
お役立ち情報
居抜き退去時に原状回復は必要?退去時の流れと注意点を解説
2025.05.14
通常、オフィス退去時にはオフィスを元の状態に戻す「原状回復義務」が発生します。では、内装や設備をそのまま後継テナントに引き継ぐ「居抜き物件」の場合、原状回復義務の扱いはどのようになるのでしょうか?本記事では、居抜き物件における原状回復義務の扱い、退去時の流れ、居抜き退去を円滑に進めるポイントなどを分かりやすく解説します。
目次
居抜き退去の原状回復義務について
居抜き退去をする場合、原状回復義務が発生するケースと発生しないケースがあります。それぞれのケースについて見ていきましょう。
原則として退去時の原状回復が不要
一般的な賃貸借契約では原状回復が必要となるケースがほとんどです。賃貸借契約書にも原状回復の詳細についてしっかり明記されていると思います。居抜き物件の場合、タイミング良く後継テナントが見つかれば、内装や設備をそのまま後継テナントに引き継ぐケースが多く、原状回復が不要になります。居抜き退去をすると、原状回復義務は後継テナントへと引き継がれます。後継テナントが退去する際は、原則として原状回復が必要です。
場合によっては原状回復が必要となるケースもある
居抜き物件は「居抜き退去」ができれば原状回復が不要となりますが、「居抜き退去」ができなければ原状回復工事が必要です。たとえば、後継テナントの移転のタイミングが合わない、契約条件がマッチしないなどの理由で、次の入居希望者が見つからない場合は原状回復しなければなりません。また、入居希望者が見つかったとしても、原状回復後の引き渡し希望で申し込みが入った場合は、原状回復を行わざるを得なくなります。なお、原状回復の範囲は賃貸契約書に記載されているので、確認しておきましょう。
解約後は居抜きの募集と原状回復の見積もりを同時に行うのがおすすめ
居抜き退去を希望する場合、居抜きでの募集期間は原状回復工事が発生する想定でスケジュールが組まれます。居抜きでの募集期間は、基本的に原状回復工事の発注期限までとなります。募集期間中に次の入居希望者が見つからなければ、賃貸借契約終了までに原状回復をしなければなりません。
たとえば解約予告期間が6ヶ月の物件の場合、原状回復期間や発注期限を考慮すると、居抜きでの募集期間はおおよそ2~3ヶ月程度となります。
原状回復工事にかかる期間は、物件の規模や内装によって異なりますが、おおよそ数週間~1ヶ月程度です。大型ビルや天井を抜いていたり大がかりな内装を行っていたりする場合、原状回復工事にかかる期間はさらに長くなり、それに伴って原状回復工事の発注期限も早まります。
原状回復工事の発注までの期日が短いと、原状回復工事に関して交渉が難しくなり、スケジュールに余裕がない中で退去・移転作業を進めなければなりません。居抜き退去を希望するのであれば、もしものときのために居抜き募集と同時に原状回復工事の準備をしておくのがおすすめです。原状回復工事の見積もりを早めにもらうことで、原状回復が必要となった場合でも慌てずに各種交渉や手続きを進められるでしょう。
居抜き退去の流れ
居抜き退去は、通常の退去とは異なるプロセスで進められます。ここでは、居抜き退去の流れを詳しく紹介します。
Step1.貸主に居抜きによる退去を打診する
居抜き退去をするには、後継テナントの募集や原状回復工事の対策など対応すべきことが多数あります。十分な時間を確保するためにも、まずは早めに居抜き退去の検討と計画を立てていくことが大切です。
また、居抜き退去をするには、貸主の承認が必要です。承諾を得ないまま居抜き退去を進めようとするとトラブルに発展する可能性があるため、解約通知をする前に貸主に居抜き退去の打診をしましょう。なお、スムーズな居抜き退去には、居抜き退去の実績がある業者のサポートが不可欠です。この段階で、居抜き退去の実績が豊富な業者に依頼・相談して、スムーズな退去交渉や調整をサポートしてもらうのがおすすめです。
Step2.解約予告通知書を提出する
居抜き退去の承諾を得たら、現オフィスの解約通知を行います。解約予告期間は物件によって異なるため、賃貸借契約書に記載されている解約予告期間を事前に確認しておきましょう。なお、解約通知が遅れると、予定していた日程で退去ができないといったトラブルに発展する可能性があるため、注意が必要です。
