サステナビリティ
花王/『職場のロリエ』で始める職場改善① “職場×生理”の関係性
2025.08.21



このコラムでは、企業独自のサステナブル活動を取材・掲載しています。今回は、花王株式会社さんの生理用品備品化プロジェクト「職場のロリエ」をクローズアップしていきます。『ロリエ』といえば、女性なら誰もが知る生理用品の代表的ブランド。「働く女性の悩みをサポートしたい」という想いでスタートしたという同プロジェクトについて、同社ハイジーンリビングケア事業部門 サニタリー事業部の田村優樹さんにお話を伺います。 2024年2月、経済産業省から発表された「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」では、「月経随伴症」に関する損失資産額は0.6兆円にも上るとされ、その規模に驚いた方も多いのではないでしょうか。女性特有の問題でありながら、女性だけの問題ではすまない“職場と生理”の実態についても、併せて深彫りしていきたいと思います。
「職場のロリエ」ってどんなプロジェクト?
―「職場のロリエ」について、まずは概要を教えていただけますか?
田村さん:「職場のロリエ」は、生理用品を備品化するプロジェクトとして、2022年にスタートしました。
ロリエが調査してきた中で見えてきたことは、“ムリしてしまうことが多い場面は職場である”という調査結果でした。そこからロリエにできることは、と考え、生理用品の備品化を進めることにしました。おかげさまで2025年7月現在450社を超える企業様に賛同いただいています。
具体的なアクションとしては、お申込みのあった企業様に「職場のロリエ」専用BOXを無償でお送りし、それをトイレに設置していただくというシンプルなもの。箱の中身の生理用品は、各企業の予算で適宜補充していただく形です。オフィスのトイレに備品として常備し、急な生理や多忙時など手持ちがないときの交換といった、職場でよくある生理のお困りごとの際に利用できる環境を会社主導で整えていただきます。
企画段階において実施した社内外のアンケート結果でも、職場の悩みとして、特にナプキン交換に関する悩みが非常に多かったことを踏まえ、誰もが安心して働ける職場環境作りの一環としてご活用いただきたいと思っています。
企業におけるメリットとは?
―女性にとってとてもありがたい取り組みですね。一方で、企業としてはどういった効果が期待できるのでしょうか?
田村さん:「職場のロリエ」の仕組みは、生理用品を常備しておく、ということのみですが、ご希望に応じて導入企業様にポスターや生理研修動画を提供し、生理に関する周知促進も展開しています。生理に関する知識を伝えるだけでなく、一緒に働くすべての人が生理を改めて知ることで、より働きやすい職場環境になることを目指した社内向け研修動画になっています。
生理用品の備品化に加え、“生理”の悩みを職場全体で共有し、職場をより快適にするためのベースを構築できるので、職場環境改善の一手として、この効果は大きいと思っています。
会社主導で女性サポートの姿勢を打ち出すことにより、社員全体の意識変革にもつながります。生理の悩みに関する理解が浸透すれば、会議にこまめに休憩を入れるなど適切なサポートが可能になります。相互理解が進んで働きやすさが改善すれば、女性の業務効率向上や会社に対する帰属意識の向上、離職率の低下、さらに女性支援の姿勢を打ち出すことで社内外に向けた企業イメージアップも期待できます。
ボックスを設置する、というシンプルかつミニマムなアクションですが、企業としての効果は感じていただけるのではないでしょうか。

左写真:花王株式会社 ハイジーンリビングケア事業部門 サニタリー事業部 田村 優樹さん、右写真:「職場のロリエ」専用ボックス
隣の人の体調を気遣うということ
―女性支援策の必要性は実感しつつも、男性にとって“生理”はよくわからなくないことが多く、ちょっと話題にしづらいという方も多いと思います。どういったマインドで関わるのが正解なのか、男性向けにアドバイスをいただけますか?
田村さん:私も最初はそうでした。男性の中には、「女性支援は必要だとは思うが、どんなアクションを起こせばいいか分からない」など、気おくれを感じている方も多いと聞きます。そんな方たちにお伝えしたいことは、「職場のロリエ」は”職場環境改善策”のひとつである、ということです。
社内で一度、「職場のロリエ」の生理研修動画を活用して研修を行ったときに、「打ち合わせが続く時は休憩をとれるようにしたい」「冷房の温度を下げすぎないようにしよう」といった、生理だけでなく体調全般にまで話題が及びました。
このように生理の悩みを知ることで、周囲の人の体調を気遣える職場環境をつくれる。それがひいては、すべての人の働きやすさにつながるかもしれない。そんな風にご理解いただければと思います。
「職場のロリエ」の経費目安は、多く見積もって一月当たり生理用品6枚×女性の人数。設置にかかる費用はナプキン代のみです。突き詰めれば、“生理用品の備品化を始めました”と声を掛ける必要すらない。トイレにそっとボックスを置いておくだけで、提供する側にも受け取る側にも事足りてしまうのです。
実際に、「何をすればいいのか分からないからやってみます」「簡単そうだから、とりあえず始めます」という感じで導入される企業様もいらっしゃいます。あまり構えず、手軽な職場改善の第一歩、福利厚生の一環と捉えて、まずは社内で話題に取り上げていただければいいなと思っています。
―田村さん、ありがとうございました。
生理の備品化という施策が、働くひとにも会社にとってもいい影響があることに驚きました。理解が進めば、さまざまな人が働きやすい環境に近づけそうですね。
後半では、“職場の生理”に関してどんな悩みがあり、「職場のロリエ」でどう解決したのかなど、導入企業様のリアルな声をご紹介していきます。
CONTACT US CONTACT US
居抜きオフィス物件の
入居・募集なら
つながるオフィスへお任せください
