたいですね。
『J-クレジット』制度の活用をさらに推進し、環境貢献実績が農家さんの収益向上や地方活性化につながり、農業がより元気になってくれることがクボタの願いです。
“コメ由来のクレジット”で企業イメージUP&農業支援
―『クボタ 大地のいぶき』を通して発行されたクレジットは、その後どのようにクレジット購入者に売却されるのでしょうか。また購入者側のメリットは、どのような点でしょうか。
有賀さん:発行されたクレジットは、一度クボタがすべて買い取り、農家さんに収益を分配したあと在庫として管理します。その後、クボタが販売窓口となって販売先を選定し、売却となります。
購入者のメリットは、やはり自社の温室効果ガス削減目標実現に利用できる点。また、環境貢献企業としての企業イメージ向上、製品やブランドのイメージ向上といった効果も期待できます。
宮野さん:例えば、先日弊社が協業したサステナブルな旅のスタイル「GREEN JOURNEY for SCHOOL」では、新発田市への移動によって排出されたCO₂を、新発田市内の農業生産者が創出した『J-クレジット』を活用してオフセット(排出量の全部または一部を埋め合わせる)しました。これにより、環境に配慮した旅行を実現することができました。
さらに近年は、そのクレジットがどんな環境貢献ストーリーを持っているかというブランド性を企業活動に活用したいという企業も増えています。
現在コメ農家さんとのお取引が多いため、『クボタ 大地のいぶき』から生まれたクレジットは、いわば“農業由来のクレジット”“コメ由来のクレジット”。このブランド性に魅力を感じ、企業活動に役立てたいと思っていただける企業さんは、ぜひ一度『クボタ 大地のいぶき』のクレジット購入をご検討ください。
2026年度の『排出量取引制度』本格稼働、さらに2030年度のカーボンニュートラル実現中間目標といった節目を目前に、クレジットのニーズは上昇基調です。今後、さらに『J-クレジット』制度への参加件数は急増し、クレジット取引が活発化することは間違いありません。
クボタでも、農業支援につながる『クボタ 大地のいぶき』の好循環の輪を引き続き、拡大してきたいと思っています。

左写真:同社アグリソリューション事業企画推進部 有賀千香子さん、宮野陽介さん
右写真:大阪・関西万博のスポンサーをされており、紹介ブースにて
「クボタ J-クレジット支援サービス 大地のいぶき」はこちら
―有賀さん、宮野さん、ありがとうございました。
温室効果ガス削減という目に見えない環境貢献実績が、“クレジット”という価値になる『J-クレジット』制度。『クボタ 大地のいぶき』をとおして、創出者である農家さんにも、購入者である企業さんにもメリットが生まれ、さらには農業支援・地域振興にもつながる好循環が、今後ますます拡大する未来に期待したいですね。
後半では、農家さんが実際にどのような削減活動をされているのか、我々が目にすることのない取り組み事例やそのメリット・デメリット、参加された方のリアルな声、そしてプロジェクトのCO₂削減実績などについてくわしく伺っていきます。
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