Step3.原状回復工事の見積もりをする
後継テナントが見つからない場合に備えて、この段階で原状回復工事の見積もりをします。現オフィスの現地調査を実施して、早めに見積もりを取得して原状回復工事にかかる期間や原状回復工事の発注期限を把握しておきましょう。なお、居抜きでの募集期間は貸主にて指定されているケースが多いため、貸主に確認して居抜きで募集できる期間を把握することも大切です。
Step4.必要となる情報や書類を提供する
居抜き物件では、残置物をそのまま後継テナントに引き継ぐことができるケースが多いです。移転先に持って行く設備や備品、残置する設備や備品の選別を行い、譲渡する残置物の情報を整理しておきましょう。また、物件の情報を引き継ぐためにも、以下の書類を貸主または管理会社に提出する必要があります。
・レイアウトの図面
・施工内容・工事図面
上記の書類に含まれる情報は、居抜き物件の募集時に重要な役割を果たします。貸主や管理会社と連携をとりながら、正確な書類を作成することが大切です。
Step5.後継テナントを募集する
必要書類を提出したら、居抜き物件の入居希望者の募集開始です。後継テナントの募集は基本的に貸主や不動産会社が行ってくれるため、借主である企業側で募集をかける必要はありません。また、居抜き退去の実績がある業者に依頼している場合、業者が入居希望者探しをサポートしてくれます。ただし、後続テナントが見つからない場合は原状回復が必要となるため、借主側でもSNSでアピールしたり、後続テナントの目星をつけたりしておくと良いでしょう。SNSに情報を掲載する際は、事前に貸主の承諾を得るようにしてください。
Step6.造作譲渡契約を締結する
後継テナントが決まったら、造作譲渡契約を締結する必要があります。造作譲渡契約とは、残置する設備や内装などを次の入居者に譲渡するための契約のことです。造作譲渡契約書には、原状回復義務の有無や譲渡項目・譲渡価格、契約不適合責任など詳しい情報を記載します。造作譲渡契約と賃貸借契約の締結が完了したら、物件の引き渡しを行います。
居抜き退去を円滑に行うためのポイント
居抜き退去は、念入りな準備と計画が必要です。居抜き退去を円滑に行うためにも、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
内装の状態や譲渡する内容をしっかり確認しておく
居抜き退去では、物件や残置物の情報を正確に引き継ぐ必要があります。提出書類や契約書に漏れ・抜けがあると、引き渡し後にトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。内装の状態や譲渡する内容をしっかり確認して、リスト化したうえで書類や契約書を作成しましょう。また、譲渡する設備に故障・不具合がないか、リース品の解約忘れがないかなどを確認するとともに、不備があった場合の責任の所在を明確にすることも大切です。
余裕を持って退去計画を立てる
居抜き退去を行う際は、貸主への打診、解約通知、残置物の選別、必要書類や契約書の作成など、さまざまな手続きや準備が必要となるため、十分な時間を確保しなければなりません。スケジュールに余裕がないと、希望通りの条件で退去できなかったり、予期せぬトラブルが発生したりする可能性があります。後継テナントが見つからず原状回復工事が発生するケースもあるため、退去日から逆算して余裕のあるスケジュールを立てることが大切です。また、居抜き退去ができなかった場合のプランも併せて作成しておくと安心でしょう。
まとめ
通常、退去時は原状回復が必要ですが、居抜き退去ができれば原状回復は原則として不要になります。居抜き退去をすることで、原状回復工事費や不用品の処分費用を削減でき、コスト削減を重視したい企業にとってもメリットが大きいです。なお、居抜き退去をスムーズに進めるなら、居抜き退去・移転の実績が豊富な業者のサポートを受けると良いでしょう。
つながるオフィスでは、居抜きオフィス物件の退去・移転をサポートいたします。オーナー様への交渉や入居希望者探しのサポートにも対応しておりますので、スムーズな居抜き退去が実現可能です。お気軽にお問い合わせください。
CONTACT US CONTACT US
居抜きオフィス物件の
入居・募集なら
つながるオフィスへお任せください
