サステナビリティ
花王/『職場のロリエ』で始める職場改善②生理への理解、周りの人の体調を気遣える環境へ!
2025.09.25



企業が行う独自のサステナブル活動をご紹介するこちらのコラム。前号に引き続き、花王株式会社さんの生理用品備品化プロジェクト「職場のロリエ」についてご紹介します。花王の生理用品ブランド『ロリエ』の「働く女性の悩みをサポートしたい」という想いからスタートしたしたこちらのプロジェクト。後編となる今号では、「職場のロリエ」導入実績や実際の導入企業様のリアルな声にフォーカスしてお届けします。 2024年2月に経済産業省より「月経随伴症」に伴う社会全体の経済損失として、損失資産額0.6兆円という数字が発表されました。実際にどんな“生理の困りごと”があるのか、リアルな声を絡めつつご紹介していきます。 お話しをお聞かせいただくのは、前号同様、同社ハイジーンリビングケア事業部門 サニタリー事業部の田村優樹さんです。
「知らなかった」から「知ってよかった」へ
―「職場のロリエ」の現在の導入企業数、またこのプロジェクトに対してどのような声や手応えがあったのかを教えていただけますか?
田村さん:2022年の活動開始から3年が経ち、ウェルビーイングや職場環境の改善、女性が働きやすい職場環境整備が広がる中、生理用品の備品化プロジェクトという施策の認知も進んできました。
「職場のロリエ」導入企業様からの口コミやご紹介などからも賛同される企業様が増え、現在の導入企業数は450社にのぼっています(2025年7月現在)。特に近年は増加傾向が顕著で、人事や総務といった管理部門の方にフォーカスして情報発信をしてきたことが功を奏したのだと思います。やはり管理部門においては、女性へのサポート施策を検討されている企業が増えているなという印象ですね。
導入後の反応としては、女性からももちろん好意的なご意見を多くいただきます。男性からは、動画コンテンツをご覧になって、「知っているつもりだったが正しく理解していなかった」「なんとなく知っていたが何が大変なのか分かっていなかった」「このタイミングで理解できてよかった」などといったコメントを下さる方もいます。
現場は悩みが山積み
―実際の導入企業様は、どういった職種の会社が多いのですか?そして、どんなリアルなお悩みがあるのかお聞かせください。
田村さん:導入企業様の職種は、メーカー、メディア、不動産、建設業など多岐にわたっています。企業規模も様々で、職種に関する偏りはないと思います。
ただ、切迫したお悩みが多いのは、工場を抱えるメーカー様ですね。工場、特に製造ラインでは、私物の持ち込みNGだったり、近隣にコンビニがない環境だったり、一定時間休憩に行けないなどの制約があるほか、ユニフォームを着脱したり除菌するなどの工程に時間を取られ、トイレに行く時間はあっても、ロッカーに生理用品を取りに行くには間に合わないなど、生理に関する悩みごとが山積みです。そのせいか、本社よりも工場を優先して「職場のロリエ」導入をされるメーカー様が多かったのが印象に残っています。
また、建設会社様なども独自の悩みがあったようです。職種によっては男性のほうが多いこともあるので、女性が中々相談しづらい、という状況に陥ることも多いようです。
また事務所と現場が離れていたり、私物を保管しておく場所がない、生理用品の置き場に困るといった物理的なお悩みの声もありました。
どの企業様にも、その職種や環境ゆえのお悩みがあるのは、間違いないと思います。

左:弊社SOI事業部 岡村、右:花王株式会社 ハイジーンリビングケア事業部門 サニタリー事業部の田村優樹さん
会社に対する信頼感UP
―確かに工場や建設現場などは大変そうですね。では、「職場のロリエ」導入後の意見や感想としては、どのような声がありましたか?
田村さん:前述の工場の方たちには、「安心して仕事できる」など、大変喜んでいただいています。
建設会社の男性担当者様からは、「これまで考えたこともなかったので状況を改善できてよかった」という声をいただきました。それだけでなく、導入以降は、動線を考慮した現場づくりを意識するなど、さまざまな人の働きやすさを考えるなど、職場環境を改善するというマインドが根付きつつあるそうです。劇的な変化ですよね。
生理用品を利用された方の声としては、「困ったとき助けられた」という声はもちろん、「社員を思ってくれていると感じた」「会社を好きになった」など、会社に対する信頼感アップの声も多かったですね。
ご担当者様の反応としては、「会議の際、意識的に休憩時間を取るようになった」「コミュニケーションを心掛けるようになった」などの声があり、これまでどう配慮していいか分からなかった部分がクリアになったという声が目立ちました。
生理の問題に対して、会社主導でサポートしていくというメッセージにもなる「職場のロリエ」。導入企業様向けのアンケート結果では、8割強の社員が「会社に対する好印象につながった」と回答されています。
「職場のロリエ」の未来とは
―「職場のロリエ」は、今後どのような活動を展開される予定でしょうか。新しい取り組みなどあれば、教えていただけますか?
田村さん:安心して働ける職場づくりをしたいという想いにご賛同いただいた企業のみなさまと、今後も備品化の取り組みを進めていきます。
2025年5月からは、「職場のロリエ」専用ボックスを環境に配慮したものにリニューアル。弊社サニタリー製品の製造工程で出る端材を原料にしたボックスに切り替えています。
また、ワンフロアにいくつかの企業が入るビルの場合、トイレが共用になるため「職場のロリエ」導入が難しいこともあります。いずれは、ビル単位での導入なども検討していけたらと思っています。
今後は学校における生理用品の備品化プロジェクト「学校のロリエ」にも力を入れていく予定です。現段階では、導入校は小中高大合わせて100校ほど、お問い合わせいただいた学校を中心に導入いただいている状況です。
「職場のロリエ」は、備品化して終わりではありません。生理への理解とフォロー、そしてそこから生まれる働きやすさを実感していただくことが着地点だと思っています。
まだまだ改善点もあると思いますが、導入企業様のご意見をいただきながら、ベストな形にしていけたらと思っています。将来的に「生理用品の備品化はあたりまえ」という世の中にしていきたいですね。

サニタリー製品の製造過程で発生する端材を原料にした「職場のロリエ」専用ボックス
―田村さん、お話をいただきありがとうございました。
生理用品の備品化によるダイレクトな恩恵はもちろんですが、生理について知ることで、すべての人が働きやすい職場環境を考えるきっかけになるかもしれません。
職場環境の改善策をご検討中の方は、ぜひ一度詳しくチェックしてみてくださいね。
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