サステナビリティ
ユニバーサル園芸社/“プロの植木屋さん”に聞くオフィス緑化トレンド①バイオフィリックデザインの取り入れ方
2025.07.29



「人間には、“自然とつながりたい”という本能的欲求がある」。その理論をもとに生まれた「バイオフィリックデザイン」。確かに、瑞々しい植物を目にすると心に潤いが生まれる気がしますよね。 近年、環境負荷低減や社員のウェルビーイングといった企業の取り組みを背景に、オフィスにバイオフィリックデザインを取り入れる企業が増えてきました。「自社でも事務所に緑を置きたい」と思っている方は、多いのではないでしょうか。 今回は、グリーンレンタル国内最大手の株式会社ユニバーサル園芸社さんに、オフィス空間におけるグリーンの取り入れ方を取材させていただきました。
株式会社ユニバーサル園芸社は、レンタルグリーン事業からスタートして52期目、レンタル事業からランドスケープ(造園)やギフト、店舗展開まで、植物全般を幅広く取り扱う“植物の専門家”です。
関東事業部 営業企画課で勤続20年目となる目黒秀憲さん、同課入社4年目の田島絹さんのお二人に、オフィス緑化の変遷から具体的なグリーン導入例まで、詳しく教えていただきました。前編ではオフィス緑化の背景やトレンド、後編ではオフィス緑化の実例にフォーカスしてお届けします。
変化する“人とグリーンの関係”
―近年、オフィス空間にグリーンを導入する企業が増えている印象ですが、はたらく人とグリーンの関係にどのような変化を感じていらっしゃいますか?
目黒さん:昔は植物というものは、オフィス内装が終わったあとに会長室や応接室に配置される装飾品のようなポジションでした。そこから、オフィスの中に海外テイストやホテルライクなデザインが取り入れられるようになり、少しずつインテリアの一要素として組み込まれはじめました。
大きな転機は、『働き方改革』でしょうか。この時期に、“働く環境”が問われるようになり、一気にオフィス空間のグリーン導入が進みました。また、これまではインテリアのパーツのように扱われていた植物が、“植物=生き物”という意識に変わり始めたのも、この時期だったように思います。
その後、コロナ禍を経て、SDG’sやウェルビーイングといった考えが浸透したことで、さらにグリーン導入が進んで今に至っています。今ではビジュアル的な価値だけでなく、植物が“共に生きるもの”“人と寄りそうもの”として受け止められるようになりつつあり、我々“植木屋さん”としては嬉しい限りです。

左写真:オフィス内の様子。様々なグリーンが飾られている
右写真:ユニバーサル園芸社 関東事業部 営業企画課 目黒秀憲さん、田島絹さん
どんなグリーンがベストか考える
―ではオフィス緑化に取り組みたい企業さんは、まずどこから着手したらよいのでしょうか?ユニバーサル園芸社さんの取り扱うグリーンと併せて教えてください。
田島さん:弊社では、植物のレンタル、植物の販売、フェイクグリーンの販売を取り扱っています。オフィス向けですと、今は圧倒的にレンタル利用される企業様が多いですね。
植物を購入される場合は、植木のケアは企業様サイドでしていただくか、弊社のような企業のメンテナンスを利用していただく形になります。植物は生き物なので、購入したあとも変化があります。枯れたり病気になったり、逆に大きく育ちすぎてしまったりするので、日々の水やりはもちろん、剪定や育成状態のチェック、鉢周りの清掃などお手入れは欠かせません。
植物のレンタルの場合、植木を設置したあとは月に2回メンテナンスが入るので、企業様サイドで樹木のケアは不要です。さまざまなご相談や植物の変更、季節に合わせたオプションにも対応が可能です。
フェイクグリーンに関しては、購入のみになっています。こちらは成長しないので、基本的に3~5年くらいはお手入れ不要です。
導入コストとお手入れの手間が発生する植物の購入、メンテナンスのランニングコストが持続的に発生する植物レンタル、導入コストのみで済むフェイクグリーン。どういう形でのグリーン導入がベストか、オフィスの状況に合わせて検討してみてください。
植物とフェイクグリーン、どう使う?
―植物やフェイクグリーンをどのように使っているのでしょうか?最近のオフィストレンドやオススメがあれば教えてください。
田島さん:お客様の依頼によって、リアルの植物とフェイクグリーン、それから両方を混合で使うハイブリッドを使い分けています。オフィス空間では、ここ数年ハイブリッドが主流になっています。
ハイブリッドは、メイン部分には生の植物を使い、周囲や根本を飾る脇役をフェイクにするといった使い方が多いですね。コスト低減という理由もありますが、たとえばメインとなる樹木の陰になってしまい光が当たらない下草など、育成環境の理由からむしろフェイクをオススメすることもよくあります。
また既存オフィスに導入する際、壁や天井の状態によっては、荷重が掛かりやすい生の植物よりも、軽量なフェイクグリーンの方が向いている場合も多いですね。
フェイクのクオリティが格段に上がったこともあり、昨今はフェイクグリーンの人気も高くなっています。弊社でも、“植木屋”目線で「これ!」と思った質のいいものを導入していて、かなり好評をいただいています。
希望されるオフィスデザインやコスト、植物の種類や環境条件などを総合して、上手に使い分けるとよいと思います。

左写真:フェイクグリーンのサンプル。枝や葉だけでなく、苔もある。
明るい緑や深い緑など、様々な緑色がよりリアルの植物のように見せてくれる。
右写真:メインの木は生の木を使い、コスト面や育成環境から根本の木をフェイクグリーンにした例。
―目黒さん、田島さん、ありがとうございました。
エントランスからエレベーター内、執務エリア、来客スペースに至るまで、オフィス内がさまざまなグリーンであふれていたユニバーサル園芸社さん。
同社では、定期的に営業内勤問わず、社員全員を対象にした『寄せ植えの検定試験』があるのだとか。また、レンタル期間が終了して戻ってきた弱った植物をよみがえらせる『養生』と呼ばれる作業も、全社員で一部工程を手伝うのだそうです。
社内全体に満ちている植物への愛情とリスペクトをしみじみ実感したインタビューとなりました。
後編では、居抜きオフィスなどの既存オフィスにグリーンを取り入れる具体的なアイディアについて、さらに詳しく伺っていきたいと思います。
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