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サテライトオフィスとは?メリット・デメリットや事例・導入手順まで解説!
2025.05.02
働き方の多様化が進むにつれ、オフィスという概念にも大きな変化が起こっています。企業が固定費を見直す機運が高まり、地方創生やリモートワークの普及が「サテライトオフィス」への注目をさらに後押ししました。社員それぞれがより柔軟に働ける環境を構築し、生産性やモチベーションの向上につなげるのが狙いです。 本記事では、サテライトオフィスの概要や背景、導入ステップなどを分かりやすく解説していきます。
目次
サテライトオフィスとは
サテライトオフィスとは、本社やメインオフィスとは別に設置される小規模な拠点を指します。在宅勤務に比べて、企業側が用意した環境を使えるため、セキュリティや設備が一定水準で統一される点が特徴です。
支社のように大規模な組織を構えるわけではないため、比較的スピーディに導入できるという利点もあります。社員同士が直接顔を合わせる機会を設けやすく、オンラインとオフラインの両面でメリハリをつけやすい働き方を実現できます。
サテライトオフィスとリモートワーク・テレワークとの違い
リモートワークやテレワークは、自宅やカフェなど場所を選ばず仕事ができる一方で、個人にセキュリティや環境整備の負担が偏る傾向があります。
その点、サテライトオフィスは企業が管理する拠点を用意するため、設備やセキュリティ水準を一定に保ちやすい点がメリットです。
支社のように法人登記や大がかりな運営を必要としないため、導入や撤退が比較的柔軟に行えるのも特徴です。企業としては、本社・サテライトオフィス・在宅を使い分ける「ハイブリッド型」の働き方を模索する時代になりました。
サテライトオフィスが注目される背景
新型コロナウイルス感染症の拡大をきっかけにリモートワークが急速に広まり、企業は従来のオフィス賃料や通勤のあり方を見直すようになりました。また、地方創生の観点からは、都市部に集中していた雇用を分散し地域経済を活性化させる狙いも強まっています。
こうした背景のなかでサテライトオフィスはコスト削減やBCP対策といった経営課題を同時に解決できる手段として評価されてきました。
サテライトオフィスの種類
サテライトオフィスには、立地や運営形態によってさまざまなバリエーションがあります。
- ・自社専用型サテライトオフィス
- ・郊外型サテライトオフィス
- ・都市型サテライトオフィス
- ・地方創生型サテライトオフィス
- ・ワーケーション型サテライトオフィス
- ・シェア型サテライトオフィス(コワーキング型)
ここからは、上記のサテライトオフィスの種類について解説します。
自社専用型サテライトオフィス
他社と共有せず、自社のみで専用利用するタイプのオフィスです。セキュリティや情報管理を徹底でき、企業の機密性が高い業務にも対応可能です。自社文化やコミュニケーションを維持しやすいというメリットもあります。
郊外型サテライトオフィス
郊外や地方都市に設置されるタイプです。都心から離れ、通勤時間の短縮やストレス軽減を目的とします。社員のワークライフバランス向上や地域の活性化にもつながるため、企業のイメージアップにも効果的です。
都市型サテライトオフィス
都心や主要駅周辺に設置され、移動時間の短縮や営業活動の効率化を目的としたオフィスです。顧客との商談や打ち合わせなどをスムーズに行えるため、ビジネスのスピードアップにつながります。
地方創生型サテライトオフィス
地方自治体が企業誘致を行い、地域の活性化を目指して設置されるオフィスです。地域交流や地元での雇用創出に貢献し、地域経済を活性化するとともに企業の社会的評価も向上します。
ワーケーション型サテライトオフィス
観光地や自然環境に恵まれた地域に設置されるオフィスです。仕事をしながらリフレッシュも可能な環境を提供し、社員の福利厚生やモチベーション向上を目的として利用されています。
シェア型サテライトオフィス(コワーキング型)
複数企業やフリーランスなどが共同利用するオフィスです。利用コストの削減ができるほか、異業種との交流や情報交換も活発に行われ、新たなビジネス機会やイノベーションの創出につながります。
サテライトオフィス導入のメリット
サテライトオフィスを導入する最大の利点は、オフィスコストと人材確保の両面における柔軟性です。都市部の賃料を縮小した分、複数拠点をバランスよく活用し、生産性を維持する企業も増えています。
ここでは、サテライトオフィスの主なメリットをご紹介します。
コスト削減
サテライトオフィスを活用すれば、都心部の広大なオフィススペースを必要最低限に抑えられます。結果として賃料や光熱費などの固定費が見直され、新規事業や社員向け施策に回せる予算が拡充されます。
生産性向上
通勤のストレスや移動時間が減れば、従業員が本来の業務に集中しやすくなります。オンライン会議システムの普及により、出社頻度を最適化でき、コミュニケーションも効率よく維持することが可能です。
BCP対策(事業継続計画)
大規模災害や感染症の拡大など、予想外のリスクが発生した際にも、拠点が分散されていることで業務停止を最小限に抑えられます。緊急時の組織レジリエンスを高める手段として、サテライトオフィスは重宝されています。
人材確保・離職率低下
地方や郊外での採用を強化できることに加え、子育てや介護など家庭の事情を抱えた社員の離職を防ぐ効果も見込めます。多様なライフスタイルに合わせた働き方を提供できる企業は、採用競争力でも優位に立ちやすくなります。
企業イメージ向上
