
サステナビリティ
ANAホールディングス/チャレンジ気質がはぐくむ未来への一歩 『未来創造室』①新規事業アイディアを実現に導く
2025.06.10
『つながるオフィス』では、定期的に企業のサステナブル活動やユニークな取り組みをご紹介しています。今回のお客様は、ANAホールディングス株式会社さん。日本の二大航空会社のひとつ、全日本空輸(ANA)を有するグローバル企業として知られています。同社には、未来に向けた事業アイディアを形にするための部署『未来創造室』があると聞いて、興味津々お邪魔してきました! お話しを聞かせてくださるのは、同社 未来創造室 デジタル・デザイン・ラボに在籍し、ご自身が企画立案したアップサイクル素材開発プロジェクトに取り組まれている山地顕子さんです。
『未来創造室』とは、いったいどんな部署なのか。中にはどんな人たちがいて、どんなことが行われているのか。そして、未来に向けたどんな企画が進められているのかなどなど、興味深いお話しをたっぷり教えていただきました。
コラム前編では『未来創造室』の成り立ちや概要について、そして後編では山地さんが取り組まれているプロジェクトにフォーカスして、詳しくご紹介していきます。
新規事業の種を生み育てる部署
―『未来創造室』、もう名前からして夢が膨らみますね! 一体どんな部署なのか教えていただけますか?
山地さん:『未来創造室』は、「新しい事業を作る」ことをミッションに作られたANAホールディングス社直下の部署です。その中に、さらにデジタル・デザイン・ラボ、モビリティ事業創造部、新規事業開発部という3つの部署があります。
その役割について順を追ってご説明すると、まずANAグループでは、2021年度以降『Da Vinci Camp(ダヴィンチ・キャンプ)』という制度を設けています。年に一度、社員全員から新規事業の企画を募るビジコンなのですが、このダヴィンチ・キャンプの最終選考を通過した企画とその企画者が、その実現に向けた下地作りのために異動する部署が『未来創造室』のデジタル・デザイン・ラボになるんです。つまり、ここに在籍しているのは、ダヴィンチ・キャンプを通過し、プロジェクトの検討開始を認められた社員ということですね。
その後、デジタル・デザイン・ラボでのブラッシュアップを完了すると、モビリティ事業創造部のように事業部化するなどして、事業化に備えるといった流れになっています。出口が決まっているわけではありませんので、もしかしたら将来的に社外に飛び出してチャレンジするような案件も生まれるかもしれません。まさに、未来に向けた新規事業の種を生み育てるための部署ですね。
ベースにあるのはチャレンジ精神
―アイディア募集から事業化まで、体制がしっかり構築されているんですね。『未来創造室』は2023年設立と伺いましたが、そのきっかけは何かあったのでしょうか。
山地さん:『未来創造室』設立の大きな要因には、やはりコロナ禍が挙げられると思います。飛行機を利用するお客様が激減したあの時期を経て、「エアライン以外の事業も模索していくべき」という危機感が社内で高まり、『未来創造室』やダヴィンチ・キャンプといった新規事業創出の一連の体制が整備されたように思います。
もともとANAはベンチャー気質の会社で、チャレンジ精神が強いと言われています。「エアライン事業の敵は“どこでもドア”だ」と言って、新しいテクノロジーやシステムのアイディアをアグレッシブに探求するような社風なんですよ(笑)。そうした社風のもと、コロナ以前から新規事業の創出や社員提案制度といったさまざまな施策がおこなわれてきました。それらが、コロナ禍をきっかけに現在の体制に集約されたかたちですね。

左写真:未来創造室 デジタル・デザイン・ラボに在籍している山地さん、
右写真:左から弊社SOI事業部 樋山と山地さん
どんな企画が進行中?
―チャレンジ精神にあふれた社風とのことで、どんなアイディアが集まるのか気になりますね(笑)。『未来創造室』デジタル・デザイン・ラボでは、現在どんな企画が進んでいるのですか?
山地さん:身近なものからアカデミックなものまで、そして短期で実現可能なものから長期に時間の掛かりそうなものまで、もう本当に多種多様です(笑)。
たとえば、社員同士の子育てサポートマッチングサービス「チャイルドケアステーション」や、ソムリエやおもてなしといったCAさんのスキルを販売するスキルシェアサービス「ANA Study Fly」。あと私が企画した、アップサイクルプラスチックフリー素材「あっぷるん」の開発・販売プロジェクトもあります。
あとは、DAC(ダイレクトエアキャプチャ技術)という技術を使って、飛行機内のCO2を直接回収するアイディア、なんていう企画もあります。飛行機を飛ばせば飛ばすほど、たくさんのCO2を回収できるそうですよ。
それから、人工衛星と航空機を活用して大気中の水蒸気量の情報やGPSデータを活用し、天気予報をより正確にする事業を事業化しようとしている人もいます。
規模も分野も事業化スパンも、本当にバラバラですね(笑)。
ちょっと風変わりな人が未来を創る!?
―本当に幅広いアイディアがあって驚きますね。デジタル・デザイン・ラボにいる皆さんは、日々どのように業務を進めていらっしゃるのでしょうか。
山地さん:基本的に、自分のアイディアを実現させるためのブラッシュアップですね。日々、リサーチや問題点の洗い出し、企業さんや社内外の専門家の方に話を聞く、展示会や勉強会に出る知識を増やすなど、各自事業化を進めるべく奮闘しています。別の企画を進める所属社員とも、活発に意見交換をし合いますね。
デジタル・デザイン・ラボに在籍しているのは、全員ダヴィンチ・キャンプ選考を通った企画者。明るくてそれぞれ個性的というかおもしろいというか、上司いわく「変人の集まり」だそうです(笑)。もとはCAや整備士、運航オペレーション担当など職歴もバラバラ、しかも性格もユニークでアイディア豊富なメンバーばかりなので、会議になると盛り上がって脱線して収拾がつかないことも多いですが、意外な着眼点をもらえる貴重な場になっています。
―山地さん、ありがとうございました。
ANAさんのチャレンジ精神が形となった『未来創造室』。社員さんひとりひとりが未来創造へのチャンスを手にしているんだなと、勝手にワクワクしてしまいました(笑)。
ただ、企画を実現させるためのその道筋は、楽しいだけでなく途方もなく大変なことの連続なのではないでしょうか。
後編では、山地さんが企画立案されたプロジェクト、機内誌を原料にしたアップサイクルプラスチックフリー素材「あっぷるん」について、苦労話を含めた開発エピソードのあれこれを詳しく伺っていきたいと思います。
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