地域社会への貢献やSDGsの一環として、サテライトオフィスを推進する企業は先進的なブランドイメージを築けます。社会的責任を果たしながら新たなビジネスチャンスを生み出し、社内外から高い評価を得る事例も増えてきています。
サテライトオフィス導入のデメリット
サテライトオフィスには多くのメリットがある一方で、運用方法を誤るとコストだけが増えたり、チーム連携がうまくいかなかったりするリスクも存在します。
どの企業にも完璧に合うわけではないからこそ、導入前にデメリットを把握することが重要です。ここではサテライトオフィスのデメリットも紹介します。
コミュニケーション不足によるリスク
地理的に分散して働く場合、細やかな報連相が滞ったり、チームビルディングが難しくなったりする恐れがあります。定期的な対面ミーティングやオンラインツールの導入を徹底し、距離による断絶を最小限に抑える工夫が不可欠です。
セキュリティ・労務管理の複雑化
複数拠点で業務を行うと、情報漏えい防止や勤怠管理などのルールづくりが複雑化します。特に機密情報を扱う業種は、VPNやセキュリティポリシーの一元化が必須となるでしょう。
導入コスト・運用負担がかかる
安易に拠点を増やすと、結局は維持費や管理担当者の負担がかさんでしまいます。事前に利用人数や利用頻度を精査し、採算が合うかを試算してから導入を検討するのが賢明です。
サテライトオフィス導入の成功事例
ここでは、サテライトオフィスを実際に導入した企業の事例を紹介します。
株式会社日立製作所
株式会社日立製作所は、東京都多摩市にサテライトオフィス「日立多摩オフィス」を開設し、社員が柔軟かつ多様な働き方を選択できる環境を整備しました。
これにより、テレワークやフレックスタイム制の推進が進み、社員のワークライフバランス向上と業務の効率化が促進されています。また、地域との連携を深めることで、地元の活性化にも貢献しています。HITACH企業情報ニュースリリース
味の素株式会社
味の素株式会社では、「どこでもオフィス」制度を導入し、自宅や全国約140拠点のサテライトオフィスでのテレワークを可能にしました。
経営会議をサテライトオフィスで実施するなど、経営陣が率先してテレワークを推進。その結果、2018年3月時点で年間のテレワーク利用者は84%に達しました。テレワーク総合ポータルchrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/
Sansan株式会社
クラウド名刺管理サービスを提供するSansan株式会社は、徳島県神山町に築70年以上の古民家を改装したサテライトオフィスを設置しました。
常駐社員が日常的に業務を行うほか、合宿や新卒研修の場としても活用。自然豊かな環境での勤務が、社員のライフワークバランスの向上と生産性の向上に寄与しています。sansan ニュースサテライトオフィス『Sansan神山ラボ』に新しいワークスペースを開設しました~”通勤10秒、都会と田舎の良いとこどり”サテライトオフィスで家族と一緒に田舎暮らし~
サテライトオフィスの導入ステップ
サテライトオフィスの導入には複数のプロセスが絡み合います。ここでは主な導入ステップについて解説します。
1. 社内合意形成
まずは経営陣や人事・総務部門を中心に、サテライトオフィス導入の目的や期待効果を明確にします。コストとリスクのバランスを提示し、メリット・デメリットを正直に示すことで、社内の理解と協力を得やすくなります。
2. 拠点候補の選定
次に立地条件や賃料、通信インフラなどを総合的に評価し、最適な物件を探します。見学時にはセキュリティ設備や周辺環境もチェックし、利用者が安心して働けるかを検討してください。
3. コスト試算
初期費用とランニングコストを試算し、企業全体の予算や事業計画に照らし合わせます。思わぬ出費を避けるためにも、賃料以外の備品やシステム導入費も含めて細かく見積もることが大切です。
4. セキュリティ・労務管理体制
サテライトオフィスを複数拠点設置する場合、勤怠管理や情報保護の仕組みをどのように統一するかがポイントです。VPNやクラウドシステムを活用してデータの安全性を確保しながら、管理者が把握しやすい運用ルールを設定してください。
5. 試験運用から本格導入へ
短期間の試験運用を行い、実際の使用率やコミュニケーション状況を検証します。課題が見つかった場合は早期に修正を行い、効果を確認できたら本格的に運用を開始しましょう。
サテライトオフィスとワーケーションの関連
サテライトオフィスを設置している企業のなかには、ワーケーションと組み合わせて社員のレジャーや観光をサポートする動きがあります。リゾート地や地方都市で働きながら休暇も楽しむスタイルは、新しい発想やリフレッシュ効果を生むと期待されます。
もっとも、勤務時間とプライベートの境界が曖昧になりやすく、費用負担のルール整備や勤怠管理が課題となる場合もあります。それでも新たな社員福利厚生の一環として、ワーケーション導入を検討する企業は増えつつあるのが実情です。
サテライトオフィスで実現する新しい働き方
サテライトオフィスは、企業が変化の激しい時代に対応しつつ、生産性と柔軟性を両立させる手段として注目されています。拠点の分散によってリスクを軽減し、社員のワークライフバランスを向上させる可能性を秘めているのです。
ただし、導入にあたってはセキュリティ管理やコミュニケーション設計、拠点維持費など多角的な検討が必須となります。各種公的支援や成功事例を参考にしながら、自社の経営方針や業務形態に最適化したサテライトオフィスを運用してください。
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